じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
【思ったこと】 _10901(土)[日記]妻のために一日3枚 一日前の話題になるが、金曜日の昼食時に、NHK「にんげんゆうゆう:妻のために1日3枚」を見た。出演されたのは作家の眉村卓氏。 眉村さんは昭和9年生まれ。1959年に結婚し、1963年から作家活動に専念する。その後数々の作品を発表していたが、1997年に奥さんが癌で入院。御退院後の7月から奥さんのために「一日3枚以上」のショートショートを書き続け、すでに連載1500回を越えるという。ネットで検索したところ、詳しい情報はこちらのサイトでも紹介されていた。書き上げた作品はその日のうちに奥さんに読んでもらう。面白くないと言われた時はボツになる。ボツの場合は書きかえるとか。 一日3枚以上という基準はどこから来たのか。眉村氏によれば、あまり短いのは却って書きづらい。逆に枚数が増えると2〜3時間もかかってしまう。1時間、ときには30分で書き上げるのにちょうどよい枚数ということらしいが、実際には、平均6枚弱、12枚以上になるときもあるという。 一日3枚以上のショートショートを4年以上にわたって書き続けるというのは一般には相当の労力が要るように思われがちだが、1997年2月頃からWeb日記(最初は「彗星日記」)を書き続けている私としては、それほど困難であるとも思えない。ためしに直近5日間の本文(タイトル込み、写真紹介文は除く)の文字数を数えたみたところ、
もっとも眉村氏の場合、活字にしても恥ずかしくないよう、一言一句練り上げた文章、しかも記録ではなく創作として書き続けている点が根本的に異なる。やはりプロの作家はスゴイもんだと思う。 作品の内容について、奥さんに読んでもらうという性質上、病気の話や暗い話は書けないこと、SFといえども現実生活との接点があること(例えば押し入れが異次元に繋がっているとか、路上の空き缶を蹴ったら精霊が出てくるとか)に留意しているという。その他にもいくつか基準のようなものがあるらしい。この点でも、現実生活の雑記が主体となるWeb日記とは異なるように思う。とはいえ、売ることを目的にしていない作品であるなら、Web上で公開されてもいいのではないかという気もする。 番組の終わりのほうで眉村氏は、毎日執筆することについて しんどいのに義務としてやるとは考えていない。書かしてもらう権利だと思っていると言っておられた。「書くということが生」、それが常態なのだそうだ。漂流中の人であっても、助けられるまでの毎日はそれが当たり前の生活であるとも言われた。Web日記も多かれ少なかれ、同じところがあると思う。書くことは何かの手段ではない。現実の生活の一部に「書く生活」が含まれているのである。 と書いた所までで1281文字、内容は眉村氏の足元にも及ばないが、文字数を満たすだけだったら今日だって一日3枚以上書けたじゃないか。 |