じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
![]() |
サンジャクバーベナの蜜を吸うアオスジアゲハ。この一帯の花壇には、ツマグロヒョウモンや、ルリシジミ、モンシロチョウ、オオスカシバ、ヒメクロホウジャク、イチモンジセセリ、アゲハチョウ、クマバチ、スズメバチなどが入れ替わり立ち替わりやってくる。 |
【ちょっと思ったこと】
疲労困憊、ミス続出 月曜日から後期の授業が始まり、
|
【思ったこと】 _11004(木)[心理]人間・植物関係学会設立総会(3)新会長挨拶/研究発表会(1)柿との関わり 進士・東京農大学長の基調講演のあと、設立総会。最初の会長に選ばれた松尾・九大大学院教授より簡単な挨拶があった。松尾先生は、進士学長の講演の内容を受けて、
引き続いて、11時30分から、4件の研究発表があった。今回は、いずれも学会誌第一巻第一号掲載論文の執筆者による発表であった。 鶴岡(山形県)と弘前(青森県)における市民の果物観の比較調査--カキに対するる意識を中心として-- この発表でスゴイと思ったのは、アンケート調査を実施するにあたって、各市役所の選挙人名簿から年齢も配慮して500人ずつを無作為に抽出したという点である。依頼は郵送、回収率も4割台ということなので、まずまず。全市民を対象に調査した場合とあまり違わない結果を出せたのではないかと思う。 結果の中で面白かったのは、両市とも、リンゴが最も好まれること、いっぽう、「秋を感じさせる果物」としては、鶴岡がカキ、弘前がリンゴというように地域差が現れたことである。人々の季節感が、それぞれの地域で生産されている果樹の種類を反映しているという証拠を得た点で興味深い。このほか、小中学生との比較データも公表された。もっとも彼らの場合は、選挙人名簿から無作為に抽出できない。このあたりが世代間比較をする上での難しい点かと思う。 この研究の本来の特徴は、カキと人との関わりについて、全国有数の産地である鶴岡市と、リンゴの産地である弘前市を比較することにあった。季節感を与える果樹に違いが出るなど、信頼性の高いデータが得られた点は評価できるのだが、行政単位別の群間比較にどれだけ必然性があるのかという点にはちょっと疑問を持った。なぜなら、果樹との関わりはもっと個別的な生活環境に依存してからである。自分が鶴岡市民であるか弘前市民であるかということはその遠因にすぎない。また、いくらが似ているからといって、両都市には、気候、風景、交通、産業さまざまな面での違いがあるはずである。両市民の果物観に違いが見られたからといって、その原因を直ちにリンゴと柿の生産量の違いに帰属させることには無理がある。 それではどうすればよいか。個体別に、例えば、
もっとも今私が述べたような研究方法は、要因を細かく分けて効果を見るという伝統的な近代科学の手法に基づくものであって、先に進士・農大学長が強調された「全体を見る」という視点が活かされていない。もう一歩研究を進める時には、細かい要因の列挙ではなく、カキと関わることが個人の生活をどう形成していったのかを全体的に把握するようなアプローチが別に必要となる。これは、アンケートに基づく平均値比較ではなく、個別的な聞き取り、事例研究を通じて達成されるものかもしれない。次回に続く。 |