じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
研究室の窓際で育てている蘭の花が勢揃い。1カ月以上咲き続けているパフィオペディルムのほか、デンファレ、さらに数日前に4輪が揃ったミニカトレアなど。こうした蘭のおかげで室内は適度が湿気が保たれており、最近では風邪をひいたことがない。また、静電気の放電に悩まされることもない。 |
【ちょっと思ったこと】
ユーザーは103歳 ネット経由で、某英語辞典(ハードディスクインストール版)のバージョンアップ申し込みをした。この辞書は語数約34万5000語、用例約17万5000語が収録されており、私個人が英語文献を読むにはこれで十分なボリュームだ。手持ちのバージョンはXPで文字化けして使い物にならなかったため、やむをえず手続をとることにした。 ネット上の申し込みで気になったのは、申込者の生年月日を初め、興味のあるジャンルなど、バージョンアップの手続上必然性の無い質問項目がいっぱい並んでいたことである。私の研究室には、時たまこの会社の関連会社からと名乗るセールスマンが、「おかげさまで我が社は創業○○年を迎えました。これを記念して...」などと美術書などを売りつけようとする。そんなところに個人情報を提供してたまるものかと、生年月日は1900年1月1日としておいた。103歳のユーザですなあ。ついでに、職業欄の所には「個人情報を提供する必然性はない」と書いてやった。パッケージのほうはわずか3日後に到着。103歳のユーザーということで優先的に送ってくれたのだろうか。 もう1つ気になったのは、発音を聞くために必要なRealPlayerのインストールを求めている点だ。RealPlayer自体が悪いとは言わないが、何も考えずにデフォルトのチェックを残して登録作業を進めていくと、既存のオーディオ出力設定がこのソフトに乗っ取られたり、特別販売情報などがEメイルアドレス宛に送られてくることになってしまう。たかが英語辞書の音声を聞くだけのために、何でこんな大がかりな変更をしなければならないのか少々疑問であった。ま、好意的に解釈すれば、マイクロソフト寡占化へのレジスタンスと言えないこともないけれど。 オトナの快眠術 夕食時にNHK「ためしてガッテン 必見!オトナの快眠術」を視た。寝付きをよくするにはメラトニン、ぐっすり眠るには、適度のストレスとそこからの回復ということらしい。 私自身は、子どもの時から一度も不眠に悩まされたことが無く、従ってその解決策にもあまり興味が無かった。今回の番組で分かったのだが、私自身の生活リズムは、知らず知らずのうちに「快眠術」を実践していたのであった。例えば、夕食後の散歩は適度のストレス&解消にもなるし、暗闇の中を歩くことでメラトニンを増やすことにもなりそう。それと何よりも、体内時計に一致した睡眠リズムをきっちり守っていることが実証された。 |
【思ったこと】 _30212(水)[心理]「自然と人間の共生」研究会(前編):日本史学と考古学からのアプローチ 少し遅くなったが、2月10日(月)に行われた学長裁量経費によるプロジェクト“自然と人間の共生:「環境」と文化・文明・歴史”公開研究会の報告。 この研究会は、昼の休憩1時間をはさんで朝10時から夜19時までぶっ通しで行われ、文学部の教授・助教授8名がそれぞれの立場からこのテーマについての研究発表を行った。これまで「自然と人間の共生」などといっても、環境理工学部系や農学部系の研究会ばかりが行われてきた。文学部の中から8名もの教員がこのプロジェクトに参加した意義は大きい。 私個人は授業や雑務のため、残念ながら午後中(芸術学関係の発表)は参加できなかった。午後の1番目は私自身の発表であったが、これについては2/6〜2/9の日記ですでに構想を示してある。 私の次は、日本史のI氏による「大宝二年御野国家毛郡半布里戸籍をめぐって」という発表。戸籍の史料的価値については種々の議論があるが、それを詳細に分析する中で、当時の家族制度、結婚年齢、出産数、寿命、再婚の有無、人口ピラミッド、食糧事情、疫病や災害など、さまざまな謎を明らかにすることができるようだ。この種の研究では統計的は手法も使われる。「Myer's Index」の説明もあったがよく分からなかった。 このご発表とは直接関係無いのだが、この種の研究では、ある「出来事が起こった」という事実が確認されたのち、「それはなぜ起こったのか」について、なるべくシンプルな原理を組み合わせて整合性のある説明を展開するという研究方法をとっているように思われた。戸籍の移動の場合にも、記載された人々がどういう血縁関係にあったのか、あるいは父系か母系かといった「原理」が説明に使われることになる。婚姻は人間のすることだから決定論的解釈でいいんだろうが、一般的な歴史事象には常に「偶然」がつきまとう。2/3の日記に ●単なる偶然(偶然の一致)こそが、しばしば最も有効な説明原理である。 と書いたことがあったが、歴史学では「偶然」をどう扱うのかなどと思ってみたりする。ま、すべての出来事を「偶然」で片付けてしまったのでは学問は成り立たないが、偶然的な事象まで無理矢理説明してしまおうという風潮は無いもんか、つまり、「シンプルで整合性のとれた説明」がすなわち真の原因の同定になっているのか、という点で多少疑問があった。 午後3番目は考古学のN氏の「人口変動シミュレーションからみた自然と人間」という発表。考古学はこういうこともやるんかと、まずテーマそのものに驚かされた。方法のところには「Linux上でプログラム言語perlを用いて実行、個々の人間は、余命情報のみをもつ配列で表現...」などと書かれてあったが、考古学の研究にPerlが出てくるとは思いもよらなかった。 シミュレーションによれば、日本では近い将来、かなり異様な人口ピラミッドが予測されるようだ。もっともこうした少子高齢化危機がある反面、地球規模では爆発的な人口増加が続いている。この点についての合理的な説明はなされていないように思えた。 病気が多く乳児の死亡率の高い発展途上地域では、食料が不足がちであっても多産傾向になる。このこと自体は生物学的にも説明がつくのだが、医療技術が進歩したいま、なお、人口増加に歯止めがかからないのかはよく分からない。それとこの種のシミュレーションでは、日本で顕著となってきた晩婚化あるいは非婚化現象がうまく取り込めないように思う。過去データとは全く異なる説明原理が必要になってくるはずだ。 ということで次回に続く。 |