じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
【思ったこと】 _00302(木)[心理]パラサイト・シングル 3/2の朝日新聞・家庭欄に「パラサイト・シングル 親元に“寄生”増殖中」という記事があった。ここでいう「パラサイト・シングル」とは「働いていて経済力があるのに親元を離れない単身者」のことでその数は1000万人にのぼるそうだ。名付け親の山田昌弘・東京学芸大助教授のコメントも載せられていた。 記事自体は「功罪」両面を取り上げているが、全体としては否定的な面が強調されているような印象を受けた。また、名付け親の山田さんには申し訳ないが、私個人としては、この呼称は少々軽蔑的な価値表現が入るようであまりしっくりこない。ランダムハウス英語辞典を見ても、parasiteの意味は、「寄生動物」、「寄生虫」、「居候」、「厄介者」など、邪魔者扱いという語感が強い。日本語に直せば「単身寄生」という訳語になるのだろうか。せめて「単身同居」か「単身実家寄宿」とすべきではないだろうか。 山田さんは、「功罪」の「罪」の部分として 「罪」の部分では、まず経済的影響として、少子化、未婚化で家や家財道具など、基本的な消費が増えない。もっと大きな問題は、依存主義の台頭だろう。と挙げておられたが、「依存主義」を強調するレトリック?とは言え、前段に「基本的な消費が増えない」という問題をもってくるのはかえって論点を混乱させてしまうように思う。なぜなら、同じ記事の別の部分では、
もう少し本質的な問題として納得がいかないのは「パラサイト」という部分と「シングル」という部分がセットになって問題視されていることだ。 「親に依存して生活」だったら、サザエさんのように二世帯同居生活をしている家族だっている。そういう家の「息子・嫁」夫婦あるいは「娘・婿養子」夫婦は、子育てのかなりの部分を親に依存したりする。同居だから家財の消費はあまり増えない。単身者の「寄生」が依存主義で、既婚者の同居は独立・相互援助だと考えてしまうとしたら、ちょっとおかしい。 それから、親と同居している「シングル」の人の中にも、いったん単身生活をしていて親の介護のために同居を始めた人だっているはずだ。「パラサイト・シングル」という言葉が一人歩きしてしまうと、形式的な同居生活だけを表面的にとらえて、そういう人達がすべて親に依存しているかのようなステレオタイプが形成されてしまう恐れがある。 とはいえ、1つの社会現象として最初の定義にあてはまる人々がたくさんいることは事実。何がそういう行動を強化しているのか、そういう人々が長期的にどういう生活スタイルをとるのか、目をむけていく必要はある。山田さんのオリジナルの研究にあたった上で続編を書きたいと思う。。 |
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講演出張のため立ち寄れず。 |
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