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6月5日掲載写真とは別の場所で撮影したメスのシオカラトンボ。今回は側面から撮らせてもらえた。 |
【連載】アルツハイマー病 克服に挑む(3)プロトフィブリルとレカネバブ 昨日に続いて、NHK-BSで5月14日に再放送【初回放送は3月7日。NHK-BSでは3月13日】された、『フロンティア』で ●アルツハイマー病 克服に挑む についてのメモと感想。 放送ではレカネバブの開発につながる重要な発見をしたラーシュ・ランフェルトさん(スウェーデン・ウプサラ大学)の研究が紹介された。なおランフェルトさんについては2023年5月29日初回放送のサイエンスZEROでも紹介されており、2023年6月25日の日記でも取り上げたことがあった。その時の再掲になるが、概要は以下の通りとなる【要約・改変あり】。
レカネバブの開発には、プロトフィブリルの働きを可視化する装置(『高速AFM』、高速原子間力顕微鏡)が大きく貢献した。動くタンパク質の姿を分子レベルで追跡できる。これにより1つ1つのアミロイドβがくっついて形を変えていく様子が捉えられた。さらにレカネバブがプロトフィブリルに働きかける様子も観察できた。 レカネバブがプロトフィブリルを天ぷらの衣のように取り囲むと、脳の免疫細胞がそれに気づいてプロトフィブリルにメー時を与え細胞毒性を弱めることが、こうした装置を使って確認できた。 創薬開発が成功する確率は3万分の1とも言われている。木村禎治さんは、「創薬の研究者は楽観的でないとやっていけない。成功確率【の低さ】を見ても分かるように、すべての方が自分の会社人生の中で薬を創れるかというと、そういうわけではない。常に成功するんだと思って、10年、20年取り組むというのが普通。その中で一歩一歩進んでいくという感覚はあったと思う。」、またランフェルトさんは「20年は長い時間だが、本当に長いと感じたことは一度も無い。途中でたくさんのことがあった。常にワクワクすることばかりだった。薬の開発には多くの時間がかかるものだ。それが私たちの学問の性質なのだ。」と語っておられた【要約・改変あり】。 ここでいったん、私の感想・考察を述べさせていただくが、私が理解した限りでは、レカネバブはアミロイドβを直接破壊したり体外に排出させたりといった働きをするのではなく、天ぷらの衣のようにプロトフィブリルを取り囲み、その人自身が持つ免疫細胞の攻撃対象として認識させる働きをしているものと思われた。 素人目には、プロトフィブリルが作られる前の粒状態のアミロイドβを体内から無くしてしまえば良さそうに思えるのだが、おそらくその段階のアミロイドβにはそれなりの役に立っている可能性もある。ウィキペディアでは、「正常な機能」について以下のように解説されていた。 Aβの正常な機能はあまり解明されていない。いくつかの動物での研究において、Aβの不在は明確な生理学的機能の喪失を引き起こさないことが示されている。一方で、キナーゼの活性化、酸化ストレスからの保護、コレステロールの輸送の調節、転写因子としての機能、抗菌活性(Aβの炎症促進活性と関連している可能性)など、いくつかの活性を有する可能性が発見されている。ということで、人間に役立つ働きをしているのかどうかは分かっていないように思われた。 余談だが、私が大学受験をしていた頃、薬学部は、農学部や工学部の一部の学科と並んで、合格最低点が最も低い学部であった。もともと薬学には多少の興味がありもし受験していたら最低点を50〜60点上回る得点で合格できていたはずだったが、上掲のような創薬開発の苦労話を聞くと尻込みしてしまう。これまで、「私が選ばなくて良かったとつくづく感じている進路」としては、数学者と将棋のプロ棋士を挙げたことがあったが、ここでもう1つ創薬研究者も加えておくことにしたい。そりゃ社会的貢献度の大きさは相当なものだと思うが、自分にはそこまでやっていける自信が全く無い。 次回に続く。 |