じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 岡大構内を流れる座主川沿いの新緑。連休中に行楽地に出かけない一番の理由は、この風景にも見られるように、自分の住んでいる場所だけで花や新緑を十分に楽しめることにある。


5月7日(土)

【ちょっと思ったこと】

「ツツジ=躑躅」の謎解ける

 5月4日の日記で、「躑躅は何語?」という話題を取り上げた。その後、別の留学生(雲南省出身)にも訊いてみたが、中国では「杜鵑花」が一番よく通じる呼び方であり、次は多分「映山紅」、「満山紅」はあまり使わなく、「躑躅」というのは見たことも無いとのことであった。

 では、なぜ、「ツツジ」に対して「躑躅」という漢語があてられたのだろうか。ネットで検索したところ、播磨歳時記というサイトに、なるほどと思われる記載があった。長谷川のほうで要約させていただくと、
  • 躑躅(てきちょく)の意味は足踏みをすることで、羊躑躅ともいう。ヒツジがツツジを食べると足踏みしながら死んでしまうという意味。陶弘景が「羊この葉を食せば躑躅としてたおる、故 に名ずく」からだともいわれる。
  • しかし、実際には、ヒツジがツツジを食べても死ぬことはない。ツツジの花の付け根を吸うと甘い味がするが、毒ではない。
  • いっぽう、ヒツジが馬酔木を食べて死ぬことはある。どこかで、馬酔木とツツジが取り違えられたようだ。
  • ドウダンツツジ(灯台躑躅)と馬酔木の花は似ているので取り違えられた可能性はある。しかし、灯台躑躅の「灯台」は、灯台が出来てからの名前であろう。
  • 現代中国語の杜鵑花(とけんか)の「杜鵑」とはホトトギスのこと。ツツジの花が赤い口を開けたホトトギスのように見えることからこの名前が付けられたようにも思われたが、本草綱目には「ホトトギス鳴くときはじめて花開く」と記されており、時期に由来するものらしい。
 これらの説明から推測するに、「ツツジ=躑躅」は、やはり、馬酔木の花(4月2日の日記に写真あり)との取り違えによるものと思われる。但し、いつ頃から、どういう形で取り違えられたのかは依然として不明だ。

 取り違えの原因として、いちばんもっともらしい説明は、やはり「ドウダンツツジ(灯台躑躅)」と馬酔木が似ているためではないだろうか。京都市・環境局おしらせというサイトによれば「ドウダンとは,花の形が昔宮中で夜の儀式に使われた「結び灯台」に似ているため「トウダイツツジ」と呼ばれたのが語源といわれている」ということなので納得できそう。

 なお、和名の「ツツジ」の語源については、「花が次々に連なって咲くことから「ツヅキ咲き」が語源であるとか,花が筒状になっているので「筒咲き」が語源であるなど諸説があります。」(広島工業大・ヒラドツツジの説明による)、あるいは「ラッパのような形をした花を「つつしべ」と呼んだことだとも云われている」(四季のいきもの前線調査  -つつじ開花前線(インターネット自然研究所)による)など諸説あるが、定説にはなっていないようだ。各種サイトにも記されているように、「ツツジ」という単独の種名はない。岡大構内に咲くツツジは大部分がヒラドツツジである。