じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
運動公園・県営球場周辺のメタセコイヤ。晩秋の柔らかな日差しが横からさしこみ、メルヘンチックな世界を作り出していた。 |
【思ったこと】 981123(月)[教育]大学院重点化とアカハラ問題 11/23の朝日新聞教育欄で「大学1:東大の行方」と題して、大学院重点化の問題点が指摘されていた。今春の入学者は学部が3423人、大学院は博士と修士を合わせて3695人となり、本郷キャンパスを歩いていて出会う人は必ずしも東大生(学部生)ではないという興味深い現象が生じているという。 大学院教育での最大の問題は、教官と院生のあいだに生じるアカハラ(アカデミック・ハラスメント)であろうか。もともと大学の教官は、小中高校の教員のように、学生の指導法について何の教育も受けていない場合が多い。院生の人生問題の相談相手になれるほどの人格者であるとも限らない。私なんかもその一部かもしれないが、社会性が無く奇人・変人と言われるような人が手取り足取り院生(←こっちの側も社会性が無い場合がありうる)を指導しようとするのだから、一般社会では考えられないようなトラブルが生じても不思議ではない。 教官が教育・研究と関係のない雑務を大学院生に押しつけ、それを断ると学位取得や就職で不利益を被ることは、たまに「キャンパス・セクハラ」の事例として話題にされるが、その中にはたまたま教官が男性、大学院生が女性であったというだけで、実は性別とは無関係のアカハラ問題であるということが結構あるように思う。 ただ、「雑務の押しつけ」というのは院生側の「ボランティア精神欠如」とも密接に関連しており、本質的ではない。むしろ問題となるのは、旧態依然の「徒弟制度」のもとで、大学院生の自主的な研究活動が押さえられ、テーマや方法論が強制されていくことにあるのではないかと思う。 もちろん、大学院生の研究テーマの選択は、それに必要な設備、資金の規模によっても変わってくると思う。何千万、何億というような実験装置が必要な分野では、大学院生の研究テーマも当然、教授の意向を強く反映したものとなるであろう。院生がいかにオリジナルの素晴らしいアイデアを思いついたとしても、それを実行に移すために自分だけの装置を買ってもらうわけにはいかないだろう。 これに対して、それほどの規模の予算を必要としない文系の教室の場合は、もっと自由な雰囲気が保たれるべきであり、教官は大学院生の自主的な研究活動をもっと評価してやってもよいと思う。 心理学を例にとれば、徹底的行動主義者の教官のもとで研究を続けていた大学院生が何らかのいきさつから認知主義的なアプローチをを重視するようになったとすれば、それを認めるべきであろうし、ロジャース流の臨床心理学をやっていた院生が応用行動分析に関心を持った場合も、その研究を保障していくべきであろうと思う。もちろん、どうせ研究を進めるならば立場が近い教官に師事したほうが有益であることは確かだろうから、その場合は、しこりを残すことなく、適切な別の大学院に籍を移せるようにサポートする。 いまはネット経由で、他の大学の教官からも指導を受けることができるし、MLで意見を交換することもできる。年に一度の学会年次大会だけで顔を合わせる時代とは交流の度合いがそれだけ増えているのだから、少なくとも文系に限っては、そんなに指導教官にこだわらなくてもよいという気もする。 ほんらい、進学希望者は、あらかじめ志望先の大学院の特色をよく調べ、自分にいちばん適した大学院を選んで入ってくるべきであろうと思う。ただ、学部の教育だけでは、学ぶ範囲を限られているし、指導教官の方法論の妥当性を判断できるレベルまでは達していない。せめて修士課程の段階までは、多様な方法論を吸収できる環境を作ってやりたいものだ。 研究分野の違いにもよるのでどこまで一般化できるかどうか分からないけれど、大学院教育は決してキョウヂュのコピーを作る場所ではないと思う。論文の数は多いのだがそのすべてが指導教授との連名であり、指導教授の敷いたレールの延長でしか研究を発展させられないような研究者というのは、学会でお会いしても何となく覇気が感じられないものだ。指導教授と対立して教室を飛び出し、別の大学院で学位を取ったというような人のほうが将来性があるように思える。 ※私が在籍していた大学院の場合は、基本的にどんなテーマでも研究させてもらえる雰囲気があった。もちろん不備があればケチをつけられるが、教授からこのテーマでやりなさいと言われたことは一度も無かった。私は、岡大でもこの方針を貫きたいと思っているのだが、その前提としては自分から積極的にテーマをぶつけてくる院生が現れることが必要。テーマを与えてもらうのを待っているような院生はいくら能力があっても将来は期待できない。あっ、これらは一般論であって、現在在籍している院生諸氏のことを述べたものでは決してない。 |
【ちょっと思ったこと】
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【新しく知ったこと】
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【生活記録】
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【夕食後の夫婦の散歩】------65日目(妻は63日)。ピカチュウ万歩計で4101歩。----
農学部〜100円均一ショップ〜岡大アパート群。プレアデスは7個見えた。 |
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。【 】部分は簡単なコメント。)】
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