【連載】高齢者のQOL(Quality of Life)とQOD(Quality of Dying)(2)死因による違い
昨日に続いて、高齢者のQOLとQODの話題。
昨日も述べたように、『人生100年時代』という言葉はよく耳にするが、日本人男性が100歳まで生存できる割合はわずか1.4%で殆ど奇跡に近い。
- 日本人の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳(2019年)。平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.14歳。
- 日本人男性が81歳まで生存できる割合は60%、84歳まで生存できる割合は50%。
といったデータから分かるように、大ざっぱに言って、10月で72歳になる私の場合、健康寿命はそろそろ尽きる頃、寿命自体が尽きるのもあと10年〜15年程度と推測される。
このことをふまえると、QOLを考える前提として、
- 日本人の場合、殆どの人は75歳〜90歳で死ぬ。長生きするに越したことはないが、その年齢に達した人は無理してまで長生きしようとせず、むしろ自分の寿命を悟り、それに見合ったQOLを追求することが望ましい。
- 75歳で死んだ人より90歳で死んだ人のほうがQOLが高いというわけではない。それぞれの人がどのようなライフスタイルをとるのかによって、左右される。
- 加齢により身体機能は衰えるが、それに見合ったSOCを採用することで一定のQOLを維持することができる。
といったプランを立てることができそうだ。但し、上記ではQODについてはまだ考慮できていない。なお、上記はあくまで、日本が平和で経済的に安定していることを前提としている。イスラエルの攻撃対象となっている地域やウクライナに住む人々にとってはこんなに呑気なことは言えない。きょう1日を生き延びるだけで精一杯なのかもしれない。
以上は、寿命という「量的」な指標から人生の長さを見てきたが、QOLやQODは死因によっても左右されるはずだ。厚労省の統計を見ると、
- 男性70歳代から80歳代の死因は、おおむね悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、肺炎、不慮の事故
- 男性90歳代以上となると、悪性新生物による死因は少なくなり【←90歳までに死んでしまうためか】、心疾患や老衰の比率が高くなる。
- 女性もほぼ同様。100歳以上では老衰がトップになる。
といった傾向があるようだ。もっとも、QODという観点から言えば、もう少し細かく「死に方」を分類する必要がある。暫定的に挙げてみると、
- 老衰
- 病気
- 不慮の事故(交通事故、災害、犯罪被害者、戦争など)
- 自殺、(日本では認められていないが)安楽死
などが考えられるが、ひとくちに病気といっても発病から死に至るまでの症状や期間は多種多様であり、なかなか一般化できない。さらに、認知症を伴うかどうかも大きく影響してくる。
このほか、「死に方」の質に関係してくるのが、他者との関係であろう。大切な人に看取られる場合と、孤独で死ぬ場合では大きく異なる。
ということで、私がここで書くことはすべて、私自身のQOLやQODに限定した内容にならざるを得ない。よく似た境遇にある人にとっては参考になるかもしれないが、全く別の境遇にある人たちにとっては何の役にも立たないかもしれない。
次回に続く。
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