じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
アパート前にある農学部農場の麦畑。後ろは半田山。春の息吹が身近に感じられる。 |
【思ったこと】 _00312(日)[心理]「行動随伴性に基づく人間理解」(15)面白さ・ユーモア・笑いの起源 3月12日は国立大の後期試験。某大学某学部の小論文試験では、朝日新聞日曜版の「いわせてもらお」からの出題があったそうだ。小論文対策のために社説や論説ばかり読んでいる受験生も、まさか日曜版の家庭欄までは目が向かなかったに違いない。私自身、これまでこのような投稿欄があることさえ知らなかった。 念のため3/12の日曜版に目を通すと、“朝食を食べ損ねた娘にトーストを持たせてやるうちに「またお持ち帰りにしてね」と言われた”、といったような18歳から71歳までの投稿者(全員女性?)からのユーモアあふれた逸話が掲載されていた。 出題された問題というのは、10数編?の「いわせてもらお」の逸話を
このうち1.については、どういう基準で分類するのかはあくまで解答者任せだ。極端な場合、例えば
しかし「分類」を何のためにするのか、具体的には
次に2番目の設問だが、これは相当に難しい。日記猿人でもたまに「面白い日記とは何か」などと書く人がいるけれど、そもそも面白いとかつまらないなどという主観的判断に理由をつけること自体に無理が出てくる。「面白いから面白いんだ。文句あっか。」とでも答えれば素直でいいんだろうが、それでは点がもらえない。理由があろうと無かろうと、とにかく理屈をこねざるをえないところが受験生の辛いところである。 では私だったらどう答えるだろうか。内容を文芸的に論じることができない私は、おそらく、自分の生育歴をふりかえり、どうしてそれを面白いと感じるようになったのかを自伝的に書くことになるだろう。さらには、なぜ人類が特定の事象や文脈を「面白い」と感じるようになったのかを説いた上でその一般特徴に合致する逸話を面白いと理由づけすることになるかと思うが、800字程度でどこまで書けるだろうか。 それにしても、面白さとは不思議な概念だ。広い意味ではこのなかに、笑いとかユーモアも入ってくると思うけれど、「なぜそれを面白いと感じるのか」という根元的な解明は難しいように思う。せめて分かるのは「どういう状況を設定すれば面白いと感じるのか」という程度。おっと、この方面の研究は、某所で修論日記を執筆されている出石さんにお任せしたほうがよさそうだ。 ※3/14追記出石さんよりさっそく解説をしていただいた。なんか、催促したみたいで申し訳ありませんでした。 さて、ここからは「笑い」についての話題。「笑い」の心理学的な研究はどこまで進んでいるのだろうか。私の知っている範囲のことを記せば、
上にも述べたように、どういう状況のもとで笑うのかについては我々はある程度の答えを出すことができるが(もっとも、完ぺきに解明されてしまえばコメディ創作家はみんな失業してしまうかも...)、なぜ人類に笑いという反応が形成されたのかは依然として不明。また、お金を払って落語を聞きに行ったりコメディ映画を見に行く人がいることからもわかるように、行動分析的に見ても、笑いをもたらす刺激や文脈は「行く」という行動を強化する点で、明らかに好子(positive reinforcer)として機能している。しかし、食物や水や適温が強化的であるのと同じようになぜ強化的であるのか、その生物的な価値がどこにあるのか、勉強不足の私には分からない。 このほか、笑いを感じる文脈や刺激にはかなりの普遍性があることも不思議だ。笑い上戸からしかめ面まで量的な差違があることは確かだが、ふつうは誰が見ても可笑しいものは可笑しい。文化による差も皆無ではないが、アメリカのコメディドラマは日本人が見ても同じように可笑しい。本能でないとするならどうしてこういう普遍性が形成されたのか調べてみる必要があると思う。 もう1つ、「笑い」は確かに楽しいものではあるけれど、充実した実生活無しに笑いの世界だけに埋没してもいずれ空しさを感じるようになる。基本的にはかなり受け身的な反応。老人施設などでお年寄りを喜ばすためにいろいろな笑いを与えようとしているようだが、ただ笑わせているだけでは生きがいを与えたことにはなるまい。お年寄りの慰問とは、ただ笑わせることではなく、「能動的な行動→結果」という随伴性を保障する環境を作ることであろうと、福祉施設関係者とつい最近話をしたことがあった。 となると、「笑い」は人生の本質的な価値ではない。おそらく、本質的な価値は別にあって、それを実現する円滑油として随所で有効に機能するところから、好子としての「笑い」が形成されていったに違いない。このあたりに解明の糸口がありそうだ。 |
【ちょっと思ったこと】
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【今日の畑仕事】
夕食後の散歩時にブロッコリーを収穫。 |
【スクラップブック】
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