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 12月15日、近隣のドラッグストアで、『10ポイントデー』と『シニア割引』を同時に実施していた。
 このドラグストアでは毎月15日と16日に『シニア感謝デー』を実施しており、60歳以上の高齢者は殆どの商品を5%割引で買うことができる(処方箋、お酒、たばこ、一部地域指定ごみ袋、割引対象外化粧品、補聴器などを除く)。
 この系列の店ではまた、上記とは別に、基本的に月末の土・日・月の3日間連続で『10ポイントデー』が開催される。期間中、100円(税抜き)ごとに10ポイントが貯まるので実質10%割引となる。
 月の半ばのシニア割引と月末の10ポイントデーは通常は重なることがないが、12月は年末商戦に備えて10ポイントデーを13日(土)から15日(月)に開催したため12月15日に両方の割引が重なることになった。さっそく4846円分の買物をして、420ポイントを獲得【←食品類は1ポイントのままなので480ポイントにはならない】、またシニア割引で255円分、実質的に675円分の割引となった。

 なおこの店では、いくつかの商品は期間限定で1~2割ほど安く売られていることがある。10ポイントデー(あるいは土日の6ポイントデー)の日はそれらの商品の価格は平常価格に戻されるため、3ポイントの平日の割引価格のほうが安く買える場合があるので要注意。

2025年12月16日(火)



【連載】チコちゃんに叱られる! テスト前に片づけをするのはモラルライセンシングか?

 昨日に続いて、12月12日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. B級グルメの『B級』ってなに?
  2. なぜハワイと言えばアロハシャツ?
  3. ラジオにAMとFMがあるのはなぜ?
  4. 【ひだまりの縁側で…】モラルライセンシング
という4つの話題のうち、最後の『モラルライセンシング』について考察する。

 この話題は【ひだまりの縁側で…】でお便りとして紹介されたものであり、元の質問は、

【なな、5歳+22歳・・・】どうして、テスト前になると急に机や棚をピカピカに片づけたくなるの?? 散らかったプリントを横目に、クローゼットをしっかり片づけて、達成感たっぷり!! 後悔もたっぷり!!なんで―!!

であった。
 この質問については、伊藤忠広さん(学習院大学文学部心理学科)から以下のような解説があった【要約・改変あり】。
テスト前に家の掃除をしてしまうのは心理学で『モラルライセンシング』と呼ばれる、

●よい行動をすることでその後によくない行動をしやすくする【チコちゃんの読み上げは「いいことを行うことでいけないことを行いやすくなる」】

という現象に似ている。
例えばダイエットをしている人が「きょうはたくさん運動したから甘いものを食べちゃおう」と誘惑に負けてしまうように、勉強しない理由づくりとして掃除といういいことを始めるのではないか?

 この読み上げに続いて、以下のようなやりとりもあった【要約・改変あり】。
  • 【チコちゃん】現実逃避という側面もありそうですけどね。
  • 【岡村さん】やらんとあかんということの後回しっていうことよくあると思うんですけど。
  • 【チコちゃん】チコはね、それはもう無くしたの。もう全部もう、いまやる。
  • 【岡村さん】やるんやったらいまやると。
  • 【チコちゃん】今頃、林先生、っていうわけでもないけど。
  • 【岡村さん】「今でしょ」言うて。
  • 【チコちゃん】家にいてテレビ見てて、なんかゴミが出たとするでしょ。ポンとそこに置いといて立っっっpた時に捨てようと思うじゃない? もう今捨てます。いちいち立ちます。
  • 【岡村さん】なんで林先生の「今でしょ」が流行ったのかというたら、まさに理にかなっているというか、なんでもかんでも。今やらなあかんことは「今でしょ!」ということでございます。


 ここからは私の感想・考察を述べる。

 まず伊藤忠広さんのミニ解説のうち、「勉強しない理由づくりとして掃除といういいことを始めるのではないか? 」という部分は理解できたが、「掃除をする→勉強しない」をモラルライセンシングで説明できるのかはさっぱり分からなかった。

