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じぶん更新日記
風任せ されど櫂だけ 離さぬ手
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 1月14日の昼前に某待ち合い室でテレビを見ていた時にふと、元日の夜明け前に金星が見えるかどうか疑問が生じた。さっそくChatGPTに以下の質問をさせていただいた。


【質問】 今年の元日の夜明け前に金星を見たという話を聞きました。しかし金星は1月7日に外合となるため太陽に近すぎて見えにくいと思います。方角は180°異なりますが、見えていた明るい星は木星ではないかと思うのですがいかがでしょうか?

いただいた回答は以下の通り。なお左の写真は、1月15日に撮影した、夜明け前に北西の空に輝く木星と、南東の空に輝く月齢25.8の月。


ご指摘の通り、**2026年1月1日の夜明け前に「金星」を見たという話は実際にはあり得ない可能性が非常に高い**です。理由と判断根拠を整理します:
  1. **金星の位置と見え方(1月1日時点)**
    * 国立天文台などの天文カレンダーによると、**金星は1月7日に外合**(太陽とほぼ同じ方向に位置し、地球からは太陽の裏側近くに見える状態)となります。1月1日ごろにはすでに太陽に非常に近く、**夜明け前の空で肉眼観察できる位置にはいません**。これは1月全般を通じてほぼ目視不可能という記述で裏付けられています。
    * 同様の天文情報サイトでも、**1月の金星は太陽のまぶしさの中にあり、観察は困難でほぼ不可能**との記述があります。
    結論として、「金星が夜明け前に見えていた」という目撃談は、**実際の金星の位置・見え方と矛盾しています**。
  2. **木星の位置と明るさ**
    * 一方で、**木星は2026年1月10日に衝(地球と太陽の反対方向)を迎える直前であり、1月初頭も非常に明るく夜空に見えています**。この時期は東の空に昇り、夜明け前まで観察できます。
    * 木星は1等星よりもはるかに明るく(視等級約-2.7近辺)、周囲に他の星より圧倒的に明るく見えるため、**肉眼で「明るい星」として簡単に見つかります**。

    したがって、もし1月1日の夜明け前に東寄りの空で非常に明るい天体を見たのであれば、それは**木星である可能性が極めて高い**です。
  3. **見えた天体が木星だった可能性についての要点**
    * **視等級で比較**すれば、木星は明るく見え、観察時間帯(夜明け前〜夜明けにかけて)にも十分高度がありました。
    * 一方で金星は太陽の近くに居て、明るいながらも太陽光との距離が小さすぎて**夜明け前の空で目視できる位置には出現しません**。
  4. ### まとめ
    * **金星が1月1日の夜明け前に見えていたという観察は、天文現象の配置から考えてほぼ不可能です**。
    * その代わりに、観察された明るい天体は**木星である可能性が非常に高い**と結論できます。





 念のためお断りしておくが、以上の考察は純粋に天文学的な観点からの思考実験である。文学作品であれば、実体験ではなく過去の体験の思い出や、「こういう風景が見られたら素晴らしい」という創作になる場合がある。有名な「菜の花や月は東に日は西に」という俳句も実体験ではなく仮想の風景を詠んだものと推理されている(こちらの記事参照。)

2026年1月15日(木)



【連載】サイエンスZERO『色彩の科学へようこそ! “黒”は暗黒で漆黒!?』(1)

 昨日までのところで、『色彩の科学へようこそ!』シリーズの緑色の話題を取り上げた。本日からはその繋がりで、

2025年1月5日初回放送色彩の科学へようこそ!“黒”は暗黒で漆黒!?

を取り上げる。なおこのタイトルは2026年1月4日にも再放送されていた。

 放送の冒頭では、
  • ココ・シャネル「黒にはすべてがある」
  • オーギュスト・ルノワール「黒は色彩の女王である」
というように『黒』が多くの芸術家たちを夢中にさせる色であると紹介された。

 黒は研究者たちも魅了しており、黒を研究し黒の本質に迫ろうとしている。
  • 2018年、ハーバード大学の研究グループは、世界一黒いと言われる極楽鳥『タンビカンザシフウチョウ』の吸収率を計測。その結果、羽根が黒いほど求愛ダンスでメスをひきつけることをつきとめた。
  • 100年にわたって謎だった日本の伝統工芸の漆器の漆黒の正体が解明された。
  • 光の吸収率99.98%という究極の黒が開発された。
 続いて、ゲーテとニュートンが唱えた色彩理論が紹介された。
  • ゲーテ(1949-1832);
    色は目に見えるものだけではなく、感情や心理にも影響する。
    『色彩論』でゲーテはドーナツ状の色彩の輪を描き、その内側を光(白)、外側を闇(黒)とした。
    黒は色を知覚する際にとても重要であると考えていた。
  • ニュートン(1643-1727);
    プリズム分光の実験により、光の分解を通じて色を分類する物理学に基づく色彩理論を唱えた。
    光の波長による分類
    ニュートンは黒を光の欠如であると捉えた。


 ここでいったん私の感想・考察を述べる。
 まずこの『色彩の科学へようこそ!』シリーズで最初に取り上げられた色が『黒』であったことについては少々意外なところがあった。ニュートンが言うように色とは光の波長である。その異なる波長の光を人間や動物がどのような受容器や脳を使って質的に知覚するようになったのが色であるとするなら、波長の無い【黒】は色ではなく、明暗のカテゴリーに含まれるはずだ。

 もう1つ、光の吸収率が高いことが『究極の黒』に近づくという話があったが、これは明るい環境で何かのモノがどこまで黒く見えるか?という話。もしそうではなくて、単に『究極の黒』を体験したいというのであれば、完全に密閉された部屋で完全に照明を消すか、あるいは鍾乳洞の奧でヘッドランプを消せば、誰でも実現することができる。もっとも神経系の活動により真っ暗な中にも光のようなものが「見える」ことはあるし、微量な蛍光物質や赤外線、あるいは目をこするといった刺激が加われば何かが見えることはあるかもしれない。

 次回に続く。