じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
ムスカリ。植えっぱなしでもよく育つ。青いツクシのようにも見える。 |
【思ったこと】 _40323(火)[心理]質的研究の将来(1)慌て者の誤りとボンヤリ者の誤り 白百合女子大で開催された日本発達心理学会の年次大会の感想の1回目。発達心理学というと、子供の発達や発達障害を研究する分野であるように思われがちであるが、人間の発達は死ぬまで続く。最近では、高齢者福祉、結婚、家族などをテーマにした企画も多くなってきた。今回は、高齢者福祉や、質的研究に関わるシンポを中心に当日会員として参加した。 そのなかでも大会2日目午後に行われた ●質的研究を評価-洗練するための理論的・方法論的・実践的提案:次世代を創る人間科学的コラボレーションの実践 というシンポはなかなか興味深い内容であった。 質的研究というと事例紹介の形をとることが多いが、ともすれば「こんな面白いことを研究した」だけに終わってしまう。テレビのワイドショーならそれでもよいが、学問として発展させるためには、それを適切に評価し、発展の方向性を示すことが大切である。私の教室でも最近、質的研究を重視した卒論・修論が増えてきたところであり、今回のテーマは大いに興味をそそられた。 シンポはまず、サトウタツヤ氏の話題提供から始まった。タツヤ氏は、経験科学というと実験や量的研究のことを思い浮かべるが、その出発点は観察にあること、質的研究を評価するシステムづくりが大切であること、そのさい、新たな評価軸を作ることで、これまで評価されていなかった研究を拾い上げることができる点などを強調された。このうち、「新たな評価軸」についてはちょっと考えるところがあったが、これは明日以降に日記に記すことにしたい。 さて、タツヤ氏は、質的研究における方法論的な留意点というお話の中で、
この「第I種、第II種、...」とは出所の違う(→信号検出理論)概念として、ヒット、フォールスアラーム、ミス、コレクトリジェクションという言葉がある。質的研究の場合は、こっちのほうがしっくりするような気がするが、もう少し慎重に考えてみないと何とも言えない。 それと、もし「思い込みを避け、多面的に物事をとらえる」ことの大切さを説くのであれば、むしろ、批判的思考(クリティカル・シンキング)とリンクさせたほうがよいようにも思えた。次回に続く。 |