 念のためウィキペディアで『モラルライセンシング』の定義を調べると以下のようになる【要約・改変あり】。
  1. モラル・ライセンシング(英: moral licensing、セルフライセンシング)は、社会心理学、マーケティングにおける概念。
  2. 過去に行った道徳的・倫理的な行動が、その後の非道徳的または自己中心的な行動を心理的に正当化してしまう現象を指す。これは、道徳行動と非道徳行動の関係を説明する理論的枠組みの一つとして、2000年代に社会心理学の分野で提唱された。例えば、運動をしたからカロリーが高いものを食べても「許される」と感じてしまうことが挙げられる。
  3. この効果は2000年代初頭に英語圏で報告され、以降、日本を含む各国で実証研究が進められている。研究では、道徳的行動が自己の「道徳的資格(moral credential)」を強化し、罪悪感を軽減することで非道徳的行動への抵抗を下げる心理的メカニズムが指摘されている。
  4. ウズマ・カーンとラヴィ・ダーは、この現象を次のように述べている。
    ●先に行った選択によって「自分は良い人間だ」という自己イメージが強まると、その後はよりぜいたくで自己中心的な選択を正当化できるようになる。これは、高価な買い物などに伴う罪悪感を和らげる働きを持つ。
  5. アンナ・メリットらは次のように説明している。
    ●過去の善行は、人が本来なら「不道徳に見えるのでは」とためらって避けるような、非道徳的・非倫理的、あるいは問題のある行動をとることを可能にしてしまう。
  6. モラル・ライセンシングは、過去の善行が自己の道徳的資格(moral credential)を強化し、その後の行動の倫理的基準を下げる心理に基づく[1]。例えば、環境に配慮した行動(例: リサイクル)の後に、環境負荷の高い行動(例: 過剰な消費)を正当化する行動が例として挙げられる。この過程では、罪悪感の軽減や心理的権利意識(entitlement)が関与する。


 今回の話題に戻ると、おそらくこういうことを言いたかったのだろう。
  • テスト勉強をしないという「行動」は、非道徳的または自己中心的な行動である。
  • 部屋を片づけるという行動は道徳的・倫理的な行動である。
  • テスト前に片付けをすると自己の「道徳的資格(moral credential)」が強化され罪悪感が軽減されることで「テスト勉強をしない」という非道徳的「行動」への抵抗が下がる。
 しかしモラルライセンシングによる「説明」には以下のような問題があるように思う。
  1. 「テスト勉強をしない」というのは死んだ人でもできる。つまり行動の定義の一部である「死んだ人にはできない」という『死人テスト』をパスしないので行動とは言えない。ここで問題となるあくまで「テスト勉強」であり、テスト勉強がなぜ先延ばしされるのかという観点から検討する必要がある。
  2. そもそも私たちは、さまざまな行動をする際にいちいちそれが道徳的か、非道徳的かなどと分類していない。戒律を守ろうとするお坊さんならともかく、小学生の子どもがいちいち、部屋の片づけは道徳的行動、宿題をしないのは非道徳的「行動」などと区別しているわけではあるまい。
  3. テスト勉強をしなかったことを後悔するのは非道徳的だったからではない。単にテストで悪い点を取ったからである。


 ではどう説明すればよいか? ChatGPTの回答は以下の通りであった。




この現象は、心理学・行動科学の観点から見ると、複数の要因が重なって起きる「非常に人間的で合理的な行動」と説明できます。主な解説は以下のとおりです。
  1. 先延ばし(プロクラスティネーション)の一種

    最も基本的な説明は**先延ばし行動**です。

    テスト勉強は
    • 失敗の可能性がある
    • 評価される
    • 認知的負荷が高い

    という「心理的コスト」が大きい課題です。人は無意識にこの不快感を避け、**今すぐ成果が出て気分が良くなる行動**に注意をそらします。掃除は
    • 成果が目に見える
    • 短時間で達成感が得られる
    • 評価されない

    という点で、勉強の「代替行動」として最適なのです。
  2. 「生産的に見える逃避行動」

    重要なのは、これが単なるサボりではない点です。

    掃除や整理整頓は
    • 社会的に「良い行動」と認識され
    • 自分に対しても「無駄ではない」と言い訳が立つ
    ため、**罪悪感を感じにくい逃避**になります。心理学ではこれを**構造化されたプロクラスティネーション**と呼ぶこともあります。

