じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

10月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真] 最近、大学構内でシロクロのネコ3兄弟をよく見かける。3兄弟には個性があり、道の真ん中で仰向けに転がっているのもいれば、車の下でじっと私の様子をうかがっているのもいる。



10月24日(水)

【ちょっと思ったこと】

大学に来ない教員

 TVのローカルニュースによれば、県内の某大学(岡大ではない)で教員の服務規定違反(勤務時間に大学に来ていない)が問題になっているという。発端は、ある授業の受講生がかなりの比率で不合格となり、クレームがついたことにあるという。その教授は合格者を増やす措置をとったものの、その成績の訂正理由の明確化を求める過程で表記の問題が明るみに出たという。大学に来ない教員は他にも居るという。

 もっとも、この規定を厳格に適用すると、文系の教員はかなりの意識改革が求められることになりそうだ。それと、自宅で論文を書くというような行為が規定違反になるのかどうかも明確にしておく必要がある。このような行為は自宅研修として許容される慣例があるが、丸一日全く来ない教員が出勤簿に押印するのは奇妙であるし、学生が質問に来る時間も保証されないことになる。

 ちなみに、私自身は、毎朝8時すぎに出勤し19時頃に退室することを日課としているので、規定がどのように厳格に適用されようと全く困ることはない。出勤時間が片道10分程度というのが何と言っても強みである。
【思ったこと】
_11024(月)[心理]totoの方式変更

 低迷しているサッカーくじtotoの方式が来年から変更になるという。10月24日19時のNHKニュースによれば、これまでは、「勝、負、引き分け」の予想をしていたものを、90分時点での「勝」、「負」、「延長」を当てる方式にに変更し、予想を難しくすることで1等賞金のアップを狙うということらしい。サッカーのルールもロクに知らない私があれやこれや言うべきではないかもしれないが、もしこの変更によって人気が復活するとしたら、心理学的にもまことに興味深い事例になると思う。

 今回の変更は1等賞金が100万円以下に(9月には1万円以下も)なることが多かったことに起因しているという。こちらによれば、5月に約38億7000万円を記録した売り上げも、配当に比例して下がり、今月16日締め切りの第26回では約10億8000万円まで落ち込んでいるとか。しかし、予想が簡単であっても困難であっても、ランダムに予想した場合の当選金期待値は変わらないはずである。つまり、貰える金額がアップしても貰える確率はそれに反比例して下がるわけだから、何ら有利な条件が生まれるわけではない。

 このカラクリは、おそらく、量は少ないが着実に得られる条件よりも、確率はきわめて小さいが当たった時には莫大な量が得られるという条件のほうが強化されやすいという、人間という種の特性に依拠しているように思われる。特に、狩猟や漁業に頼って生活する場合には、何日も何日も獲物が手に入らなくてもじっと我慢することが大切、そのかわり見事に獲得できた時には大喜びするという次第。

 しかし、期待値が莫大なら必ず強化的になるかと言えばそうでもない。例えば、「コインを投げて、表が出れば続行、裏が出たらそこで打ち切り。賞金は2n円(但しnは連続して表が出た回数)。」なんていうゲームの期待値は、「1/2+1/2+1/2+.....」というように1/2を無限に足し合わせることになるため、無限大となる。それゆえ、1ゲーム1万円を払っても参加する価値はあるはずなのだが、そのゲームを続ける人はまずあるまい。有限のゲーム時間の中で一人の人間が出資金をはるかに超える賞金を手にすることのできる確率があまりにも低すぎるためであろう。

 サッカーくじのようなゲームは、「外れてもそれほど深刻な損失にはならない」という前提の上で成り立つギャンブルであると言える。そういう条件のもとでは、当たる確率よりも、当たったときの金額の大きさだけが魅力として独り歩きするのかもしれない。

 クジの魅力の大きさについては様々な認知心理学的モデルが提唱されていたと思うが、当選金の期待値や当選頻度ばかりでなく、「好子出現(当選)の随伴性」、「好子消失(参加費支払い)の随伴性」のバランス、及び、「能動性(予測する際に、情報収集や分析をすることがどれだけ貢献するか)の程度」という概念をぜひとも導入することが必要かと思う。で結局、totoは人気を取り戻すことができるだろうか。「外れてもそれほど深刻な損失にはならない」という経済的にゆとりのある人々が増えない限りは、効果は期待されないように思うのだが。