じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 大学祭の後かたづけの日。黄金色の絨毯が敷き詰められたような景色。毎年ここで御紹介する岡大七不思議の1つ「落ちない銀杏」は今年も健在で、右の写真のようにまだ大部分は緑の葉を残している。 [今日の写真]



11月26日(月)

【思ったこと】
_11126(月)[心理]しごと、余暇、自由、生きがいの関係を考える(20) 観光地の渋滞対策

 夕食時にNHKクローズアップ現代「渋滞なくせ観光地」を視た。合掌造りで有名な白川村と、鎌倉市はともに休日になると都会からのマイカーが大量に押し寄せ大渋滞となる。地域の住民は安心して歩くことができず、急病や火災時の緊急車両の移動もままならない。

 白川村では、国の補助を受けて観光地区内への乗り入れを禁止。周辺に駐車場からシャトルバスで観光客を運ぶ実験を行い、ほぼ成功をおさめた。鎌倉市の場合も周辺の駐車場から電車に乗り換えて訪れる人たちを優遇するなどの措置をとったが、こちらのほうは、通過する車のあることから規制は難しい。有効な対策はとれていないように見えた。

 こうした渋滞問題への対症療法としては、他に、ナンバープレートの末尾数字による規制(例えば11月27日は、数字が7で終わるナンバープレート以外は入れないようにする。「1」が有利にならぬよう31日については別途考える)、電車やバスを利用した客への徹底した優遇措置(入場料半額など)など他にもいろいろな対策が考えられるが、根本的には「ガイドブックに書いてあったから」、「みんなが集まるところだから」という理由だけで行きたがるような主体性の無いレジャー感覚を改め、自分だけのお気に入りの場所を探すとか、滞在型のレジャーを楽しむといった、観光客の分散化を進める以外に方法はないと思う。

 8月にカナダを旅行した時にも思ったのだが、主要観光地であるはずのカナディアンロッキーの各所の湖やナイヤガラ周辺でも目立った渋滞は無かった。人口密度が低いこと、道路が広いことにもよるのだろうが、記念写真を撮影して次々と名所を回るというような「トイレ休憩型」の観光スタイルを好まないことも渋滞解消に寄与しているように思われた。

 岩波国語辞典に「【観光】: 他国・他郷の風光・景色を見物すること。」とあるように、観光はほんらい、景色をゆっくりと眺めることに意味がある。ところが日本の場合は、自治体と観光業者が一体となって観光協会のようなものを作り、もっぱら人を呼び寄せ、消費をしてもらうことばかりを追求する。渋滞は困るが客が減ってはもっと困るという前提で考えるから後手後手に終わってしまうのである。

 観光施設の中でも、人が集まらないと成り立たないテーマパーク、博覧会、温泉、スキー場などは、最初から交通手段が確保できるような立地を考えるべきだろう。いっぽう、風光明媚なスポットは、ほんらい観光業者が儲けるべき場所ではない。景観をそのまま残し、サービスエリア程度の簡素な施設一箇所を作っておけばよい。それと、何が何でも土産を買わないと済まないという買い物依存症的な観光も改めるべきだ。家族や知人にはデジカメで撮影した写真でも見せながら土産話をすればそれでよい。そうした発想の転換があってもよいのではないかなあ。