じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] どこかの高原風景のように見えるが、右端に見えるのが文学部。後ろの半田山が借景になっている。



10月18日(木)

【思ったこと】
_11018(木)[心理]民間初の類人猿研究所/チンパンジーに手話を教えること

 各種報道によれば、林原自然博物館が岡山県玉野市に「類人猿研究センター」を建設、17日に公開された(完成は8月)という。民間の研究所としては国内初となる。

 ところで、新聞記事やTVニュースによると、同センターでは、4〜6歳のチンパンジーに手話を学ばせたり積み木で遊ばせたりして、行動の発達を研究し、類人猿の社会性も観察するという。TVでは人類進化の謎をさぐるとの報道もあった(聞き取りのため正確な文言は不確か)。

 報道された範囲で多少疑問に思ったのは、「手話を学ばせたり積み木で遊ばせたりする」ことで、何を明らかにし、どのように結論を一般化するのかということだ。人工的飼育環境の中で、人間がある訓練プログラムに基づいて手話を教えるという方法をとる限りは、「チンパンジーという種の行動発達の一般法則」を発見することは原理的にできない。ある訓練ができなかったとしても、「チンパンジーという種には困難であったのか」、「訓練プログラムに欠陥があったのか」は直ちには結論できない。

 4/25の日記で触れたことがあるが、一頭のチンパンジー(例えば京大霊長研のアイやその子供のアユム)が言葉を覚えたということの成果は
「人間に固有なものだと思われていた能力や反応が、少なくとも一例、人間以外の種においても存在することが確認された。
」というように、「定説」を覆す意外性を示すことにある。決して、チンパンジーという種のどの個体でもできるということを示したわけではないし、チンパンジー一般に見られる行動法則を明らかにしたわけでもない点に留意する必要がある(98年3月25日の日記を合わせて参照)。

 チンパンジーの手話を教えた研究として最も感動したのは、ニム・チンプスキー(N・チョムスキーをもじった愛称)を対象にした研究(『ニム』、ハ−バ−ト・S・テラス著、新思索社、ISBN4783501351)であった。学術的な価値の大きさよりも、テラス氏とニムとの「人間的(チンパンジー的?」な心の通い合いにひかれるところがあった。

 「手話を教える」実験は、
  • 客観的な観察に限界があること(思い入れがあると、ある手話を使っていたかのように見えてしまうこと)
  • 手話以外のしぐさが効果を及ぼすかもしれないこと
といった難点に加え、実験者とチンパンジーのあいだの親密な関係を作ることが必要であるため、チンパンジーと寝食を共にするぐらいの動物好きで根気があり、かつ研究と私情をはっきり区別できるような優秀な訓練者を確保することがぜひとも必要となる。今回公開された民間研究所の研究の成否は、優秀なチンパンジーの確保よりも、すぐれた訓練者の確保にかかっていると言えるかもしれない。
【思ったこと(2)】
_11018(木)[電脳]大学公用サイトのどこが見られているか

 大学の公用のホームページのカウンタがまもなく7万アクセスに到達する見込みとなった。本日、ちょうど9月分のアクセスデータを入手したところでもあり、どのページが読まれているか、簡単に集計してみることにした。こちらのデータを基に、それぞれのジャンルでアクセス数トップとなったページを並べてみると.....
アクセス数("*"=100)備考
日本語表紙***************************2348
ミニマムサイコロジー表紙**********1092
長谷川ゼミ構成員が提出した研究報告書****399
長谷川ゼミインデックス**240
研究活動紹介**210
Web日記の連載(心理学関係のみ)インデックス**204
ネット公開論文インデックス**198
心理学関係リンク集**195
長谷川プロフィール*149
長谷川ゼミ卒論原文インデックス*132
英語表紙*117
ガイダンス科目受講生向け*107
2000年度卒論リビュー*100
※画像ファイルは除く。「http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/」以下のurlのみ記します。
 この中では、昨年前期に3回生向けの演習の一環として開設したミニマムサイコロジーサイトが、第二位のアクセス数を誇っていることに驚く。一部のコンテンツは発達心理学関係の有名サイトからリンクしていただいていると聞いた。学生のフレッシュな目で捉えた心理学が、既存の入門書に無い魅力を作っているのかもしれない。

 このほか、ゼミ関係、研究活動紹介、読み物、ネット上公開論文などが続く。この日記のアクセス数に比べると相当に少ないことは確かだが、殆ど更新していないようなページにも100回以上のアクセスをしていただけるというのは有り難いことだ。

 ちなみに、授業はすでに7月中に終わっており、9月は夏休みの閑散期にあたる。10月には、後期授業用のサイトを新規に開設したこともあり、学内からのアクセスがかなり増えるものと予想される。11月以降に、10月分のアクセス統計をとって比較材料としたい。