じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
農学部正面への楷の木。11月8日早朝。 |
【ちょっと思ったこと】
広島大学初訪問 ↓の研究集会参加のため、初めて広島大(東広島キャンパス)へ。移転後に訪れたのはこれが初めてである。 岡山と広島は隣り合う県ではあるが、移転後の広島大というのは結構交通が不便な所にある。
西条駅で降りてから食堂を探したが、居酒屋ばっかりでなかなか見つからない。ぶらぶら歩いているうちに「フジグラン」とかいう大型スーパーがあり、ダイソーで買い物したあと、隣の軽食店でラーメン、ソフトクリーム、ホットドリンクバー(コーヒー飲み放題)など。 宿舎は大学北門にある国民年金健康保養センター。最上階には展望露天風呂(朝風呂も可能)などあって、のんびり過ごせた。広大出張には最適だと思うが、学会の時などはきっとすぐ満員になってしまうのだろう、 ハンセン病文学全集 11/9朝6時台のNHKニュースで、ハンセン病元患者たちの作品が文学全集として刊行中であることが紹介された。少し前、この問題をテーマにした修論を読む機会があり、いろいろ学ぶことが多かった。強制入所後は療養所内の患者と結婚することもあり、また宗教活動に参加する者もいる。失明によって人生観が大きく変わることもある。 今回の番組でも紹介されていたが、療養所内で最もひどい人権侵害は、「秩序を乱した」などの理由で収容される重監房であった。文学全集の中でもこの問題が正面から取り上げられているということだ。 |
【思ったこと】 _21108(金)[教育]戦後教育の終焉と日本型高等教育のゆくえ(1) 広島大学高等教育研究開発センター創立30周年記念の研究集会「戦後教育の終焉と日本型高等教育のゆくえ」に、岡大のFD委員長として出席した。 今回の研究集会の名称にもある通り、このセンターは今から30年前、ちょうど私が2回生の頃に設立された。岡大にも教育開発センターがあるが、現時点ではまだ専任ポストさえない。こちらは専任が12名というから大変なもんだ。懇親会の席上で伺ったところによれば、一時期は「研究センターは広大に貢献していない」「もはやその役割は終えた。今後は実践センターに」という声もあったというが、現学長の強い支持もあって「研究」を守り抜く。そして、今回、21世紀COEプログラムに採択という栄誉に輝いた。 1日目は、牟田泰三・広島大学長の挨拶に続いて、ドイツのKassel総合大学のTeichler(タイヒラー)先生による「Higher Education Reforms in Comparative Perspective」と、国立学校財務センターの天野郁夫先生による「日本型高等教育のゆくえ」という基調講演が行われた。 タイヒラー先生の講演は、ドイツ語訛りの英語で行われた。通訳はつかなかったが、英文と和文の草稿があり、内容はだいたい理解できた。もっとも、原稿の棒読みに近かったので少々眠くなった。要点を記せば、
次の天野先生の講演は、非常に分かりやすく面白い内容だった。その基本的な論点は
このうち、アメリカ化のように見えた改革の問題点として
フロアからの意見として、
私自身が多少疑問に思ったのは、「少子化」問題が殆ど取り上げられていなかった点である。確かに日本には改革のグランドデザインは無いが、少子化により入学者が減ることにどう対応すべきかという点では、共通した危機意識があると思う。そもそも理想的なグランドデザインがあったところで、それだけでは大学人は動かない。「アメリカではの神」の「信仰」も、少子化の危機意識が煽られるからこそ「信者」を増やしていったのである。そういう意味では、「多様な改革」と「少子化、定員割れ」による淘汰に委ねれば、「認証評価」のようなプロセスに時間をかけなくても、結果的に「残るべきものが残る」ことになるのではないかと思う。このあたりは、企業の生き残りと同じ論理だ。但し、基礎的研究をどう守るかについては別の施策が必要であろう。2日目のディスカッションはどのように展開されるだろうか。 |