じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 12月22日の朝はよく晴れて、「冬至の日の出」を眺めることができた。今年の冬至は12時27分、冬至の日は太陽の高度が最も低くなるが、今年は特に岡山の南中時刻が12時03分で冬至の瞬間に近いため、数値の上では例年に比べても特に低くなるはずだ【実際には12月20日〜24日の南中高度は31.9°で殆ど変わらない】。このほか以下のようなズレがある。
  • 国立天文台のこよみによれば、12月22日の日の出は7時07分、日の入りは16時58分なので、昼間の長さは分単位の計算では9時間51分。いっぽう、12月23日の日の出は7時08分、日の入りは16時58分なので昼間の長さは9時間50分で、23日のほうが短い。分単位の計算では12月25日までは9時間50分〜51分となって長さは殆ど変わらない。
  • 日の出が最も遅いのは、20024年1月4日〜13日頃で、7時12分。
  • 日の入りが最も早いのは、12月2日〜9日頃で16時53分。
  • 南中時刻は12時ジャストより早い時期と遅い時期があるが、この先最も遅くなるのは2024年1月31日〜2月24日頃で12時18分となっている。




2023年12月22日(金)




【連載】ヒューマニエンス「“植物” 支配者は周りを動かす」(1)地球の支配者は植物?

 8月28日に初回放送された、NHK『ヒューマニエンス』、

「“植物” 支配者は周りを動かす」

についてのメモと感想。

 この回は、私自身の老後の関心対象の1つでもある植物が取り上げられた。もっとも内容はかなり雑多であり、また、人と植物との関わり【例えば人間・植物関係学会や園芸療法学会で取り上げられているようなテーマ】は、ごく一部しか含まれていなかった。

 放送ではまず、今回のスタジオゲストの豊田正嗣さん(埼玉大学)が紹介された。豊田さんは、名古屋大学理学部物理学科を経て同大学院医学研究科にて神経を研究し博士(医学)を取得し、現在は植物学者として活躍しておられる。神経の研究から植物の研究にシフトしたきっかけは、医学研究科の指導教員から「植物にも動物と同じような仕組み(機能)をもたらすタンパク質や分子がありそうだ。しかし調べる装置も無いし方法も確立していないので、(物理学出身の知識を活かして)自分で装置を作って植物の研究をしたらどうですか」と勧められたことにあるという。植物と動物は全く違うが、研究を通じてずいぶんと共通性があることが見えてきたという。

 確かに、系統樹を遡れば動物も植物も真核生物から進化したものでルーツは一緒。私自身はこれまで、心理学の授業などでは、

●植物はみずからの形を変えることで、また動物は行動することで、それぞれ環境に適応してきた。

と説明してきたが、今回の番組では、

●植物の生存戦略は「動かない」。その代わり、周囲の生物を動かしコントロールしている。

という視点が強調された。例えば、ヒトは稲を育てて食用にしているが、見方を変えれば稲がヒトを働かせて繁殖していると言えないこともない。また、植物には根からいろいろな化合物を分泌して環境をコントロールできる力もあるという

 放送で紹介されたデータによれば、
  • 陸上生物の総重量 470ギガトン
  • 陸上植物の総重量 450ギガトン(95.5%)
  • 陸上動物・微生物の総重量 20ギガトン(4.5%)
  • ヒトの総重量 0.06ギガトン(0.013%)
という比率になっており、重量だけから見れば植物は動物・微生物を圧倒していることが分かる。

 こうしてみると、人間や動物が植物を支配しているのではなく、逆に植物によって餌を与えられながら植物の都合が良いように働いていると言えないこともない。「支配」という言葉ではなく、相互の助け合いというほうが妥当ではあるが。

 次回に続く。