じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 岡大・東西通りの紅葉。2002年11月24日に掲載した写真とほぼ同様であることから、今年のほうが紅葉が10日ほど遅れており暖冬傾向にあることが分かる。


12月2日(木)

【思ったこと】
_41202(木)[心理]血液型差別番組を考える(18)「犯人はB型か」というトップニュースの情報的価値

[画像] 12月2日19時台のNHK総合で「奈良 犯人の血液型はB型か」というニュースがトップで伝えられた。奈良市の小学1年の女児が殺害された事件で、遺体や衣服から、長さ2センチから5センチほどの毛が数本見つかり、警察で鑑定をすすめた結果、女の子の血液型とは異なるB型であることが確認されたという内容であった。

 同じニュースは、翌日6時台の「おはよう日本」の中でも「女児殺害犯の血液型はB型か」という見出しで伝えられた(左上の画像)。このほかアサヒコムでも、誘拐犯はB型か 奈良小1女児誘拐殺害事件というニュースがトップで伝えられている(12月3日朝現在)。

 このニュースで私が首を傾げるのは、「犯人がB型かもしれない」ということをトップで伝えることにどれだけの情報的価値があるのかということだ。「犯人が身長170cm前後」とか「犯人は30歳前後」というような情報であるならば、それを聴くことで有力な目撃証言が得られる可能性がある。しかし「血液型がB型である」という情報が伝えられたところで、一般視聴者から新たな手がかりが得られるとは考えにくい。

 犯人がB型であると断定されれば、容疑者はB型者の比率である20%に絞り込むことができることは確かだ。じっさいアサヒコムニュースによれば、「県警は過去に子どもを車で連れ回すなどした県内在住の20〜40代の不審者約300人をリストアップしており、血液型から容疑者の絞り込みを進める。」ということである。しかしそれは警察の仕事である。

 いっぽう、一般社会にこのような鑑定情報が伝えられるとどういうことが起こるか。タダでさえ、昨今の「血液型」番組で偏見を持たれがちなB型である(こちらの情報も参照されたい)。差別が助長されないことを願いたいものだ。

 念のため言っておくが、「犯人が身長170cm前後」とか「犯人は30歳前後」といった情報も、特定の体型や年齢の人物に対して疑いの目を向けたりステレオタイプを形成したりする可能性がある点では同等である。しかし、体型や年齢といった外見的特徴は、目撃情報を得る上できわめて有益な手がかりとなる。いっぽう「血液型B型」はどうか。本来これは血液を抜かなければ分からない情報である。それとも、「血液型」番組で助長された「血液型別の行動傾向ステレオタイプ」に基づいて、行動から血液型を推測しろとでも言うのか。

 なお、専門的なことは分からないが、犯人の毛髪が見つかれば、ABO血液型以外の血液型のほか、DNA鑑定も同じようにできるはず。ことさらにABO血液型だけをトップニュースで報じることにも疑問を持たざるを得ない。