じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 9月4日の朝はよく晴れ、04時頃には、オリオン座、シリウス、木星などが明るく輝いていた。日の出の頃には雲1つ無い快晴となった。


2024年9月3日(火)





【連載】サイエンスzero『“宇宙の夜明け”ジェイムズ・ウェッブ最新報告』(2)超巨大ブラックホール

 昨日に続いて、8月25日に初回放送された、NHK『サイエンスzero』、

ついに見えた!“宇宙の夜明け”ジェイムズ・ウェッブ最新報告

についてのメモと感想。

 昨日の日記では、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使った分析による、
  1. ビッグバンから4億年以内に、理論上は3つ程度と考えられていた銀河が少なくとも10個見つかっている
  2. それらの銀河が想定より明るく輝いていた(星が生まれる効率を高める何らかの要因が働いていたのではないかという可能性)
  3. 宇宙全体のガスの分布についての理論を修正する必要があるかも
といった発見について取り上げた。ここまでのところのロジックはなかなか興味深い。というのは、もし、

●4億年以内に誕生した銀河は理論上3つ以内と考えられていたが1個しか見つからなかった。

という分析結果であったとすると、残りの2つが見つからないのは観測技術の限界、あるいは何かに遮られて観測を妨げていると考えるのが普通であり、理論の修正には繋がらない可能性がある。これに対して、今回のように理論上は3つ以内のはずが10個も見つかってしまったとするともはや観測技術に原因を帰属するわけにはいかない。現状の技術で10個見つかるということは、さらに技術が向上すればさらに20個、30個と見つかる可能性はあるものの実は3個以内であったというように個数が減ることはありえない。要するに理論上の値よりも多すぎたという結果が出てしまうと、従来の理論は修正せざるを得なくなってしまう。

 元の話題に戻るが、放送では、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の活用による3番目の発見として、超巨大ブラックホールの個数の話題が取り上げられた。じつはブラックホールには、
  • 寿命を迎えた星が爆発した後に生まれる『恒星ブラックホール』。1つの銀河の中に100万個以上あると言われている。
  • 『超巨大ブラックホール』。恒星ブラックホールが長い時間をかけて成長したもので、銀河の中心にある。大きいものは太陽の100億倍以上。
という2種類がある。宇宙の夜明けの時代には超巨大ブラックホールは非常に少ないと推定されていたが、松岡良樹さん(愛媛大学宇宙進化研究センター)を中心としたハワイのすばる望遠鏡によるおよそ10億の天体の観測により、宇宙誕生から8億年に存在していた超巨大ブラックホールの存在を確認した。こうした作業の繰り返しによりこれまでに200個以上が発見された。しかしすばる望遠鏡では観測精度の限界があった。今回のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によりそれらの確認作業が行われた。
 もっとも超巨大ブラックホールに成長するまでには少なくとも10億年はかかると計算されている。宇宙誕生から8億年、さらに海外の研究者によって4億年でも超巨大ブラックホールが発見されているという事実はこれまでの理論では説明できない。全く新しい『超巨大ブラックホールの誕生理論』が必要になってきた。これまでのブラックホール誕生理論は「恒星爆発→恒星ブラックホール→超巨大ブラックホール」という1通りの理論しか考えられてこなかったが、例えばもの凄く大量のガスが一気に集まってきて短時間に縮む(直接崩壊)というような通常では考えられないような仮説を受け入れれば説明が可能になるという。

 次回に続く。