【連載】あしたが変わるトリセツショー『コレステロール』(3)アマニ油の効果
昨日の続き。5月23日にNHK総合の『あしたが変わるトリセツショー』で初回放送された、
●コレステロールを大解明!超悪玉かんたん発見&対策SP
についてのメモと感想。
放送の終わりのところでは、オメガ3脂肪酸を多く含むアマニ油の絶大な効果が紹介されたが、何だか突然、健康食品のCMのような展開になってしまい、にわかには信じがたいところがあった。
放送では、以下のように説明された【要約・改変あり】。
- オメガ3脂肪酸は、青魚の脂にたっぷりと含まれている成分。
- この油には脂肪の燃焼作用をアップさせて中性脂肪を減らす働きがある。
- ガイドラインの2.4には、
●FQ4 n-3 系多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やすことを動脈硬化性疾患発症の予防に推奨するか?
というFQに対して、
- トリグリセライドの低下を目的に、n-3 系多価不飽和脂肪酸のうち魚油摂取量を増やすことを推奨する。(エビデンスレベル: 1 +、推奨レベル:A)
- 食事による魚油の摂取を増やすことは、冠動脈疾患発症の抑制が期待できるために提案する。(エビデンスレベル: 2 、推奨レベル:B)
という2点が推奨されている。
- しかし、青魚だけで必要量を摂るには、生のアジを毎日3匹食べなければならないともされる。アマニ油であれば、毎日たった小さじ1杯で必要量を摂ることができる。
- 医師のすすめで食餌制限や運動とともにアマニ油を摂り続けた女性は、3年間で96kgだった体重が30kg減少。また中性脂肪の値が223から89に減少した。
- ある研究によれば、アマニ油を毎日スプーン1杯摂るだけで、10週間で中性脂肪が19.7%減少【Cardiovasc,J.(2019). Thorac Res, 11(2), 152-160.】。また別の研究では12週間で超悪玉コレステロールが28.9%減少した【Kawasaki Y et al., (2015). Nutrition Journal】と報告されている。
- オメガ3脂肪酸は、朝摂取したほうがいい。人を対象にした研究では、オメガ3脂肪酸を夜に摂取したグループでは変化が無かったが、朝に摂ったグループでは中性脂肪が20%減少した【大石勝隆 (2018). J Nur Biochem】。
- 朝食時にアマニ油を摂る方法としては、サラダ、ヨーグルト、ミルクティーなどに「ただかけるだけ」。他に『ローストアマニ(搾油する前の亜麻の種子を熬ったもの)】をパンの上に乗せる方法もある。
- アマニ油は酸化しやすいため、焼き物・揚げ物などの高温調理への使用は控えること。
- アマニ油を摂り過ぎるとかえってコレステロールが増える場合もある。1日当たりの目安は、
- アマニ油であれば 小さじ1杯(5g)
- ローストアマニであれば 大さじ2杯(10g)
- 血液検査を年に1度は受ける必要あり。
- 悪玉コレステロールは中性脂肪以外にも高血圧や高血糖で増える場合があるので、血液検査の他の数値にも目を配る必要がある。
ここからは私の感想・考察になるが、アマニ油の効用については、私が日頃嫌っている健康食品CMのような展開でイマイチ信じがたいところがあった。というか、オメガ3脂肪酸自体に効果があったとしても、
- 市販のアマニ油の製造工程に問題は無いか? かつてはカネミ油症事件もあったし、最近の紅麹事件などもあり、なかなか安心はできない。
- アマニ油は酸化しやすいというが、酸化した場合はどういう影響が出るのだろうか。またこれを防ぐために酸化防止剤が添加されているとするとまたまた問題。
- アマニ油は高熱に弱いというが、ローストアマニは熬ったものではないのか?
ま、いずれにせよ、定期的な血液検査も受けずに「健康によいと言われている」という理由だけで摂り続けるのは問題。健康食品には、
- 効用がある場合
- 何の効用も無い場合
- 何らかの副作用がある場合
の3通りがあると思われる。このうち2.は単なる気休め薬としてマシだが、3.は恐ろしい。血液検査もしないで漫然と摂り続けて、何らかの異状が起こってからどうしましょうということにならないように気をつけたいものだ。
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