Copyright(C)長谷川芳典 |
※クリックで全体表示。
|
11月9日の日没時、太陽が細い雲に分割されて木星の縞模様のように見えていた。ごく一部の範囲だが夕焼けも綺麗に見えていた。 |
【連載】笑わない数学(6)『1+1=2』(1)ペアノの公理 10月18日にNHK総合で初回放送された、『笑わない数学 シーズン2』: ●1+1=2 についてのメモと感想。 番組表でこのタイトルを見た時、素朴な疑問としてこれは証明ができる定理ではなくて、『2』の定義ではないかという気がした。じっさい「2とは何か?」と訊かれた時には、「1個と1個を合わせた個数」と答えるはずだ。もっとも、さらに深く考えると、「個数」とか「合わせる」とは何か?という疑問が出てくる。 さて番組のほうでは、ジュゼッペ・ペアノの公理と、それによる「1+1=2」の証明が紹介された。ウィキペディアによれば、集合 N と定数 0 と関数 Sと命題Eに関するペアノの公理とは次のようなものである。
いっぽう放送では、集合、元、関数、写像といった概念を使わずに以下のように紹介された。専門用語を分かりやすい言葉に置き換えた工夫は感じられるが、かえって何を言っているのかよく分からないところもあった。
では、なぜ「1+1=2」となるのか?。放送によれば、
YouTubeでは、この問題は、 1+1=2の証明が難しいって本当?(ペアノの公理) で分かりやすく(?)解説されていた。ま、人それぞれの好みにもよるが、私には、「□の次」というよりも「suc(□)」【ウィキペディアでは「S(□)」で表したほうが理解しやすい。 ここまでのところで興味深いのは、「1+1=2」が成り立つ数の世界では、必ずしも「間隔」の定義は必要ないということだ。順番の決め方、つまり順序構造だけで加法は成り立つということになる。なので、 ●数直線上で、「1」の目盛から右に間隔1だけずらすと「2」の目盛に達する。 というのは決して間違いではないが、証明としては使えない。心理統計学に出てくる尺度水準の話で言えば、順序尺度の世界ということになる。 あと、もう1つ興味深いのは、上掲のペアノの公理では、「□の次がゼロとなる□」は存在しないことになっているが、そうするとマイナス1はどうなる? つまり自然数から整数に拡張した場合に「1+1=2」もちゃんと証明できるのか?という疑問が出てくる。 あと、上掲ではゼロは「a+0=a」となっていたが、これだけであるなら「+」を掛け算「×」に、また「0」を「1」に置き換えても構わないように思われる。そうすると乗法だけの世界が作れるはずだがじっさいはどうなっているのだろう? 次回に続く。 |