【思ったこと】 _40908(水)[一般]台風18号報道で思ったこと
台風18号は、死者31人、不明14人(9月9日付朝日新聞。8日20時の集計。NHKの8月9日朝の調べでは死者30人、不明14人)、最大瞬間風速が広島市で60.2m、札幌市で50.2mなど、各地で記録的な暴風被害をもたらし、8日15時に温帯低気圧に変わった。中国地方西部を通過したこともあり、7日は、朝から晩までテレビのニュースから目が離せなかった。そんななか、テレビの報道で気づいたことをいくつか。
- 「現地の様子」を伝える危険なパフォーマンス
気象災害の報道ではしばしば、びしょ濡れで風に吹き飛ばされそうになりながら現地の状況を「報告」しているが、なんであんな危険な場所に立たなければならないのだろうか。視聴率稼ぎのパフォーマンス、災害報道の商品化であるとしか思えない。
どこかの民放の実況中継では、女性リポーターが電柱につかまりながら現地の様子を伝えていたが、すぐ後ろの道路はすでに崩壊しており、濁流が流れていた。また、別の実況中継では、男性リポーターがヘルメットもかぶらずに、すぐ近くの信号機が風で折れ曲がって落下する様子を伝えていたが、危ないったらありゃしない。
- 「雨、風とも一段と強く」は、リポーターの主観?
台風が接近している現地での第一声は、「雨、風とも一段と強くなってきました」だが、これってどの程度の信憑性があるのだろうか。
一般論として、台風が近づけば風雨が強まるのは当然である。しかし、暴風圏に入ったからといって常に25メートル以上の風が吹くわけではないし、中心から離れたところで突風が吹くこともある。また、レーダーで見ればわかるように、台風の雨雲は渦状でところどころ隙間がある。「台風が近づいたから強くなったに違いない」という思い込みで報告するくらいなら、黙っていたほうがよい。
そんな主観に頼るくらいだったら、風力計と雨量計を持ち運び、「この場所では現在、平均風速○○メートルの風が吹いています。この30分以内の最大瞬間風速は○○メートルでした。直近の10分間の雨量は○○ミリです。」と、客観的な数値を上げて報告すべきである。それができない現地報告など、野次馬同然。
- 外国人の死者・行方不明に冷淡
上にも記したように今回の台風では死者31人、不明14人(9月9日付朝日新聞。8日20時の集計。NHKの8月9日朝の調べでは死者30人、不明14人)という人的被害が出た。平成以降の気象災害事例を辿ってみたも、これほどの規模の被害は滅多にないように思う。
しかし、そのわりには、死者・行方不明者のことはあまり大きく取り上げられなかった。じつは、死者31人のうち、11人はインドネシア船籍の貨物船(他に不明者11人)、3人はカンボジア船籍の木材運搬船、というように、外国人船員の犠牲者・行方不明者が過半数を占めている。
外国人が犠牲者であるとはいっても、広島や山口の海で起こったことだ。台風情報が的確に外国船に伝わったのか、救助体制は万全であったのかなど、取り上げるべき問題は多いように思う。
- 現場責任者への電話インタビューは仕事の妨害?
ローカル放送で、自治体の災害対策本部関係者に電話インタビューが行われていたが、こういう人たちは、刻々と伝えられる被害情報を漏れなく把握し、適切に指示を出す立場にあるはずだ。マスコミからの問い合わせに応対していたのでは仕事にならない。ま、別の人たちが陣頭指揮にあたっているというなら構わないけれど。
- アナウンサーは過剰勤務?
NHK岡山のローカル放送では、私の記憶に間違いがなければ、高谷智泰アナが、午前中から、少なくとも18時台までずっと、地元ニュースを流し続けていた。19時直前には、さすがに声も張りを失い疲労の色を隠せなかった。 ま、いずれにしても、相当な重労働であったと拝察する。人気者のほりじゅんはどこへ行っていた?
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