じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
オクシペタラム。7〜8年前に植えた株から今年もひっそりと咲いていた。この花の青には独特の神秘性が漂う。18年ほど前にインドヒマラヤの山中で見たブルーポピーの色に最も近い。 |
【思ったこと】 _10930(日)[心理]人間・植物関係学会設立総会(1)進士・東京農大学長の基調講演(1) 三田市の兵庫県立「人と自然の博物館」で行われた人間・植物関係学会設立総会(第一回大会)に出席した。この学会は、九大大学院の松尾英輔・教授が中心となって設立されたもので会員数は8月末の登録数で正会員156名、学生会員7名となっている。昨年10月14日に行われた設立準備会発足記念講演会にも参加したことがあった。 今回の設立総会ではまず、進士五十八(しんじ・いそや)東京農業大学長から「ランドスケープ分野における人と植物の関係」というテーマで基調講演があった。わずか1時間であったが濃い内容かつ分かりやすく、非常に参考になった。 進士先生と言えばこちらのプロフィールにもあるように、全国の大学長の中でもきわめてアクティブに活躍されているお一人。 また、大学サイト内のメッセージも、“「農」の思想の中の知恵”、“ 百姓(トータルマン)”、“ 都市の『農村化こそ』”、“ 新しい都市と農村の共生をめざす”など、斬新なアイデアが盛りだくさん。ともすれば、バイオテクノロジー一辺倒に走りがちな農学研究の中にあって、人間と自然との関係性を重視したトータルな視点を示しておられる点で際だっている。 今回の講演ではまず、近代科学が発展していくなかで研究対象が細分化され、「木を見て森を見ない」研究の弊害が表れていることの問題点が指摘された。
このうち特に3.については、私自身さいきん特に問題として感じるところでもある。例えば、あるセラピーの有効性を実験的に検証しようとすると、必然的に、要素を細かく分けた上での実験操作が行われることになるが、これでは、全体の関係を把握することができない。進士先生はその一例として、戦後の都市緑化の誤りを指摘された。例えばキョウチクトウは、公害がもたらす劣悪環境の中でもちゃんと花を咲かせる樹木として選ばれた。このほか、常緑樹化が進んだのも単に一年中緑を保つというだけの分析的発想による。人間が求めているのは色彩としての緑ではなく、緑に象徴される自然とのふれあいなのだが......。 このことでふと思ったが、本物そっくりの観葉「植物」インテリア、本物そっくりの熱帯魚インテリアなども同じ発想かと思う。多少の装飾にはなるにせよ、充たされることはあるまい。 さて、モノを対象とした分析的な研究から、関係を対象とした全体的な研究への転換とはどういうことを言うのだろう。これは、ある意味では、「モノ」中心の英語から「コト」中心の日本語表現の中で初めて正確に記述できるものかもしれない。ちなみに「行動分析」はどうなるのかと思ったが、よく考えてみたら、個体が能動的に環境に働きかけるという意味で、「行動」それ自体が、関係性を示す概念になっていることに気づく。 それから、この関係性は、衣食住それぞれにおいて重視されるべきもの。「衣」は「文脈や気候に応じてすでに反映されているが、食や住でも同じような全体的視点が必要であろう。「住」においては、街並みや新興住宅地の全体的な景観など、「食」については、まさに「人間食物関係学会」があってもおかしくないと思うほどの改善が必要。食べ物をどう加工するかよりも、食べ物と人間との関わりを第一に考えていく必要がある。NHKが今年取り上げている「食」をめぐる番組を時々視ているが、そういう点ではよくできていると思う。 |
【ちょっと思ったこと】
高橋尚子選手の世界最高記録樹立とNHK 9/30に行われたベルリン・マラソンで、高橋尚子選手が2時間19分46秒で優勝したという。ところが、私が視た限りでは、すでにレースが終わっているはずの19時台のNHKニュースではその結果が全く報じられなかった(女子ゴルフで島袋選手が優勝したというニュースはやっていた)。独占中継の権利の問題かと思われるが、日本の女子選手がマラソンで世界最高を記録したのは初めてであり、そのことには十分なニュース性がある。どういう権利関係によるのか、番組制作者の(ニュース性が無いという)自主判断によるのかは不明だが、これを伝えなかったということは、非常に問題ではないかと思う。 余談だが、10/1の朝5時50分頃のフジ系列の番組では、高橋選手へのインタビューを生中継していた。「達成目標とそれに向かう努力」についての考え方は大いに参考になった。この話題は別の機会に取り上げる予定。 [※10/1追記]10/1朝の6時から6時半のNHKニュースでも報じられていなかったようだが、7時19分頃のスポーツコーナーではトップで記者会見の様子が伝えられていた。 神戸の電車賃は高すぎるぞ 上記の学会会場となった兵庫県立「人と自然の博物館」には、新神戸から北神急行と神戸電鉄を乗り継いで行った。行く前に戸惑ったのは、大判時刻表にこのあたりの路線図が描かれていないことだった。周知のように、JRの時刻表には、各地方別の路線図のほか、首都圏や京阪神地区の拡大図が掲載されている。ところが、ちょうど神戸から三田に向かうあたりは地図からはみ出していて駅名がわからない。果たして路線が通じているかどうか不安だった。 次に驚いたのだが、北神急行の運賃であった。1区間わずか8分間の乗車で350円というのは高すぎないだろうか。私のようにたまに訪れるならともかく、毎日通勤するには少々負担になるのではないか。あれって、トンネル工事を丸々受益者負担にさせているためだろうか。 ついでながら、神戸電鉄の運賃500円も、京都〜梅田間の阪急電車の運賃に比べるとずいぶん割高であるように思えた。それにしても、神戸電鉄には面白い駅名が多い。「道場」というのは何の道場があるのだろう。「二郎」も面白い。こういう古風な駅名があるかと思えば、フラワータウンやらウッディタウンといった洋風な駅名もあって、そのちぐはぐなところが面白い。地元の方、ごめんなさい。 |