じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 大阪・難波のエスカレーターと地下道の様子(3月10日夕刻に撮影)。以前にこの日記でも書いたことがあるが、大阪ではエスカレーターに乗る時は右側に立ち、急ぐ人は左側から追い越すという習慣が定着している。その影響かどうかは分からないが、難波の地下道や道頓堀でも、左側通行の流れになっているように見えた(写真下の部分参照)。
さて、3月22日〜23日に京都を訪れた時に観察してみたが、京都駅付近に限って言えば、エスカレーターの左側に立つ人のほうが多い時もあれば、地下街では左側通行になっている所もあった。しかもこのあたりは地元の人よりも旅行者のほうが多いと思われるので、はっきりしたことは言えない。


3月22日(火)

【ちょっと思ったこと】

地震と窓ガラス

 3月20日に起こった福岡県西方沖地震では、ビルの窓ガラスが割れて歩道に散乱。たまたま休日午前で人通りが少なかったため、大惨事には至らずに済んだ。

 3月22日朝に視たテレビ番組によれば、窓ガラスが割れたのは、宮城地震の教訓を得て改正された建築基準法が施行される前に建てられた古いビルに限られていた。施行後に建てられたビルでは、窓枠にゴムなどのクッションが取り付けられており、ビルが揺れてもガラスに圧力が加わることは無い。

 ということは、高層ビルが立ち並ぶ新宿オフィス街などは比較的安全。むしろ、古い雑居ビルが並ぶようなところのほうが危険ということになる。

 では大学構内はどうか。私の研究室のある建物などは相当に古く、当然、すべての窓枠が固定されておりガラスが割れる危険性は十分にある。地震が起こった時は、座布団でもかぶって外に出たほうが良さそうだ。

 ちなみに、今回の地震は、未知の断層で起こったものだとか。また、22日夜の別のニュースによれば、日本付近では100年〜150年周期で大規模地震が発生しており、次の発生は2030〜2050年頃になるとか。但し、それぞれの大規模地震発生の数十年前からは、各地で比較的小規模(といっても直下型となれば被害甚大)の地震が起こるようになる。阪神淡路大震災以降の一連の地震がちょうどそれにあたるとか【以上は記憶に基づくため不確か】。大地震が起こりにくいとされている岡山南部地域も安心はできない。

【思ったこと】
_50322(火)[教育]京大・第11回大学教育研究フォーラム(1)大学授業の改善とアカウンタビリティ

 表記のフォーラムが22日から京大構内で開催された。

 22日午前は、研究部会や実践交流部会ごとの研究発表のあと、4つの総括講演が行われた。ここでは、京大高等教育研究開発推進センター・大塚雄作氏の総括講演について簡単に感想を述べさせていただく。

 大塚氏は昨年秋に、大学評価・学位授与機構から京大に転任されたばかりである。評価を行う側から評価を受ける側に移られたばかりのフレッシュな体験をお持ちということもあり、会場は立ち見席が出るほどの盛況であった。

 大塚氏の講演の中で印象に残った点は、まず

●個人内差が重要

という視点であった、授業評価アンケートというと、個体間(教員間、科目間、...)の比較が注目を浴びがちであるが、同じ担当教員の中でも授業科目により違いがある。また、毎回の授業のたびに簡単な調査を実施してみると、同じ授業の途中でも評価が変化していくことが分かる。一例として、『心理統計法』という授業の中で、評定値が2.5未満から4.0近くまで変化する事例が示された(確か4件法で行われているので、4.0が最高になるはず)。文系学生に対する統計学のような授業では、難易度が増すと授業内容が分からない学生が増えてくる。この状況を適切に把握し、実習型の内容を取り入れると評価の高い方向に跳ね上がる、というグラフの変化が興味深い。

 授業評価では平均値ばかりでなく、自由記述アンケートの声も貴重な情報となる。統計学の授業というのは元来あまり高い平均値にはならないそうだが、平均値は低めでも、例えば「統計量をベクトルで表現することに感動した」というポジティブな声は大切にしていきたいところだ。また、心理学の授業ではビデオ教材を取り入れると評価が上がると一般に言われるが、自由記述アンケートの中には「ビデオをやめてほしい」という声もあったとか。評点平均値の上下だけを改善の指標とするわけにはいかないことが分かる。

 授業評価アンケートを毎年実施することに対してはマンネリ化ではないかという批判に対しては、一定のレベルを保っていることを示せればそれでよいという見方を示された。この点は同感ではあるが、学生の回答負担を考えると、毎年同じ傾向が示され情報的価値が乏しいような質問項目は、他の項目に順次取り替えていくべきだというのが私の考えだ。

 質疑の中では、アカウンタビリティとの関連において、授業の成果について評価と授業のプロセスについての評価は区別されるべきであるとの声も出された。大塚氏の見解は、アンケート自体はむしろ「授業アンケート」程度の呼称でよい、それよりも結果の利用、活用を多様化していけばよい、ということであったと理解した。午後のフォーラムでも話題になったことだが、「教育の成果」の指標などというのはそう簡単に見つかるものではない。

 このほかWeb入力による授業評価では回収率がなかなか上がらないこと、自由記述アンケートの中には根拠の無い批判的書込もあり、留意する必要があるとの御指摘もあった。


 次回に続く。