  3. コントロール欲求の回復

    テスト前は
    • 内容が多い
    • どこが出るかわからない
    • 自分の努力が点数に直結するか不確実

    という「コントロール不能感」が高まります。

    一方、掃除は
    • やれば必ず結果が出る
    • 自分の裁量で完結する
    行為です。つまり人は、**制御不能な課題から、制御可能な課題へと無意識に移動**し、心理的安定を取り戻そうとしているのです。

  4. 不安の“誤処理”としての行動

    テスト前の不安や緊張は、身体的には
    • そわそわする
    • 何かしたくなる
    という「行動エネルギー」を生みます。本来それを勉強に向けるべきところ、**方向づけに失敗すると、身体的に動きやすい掃除に転用**されます。

    これは「不安 → 行動」という回路自体は正常で、**使い道だけがずれている**状態です。
  5. なぜ後悔するのか

    片づけ直後は
    • 達成感
    • 気分の改善

    が得られますが、テスト勉強という**本来の目的が未達**であるため、時間が経つと
    • 自己評価の低下
    • 強い後悔

    が生じます。つまり

    > 「その場の感情最適化」と「長期目標最適化」の衝突
    > が起きているわけです。

  6. まとめ(AI的な一文解説)

    **テスト前に掃除したくなるのは、脳が「失敗の可能性が高く不確実な課題」から逃げつつ、「確実に達成感が得られる行動」で心のバランスを取ろうとする、極めて合理的な自己防衛反応である。**

    そして——

    > それを理解していても、またやってしまう。
    > それもまた、人間らしさと言えるでしょう。




 なお部屋の片づけの様子が家族に見られていたり、SNS上でわざわざ「テスト前ですが部屋の片づけをしました」などとポストする場合は、セルフ・ハンディキャッピングとして説明することもできる。要点を抜粋すると以下のようになる。
  1. 人々がセルフ・ハンディキャッピングに使用する最初の方法は、その課題を成功裏に完了できないことを恐れて自分自身でタスクを困難にすることであり、実際に失敗した場合には、自分自身を責めるのではなく障害物のせいにすることができる。これは研究者によって「行動的」ハンディキャッピングと呼ばれており、個人が実際にパフォーマンスへの障害を作り出す。
  2. 人々がセルフ・ハンディキャップする2つ目の方法は、潜在的な失敗の正当化を考え出すことであり、課題に成功しなかった場合、彼らの失敗の理由として言い訳を指摘することができる。これは「主張的」セルフ・ハンディキャッピングと呼ばれ、個人は単にパフォーマンスへの障害が存在すると主張する。
  3. セルフ・ハンディキャッピング行動により、個人は失敗を外部化し成功を内部化することができ、成果に対しては評価を受け入れつつ、失敗に対しては言い訳を許容する。不安定な自尊心を示す個人は、失敗を外部化し成功を内部化するための試みとして、行動や成果設定の選択によってセルフ・ハンディキャッピング行動を示す可能性が高い。
  4. セルフ・ハンディキャッピングの例として、重要な試験の前夜に勉強せずにパーティーに行く学生が挙げられる。学生は試験に失敗し、無能に見えることを恐れている。試験前夜にパーティーに行くことで、学生は自己敗北的行動に従事し、試験成績不良の可能性を高めている。しかし、失敗した場合、学生は能力の欠如ではなく、疲労や二日酔いを妥当な説明として提供できる。さらに、学生が試験について肯定的なフィードバックを受けた場合、ハンディキャップにもかかわらず成功したという事実によって彼の達成感は高まる。失敗の可能性に直面したとき、学生は全体的な努力の減少、作業に適切な時間を割り当てない、または作業を延期・先延ばしするなどの行動を示す。最終的な目標は、学業の失敗を自分の能力以外のもののせいにする方法を見つけることである。
  5. セルフ・ハンディキャッピングの使用は、自分の能力に対する不確実性だけでなく、不幸にもつながる可能性があり、これが今度はセルフ・ハンディキャッピングへのさらなる依存につながる可能性がある。


 もう1つ、放送の中で語られた「今でしょ!」は掛け声としては威勢が良いのだが、人間は掛け声だけでその行動を長時間持続できるわけではない。テスト勉強の場合で言えば、課題の量を漠然と捉えるのではなく、課題を細分化し、それぞれをやり遂げた時に達成感が得られるような勉強計画を立てることが望ましい。