じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 農学部前の楷の木の紅葉。毎年のことであるが、紅葉は木の南半分から始まる。昨年、農学部の先生からこの原因について専門的な説明をいただいた。日光が当たる部分のほうが光合成が活発になり、ムニャムニャ....ということだったが、後半部分は忘れてしまった。





10月31日(木)

【ちょっと思ったこと】

「締切を守る男」か「締め切りに操られる男」か

 10/29の日記で、「10月末締め切りの原稿を書いているのだが、......【中略】......400字詰め13枚分の原稿は、まだ3行しか書いていない。果たして間に合うもんだろうか。」と書いたが、30日のうちに約10枚分が完成、31日の朝に残りの3枚を書き終えて午前中には出版社に添付ファイルを送ることができた。

 今回に限らず、私は比較的締切をちゃんと守るほうだ。事務的な文書であれ、紀要の原稿であれ、スケジュール表から抜け落ちていない限りは、期限きっちりに原稿ができあがる。自分でも不思議なほど、ギリギリで間に合ってしまうのである。

 もっとも、これは必ずしも自慢できるものではない。というのは、逆に言うと、締め切り間際まではなかなか筆が進まないのである。10〜20枚程度の原稿の場合は3日ぐらい前、紀要のように50〜80枚を書く場合は1カぐらい前にならないと、どうしてもスピードが上がらない。単純作業の積み重ねであるなら、もう少し自己管理の工夫もできるのだが、考えがまとまらないというのは困ったことだ。

 これはどうやら、毎朝Web日記を書くというスタイルが完全に身についてしまったせいらしい。Web日記は毎朝どんなに遅くても8時半までにはアップするように心がけているおかげで、時間ギリギリになると急速に考えが整理されてくる。ところが、そういう習慣が強化されてしまったために、逆に、ギリギリになる前は、いろいろなアイデアが錯綜して筆が進まないのである。

 だいぶ昔になるが、将棋の加藤一二三・九段の秒読み将棋というのが話題になったことがあった。加藤九段は、第三者からみるとどうでもよさそうな場面で長考することがある。結果的に持ち時間を使い果たして、各手1分以内に指さなければならない秒読み将棋になってしまうのだが、こうして追い込まれると逆に的確な手を指せるようになる。たぶん、いろいろ考えすぎて悪手を指すよりも、秒読みという追いつめられた中で迷いを捨てたほうが結果的に好手が出やすいということだと思う。

 もっとも、ギリギリにならないとまとまらないというクセは、年を取れば取るほどストレスになっていく。そろそろスタイルを変えなければ.....。
【思ったこと】
_21031(木)[心理]地域通貨その後(1)

 10/28(月)の夕刻、江東区公会堂「ティアラこうとう」で、第13回エコマネー・トークが開催された。今回は、EUの通貨単位ECUづくりに携わり、『マネー崩壊』(日本経済評論社)や『マネー』(ダイヤモンド社)の御著書で知られる、カルフォルニア大学バークレー校研究員のベルナルド・リエター氏が来られるということだったのでぜひとも参加したかったのだが、あいにく月曜日には複数の授業があり、上京を断念せざるをえなかった。事後に聞いた話では、180名近い参加者があり、盛会であったという。

 さて、私自身は、この夏にスキナー以後の行動分析学(11) 地域通貨と行動分析という紀要論文で私なりの考えをまとめ、また、8月下旬の行動分析学会年次大会でシンポジウムを自主企画した。これを機会に、夏以降のいくつかの動きを追ってみたいと思う。

 まず、注目すべき著作として、

●柄谷行人『日本精神分析』文藝春秋、2002年、ISBN 4-16-358430-7。
●加藤敏春『エコマネーはマネーを駆逐する〜環境に優しい「エコマネー資本主義」』勁草書房、2002年、ISBN4-326-55043-0

の2冊を挙げておきたいと思う。

 柄谷氏のお考えは、坂本龍一氏とのビッグ対談の記事で拝読したことがあるが、上掲書の中では、エコマネーをかなり痛烈に批判している。もっとも、エコマネーの将来構想については多少誤解があるように思えた。このあたり、この連載の次回以降で私なりの考えを述べていきたいと思う。

 8月には、北海道の栗山町で、第一回地域通貨国際会議が開催された。この内容についての加藤氏の総括は、エコマネーの将来像ばかりでなく、各地の取り組みや、柄谷氏の著作で紹介されている「オルターナティブQ」という市民通貨についても言及されており、大いに参考になる。

 また、つい最近、加藤氏はエコマネーと地域通貨〜正確なエコマネーの理解を!〜という声明を発表されている。この内容についても、次回以降に取り上げたいと思っている。

 一番最初に挙げたリエター氏だが、11月7日はびわ湖環境ビジネスメッセ2002協賛 ―「エコむら」から未来社会を展望する− 滋賀エコむら国際シンポジウムでも「地域通貨がひらくもうひとつの社会」という演題で講演されるそうだ。あいにくこの日も授業が重なっていて拝聴できない。このシンポでは日高敏隆・総合地球環境研究所所長らが出演される対談もあるという。お近くの方にはご参加をオススメしたい。