じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

7月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真] 富士山の富士宮口登山道沿いの高山植物。中央の一番高いところにあるポタラ宮のような建物は8合目の山小屋。23日6時8分頃撮影。なお、この日は山頂は雨。下山時に一時晴れたが、5合目は再び雨になった。気象庁データによると、7月23日の山頂の湿度は99〜100%。雨か濃霧が続いていた模様だが、7〜8時、11時〜12時、16時〜17時にわずかながら日照時間が観測されており、登山者を喜ばせたのではないかと思われる。


7月23日(土)

【ちょっと思ったこと】

巨大台風トカゲ再び来るか

 7月24日朝の気象衛星写真に、日本の南に台風7号バンヤン(←アジア地域の命名ローテーションにより香港の気象機関がつけた名前。おそらく、ベンガル菩提樹のこと)の巨大な渦巻きが見えている。

 7月24日午前6時の気象情報によれば、この台風は7月27日の午前3時頃に北緯33度30分、東経134度35分(四国・剣山の近く)を中心とした半径410kmの円内に到達すると予報されている。この時の中心気圧は955ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は毎秒40メートルであるという。いっぽう、米軍合同台風警報センター(JTWC) の7月23日18時現在の情報では、進路はもう少し東に逸れ、28日に東京方面を直撃する予想となっている。

 この台風は中心気圧はそれほど下がらないものの、オーストラリア大陸に匹敵するほどの巨大な雲を伴っているところに大きな特徴がある。このことで思い出すのは、昨年10月下旬に各地で大規模な災害をもたらした台風23号(トカゲ)である。台風23号の時も東西3000km、南北2000kmの巨大な雲をともなっていた。あの台風は結局周辺の雲をまとめきれず、中心気圧も940ヘクトパスカルに下がったにとどまったものの、舞鶴市(由良川)で発生した観光バス水没事故、豊岡市(円山川)で発生した大洪水、各地での倒木被害をもたらした。今回はどういう展開になるだろうか。念のため、実験室近くの樹木の剪定と固定を急いでおこう。

【思ったこと】
_50723(土)[旅行]富士登山で思ったこと(1)今回の総括/初登山で頂上小屋に泊まるリスク

 7月22日〜23日に、イラン最高峰登頂の訓練を目的とした富士山に登った。その際に思ったことをいくつか。

 まず、自分自身の点検から。

 デジカメ写真の記録から判断される22日(金)の到達タイムは以下の通り。
  • 13時04分:新五合目登山開始
  • 13時22分:六合目
  • 14時05分:新七合目
  • 14時47分:元祖七合目
  • 15時22分:八合目
  • 15時58分:九合目
  • 16時28分:九合五勺
  • 16時58分:頂上小屋
 ということで、休憩時間を入れた登山所要時間は3時間54分であった。4時間半〜5時間という標準時間に比べて特段に速いというわけではないが、8kgほどの荷物を背負っていたし、最後まで息が切れることが無かったので、自分としてはまあまあのペースではないかと思っている。イラン最高峰登山の時は、荷物は4kg以下に抑える予定なので足取りは軽くなるが、4200mから5671m(←実際は5300〜5400mだとも言われているが)までの空気の薄い高所をどう克服するかがカギとなる。

 なお、昨日の日記にも書いたように、23日朝は雨となり、予定していたトレーニングは断念せざるをえなかった。そのあと、宝永山周辺で時間をつぶして、一番早い9時半発のバスで下山。15時すぎには岡山に戻った。もう少し長く居てもよかったかと思ったが、この日の夕刻には、なっなんと東京で震度5強の地震。頂上付近がもし晴れていたら下山は夕刻になるため、モロに影響を受けていたところであった。どこで何がラッキーになるか分からないものだ。




 さて、今回は頂上小屋で1泊した。これは、翌日朝にお鉢巡りや、各登山道の八合目付近からの登り下りでトレーニングをする目的のほか、せっかく登ったのだから、日の入りや月夜の写真でも撮れればと思ったためでもあった。しかし、この山小屋は17時半夕食、19時消灯、4時起床・朝食というスケジュールが厳格に決められていて、夜中に外に出ることは不可能。夕日や星空を眺める場合は、登山時間をこれに合わせ、山小屋に泊まらないほうがよさそうである。

 ところで、山小屋のすし詰め布団で眠っていたところ、21時頃になってから隣に寝ていた男の子が高山病の症状を示し苦しみ始めた。幸い、近くのおじさんから携帯酸素スプレーを借りて何とか凌いだが、一時はどうなることかと思った。一緒に来たお父さんも相当に苦しんでおられた。

 山小屋利用の富士登山では、前日になるべく標高の高い山小屋に泊まったほうが翌日未明の登山が楽で御来光見物に有利であるなどと言われているが、初めての富士登山の場合、これはちょっと危険であると思う。

 富士山頂ともなれば標高は3700m以上、空気は平地の2/3以下となる。頂上で1時間程度過ごしてさっさと下りる分には高山病の症状はそれほど出てこないだろうが、山小屋に泊まれば、午後5時から翌朝4時まで10時間以上、空気の薄い状態に晒されることになる。初めて登られた方がこんな場所に長時間滞在するというのはかなり危険ではないだろうか。じっさい、この男の子(小3)の場合、嘔吐や寒気など、中程度の症状が出ていた。山小屋に泊まった他の宿泊客の中にも、真夜中にうなり声をあげたり携帯酸素を吸っておられる方がおられた。1回目の富士登山の時は、標高3000メートル前後の山小屋に泊まり、ある程度高所順応した上で異状がない時に限って翌朝に登頂をめざすべきではないかと思う。

 なお、六合目付近で酸素を吸いながら登ろうとしている人を見かけたが、これはちょっとおかしい。六合目付近で登れなくなるのは、単なる疲労、あるいは夜行バス利用による睡眠不足が原因と思われる。こんなところで酸素を吸っても元気になるはずがない。どこかでたっぷり休憩をとってから登山を再開するべきである。

 次回に続く。