じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 天まで届け! レオノチス。



11月8日(木)

【ちょっと思ったこと】

オール阪神巨人

 昼食時にNHKスタジオパークの最初の部分を視た。この日のゲストは、正統派しゃべくり漫才のオール阪神巨人さん。11/4の日記読みで取り上げたことがあるが、私が遭遇した数少ない芸能人でもあった。私個人はふだんは漫才を殆ど視ない。土曜日昼の「生活笑百科」で準レギュラー出演されていなければ名前を知ることもなかっただろう。

 このお二人、歳の差が6つもあるというのはちょっと意外だった。番組によれば、オール巨人さんは玉子屋さんの息子、オール阪神さんは物真似上手な高校生、素人からスカウトされてのデビューであったという。1976年の第6回NHK上方漫才コンテストで最優秀話術賞を取ってその地位を不動のものにしたが、実は予選の時に、オール阪神さんが途中で言葉に詰まってしまい次点、たまたま辞退者が出たために決勝に進出するという強運に恵まれた。吉本の同期には、明石家さんま、島田紳介が居る。

 仲の良さそうな二人だが、コンビ解消の危機もあったらしい。また実生活では、趣味、飲酒、喫煙、食事などさまざまな面で正反対の傾向があるという。当初は50歳に達したら漫才をやめると宣言していた時期もあったが、夢路いとし、喜味こいし師匠にならい、これからも年相応の漫才を目ざしていくという。

 後でネットで調べたところ、オール巨人さんは1951年、オール阪神さんが1957年の生まれだという。私(1952年生)と妻(1958年生)とほぼ同じ世代だ。いつまでも年相応の漫才で楽しませてもらいたいと思う。
 



違式「言圭」違条例施行

 ↑より少し前の「今日は何の日」によれば、11月8日は東京府で1872年に違式「言圭」(←1文字)違条例が施行された日であるという。難しい名前の条例だが、今でいう軽犯罪法。「立小便禁止」、「入れ墨禁止」、「動物の死体放置禁止」、「馬車の無灯火運転禁止」、「町中での花火禁止」など今でも通用する規則のほか、「女性のショートカット禁止」、「裸体での外出禁止」など、興味深い規定もある。違反者は罰金、罰金が払えない者はむち打ち、もしくは短期の収監。実際の違反者は1万人余りで、一番多かった違反は立小便だったという。もっとも当時、どれほどの公衆トイレがあったのだろうか。

 番組では、条例とともに錦絵が紹介された。当時の風俗を知る貴重な資料と言えよう。なお、「言圭」は「カイ」と発音するようだが、ネットで調べたところ、こちらでは「サイ」とふられていた。どちらが正しかったのだろう。
【思ったこと】
_11108(木)[一般]アメリカは世界の王様か

 1日前の朝日新聞「思潮21」で、岩井克人・東大教授が「アメリカ、アメリカ:テロリストの誤った世界認識」という、興味深い主張をしておられた。その論点を私なりに要約すると、
  1. テロの背後には、世界はいまアメリカによって一元的に支配されているという世界認識が控えている。確かに、アメリカは世界で唯一の超大国。世界最強の経済力と軍事力を持っているからだけでなく、意思の疎通はすべて英語で可能。代金の支払いもすべてドルで済む。
  2. とはいえ、世界がアメリカによって支配されているという世界認識は誤り。アメリカは世界の「基軸」国としての位置を占めているすぎない。
  3. ドルは世界の基軸貨幣だが、それは世界中の国々がアメリカと取引するためにドルを大量に保有しているという意味ではない。アメリカ以外の国々の取引においても貨幣として使われているということにすぎない。
  4. 英語が基軸言話であるとは、日本人と韓国人、ドイツ人とチリ人の間の対話が英語を媒介として行われているということ。
  5. アメリカが世界を支配しているのではない。アメリカの貨幣や言語は、アメリカのものでありながらアメリカのものではない。それらがグローバルなコミュニケーションに関わるすべての人間のコミュニケーションの媒介として世界を流通しているから。
  6. グローバル化された現代においては、王様が王様であるのは、王様を基軸として他のすべての人間がお互いに関係しあっでいるからにすぎない。
  7. 今回の同時多発テロは、世界をすべて支配と従属の関係とみなす誤った世界認識に基づく。旧体制の世界認識が生き続けている限り、同じような混乱がこれからも起こりうる。
 3.のドル決済のことは素人なりに考えるとこういうことだろう。例えば、日本がドイツから100万ドルの輸入をする場合を考える。100万ドルを調達するためには、まず米国に先に物を売って代金を受け取らなければならない。この場合、米国は極端な場合(アメリカから一切物を買わない場合)、紙幣の印刷代だけで日本製品を手にすることができるのでそれだけ贅沢ができる。

 しかし、その後ドイツとの二国間の間で取引をする際には、もはや米国は介在しない。輸出入のたびに同じ札束が日本とドイツの間を行ったりきたりするにすぎない。というか、輸入額と輸出額が同じ規模であるならば、ドル建てというのは物々交換の際の数字上の約束事にすぎなくなり、紙幣そのものも不要になるのではないかと思われる。

 もちろん、その前提としては為替の安定が必要条件になるのだろうが、円とマルクのレートが変わらない限りは、ドルの急騰や急落が二国間の貿易に本質的な混乱を与えるとは考えにくい。岩井氏はおそらくそういうことを指摘されたのだろう。

 英語の問題は、おっしゃる通りかと思う。9/23のユネスコ主催の国際シンポジウムなどまさにそうであり、会議はすべて英語で行われたが、米国代表は一人も参加していなかった。周知の通り、米国はユネスコから脱退したままになっているからだ。

 もっともこの件に関しては多少異論がある。この日記でも繰り返し主張しているように、義務教育段階で教える英語は、あまりにも時間をかけすぎ、米国人にサービスしすぎていると思うからだ。日本人と韓国人、あるいはドイツ人とチリ人の対話をスムーズに行うためには、米国人だけが使うような慣用句や不規則動詞を覚えることにエネルギーを注ぐ必要は全くない。発音なども、ネイティブな米国人そっくりに真似るよりも、相手に伝えやすいようにしっかりと話すことのほうが重要ではないかと思う。

 例えば、インド人やパキスタン人は「r」を巻き舌で発音する。オーストラリア人は「エイ」を「アイ」のように発音する。そのことさえ分かっていれば、米国人(ま、米国人でも随分いろいろな訛りがあるけれど)そっくりでなくてもちゃんと聞き取りができるわけだ。日本人がどうしても「r」と「l」の区別が付かないのであれば、「read」と言うときには「qread(キューリード)」、「lead」と言うときには「klead(ケイリード)」と言い換えて区別すれば良いではないか(←語頭にqやkをつけるのは、アルファベットの次の文字が続くという約束事)。

 もう1つ、「王様が王様であるのは、王様を基軸として他のすべての人間がお互いに関係しあっでいるからにすぎない」というのもまさにその通りかと思う。そもそも、王様が贅沢の限りを尽くし、気に入らない家来を好き勝手に死刑にするなどという世界は現実にはありえないことだ。王様が絶大な権力を誇る国というのは、その体制を維持することで得をする支配層の取り巻きがあって初めて実現することである。日本の天皇制もそういう形で維持されてきたし、最近のカンボジア、さらには、今取りざたされているタリバーン崩壊後のアフガニスタンでも、基軸としての王様に注目が集められている。もっとも、米国の場合、単なる基軸としての王様以上に、日本にいろいろなことを要求しているようにも思えるが。