じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] [今日の写真]  岡山→羽田便の機内から撮影した伊勢湾北部(写真左)。台風14号の大雨の影響で、長良川から土砂を含んだ大量の水が流れ込んでいる様子が分かる。

 写真右は房総半島側から見た東京湾。中央奥は三浦半島。なお、飛行機はこのあと、左に旋回し、ディズニーランドやお台場のすぐ南を通過して着陸するが、「すべての電子機器の使用禁止」のアナウンスが出るためデジカメやビデオによる撮影はできない。


9月8日(木)

【ちょっと思ったこと】

羽田空港から東大本郷への最安経路は?

 学会出張のため上京。今回学会会場は、日本質的心理学会(9/8〜9/9)が東大本郷、日本心理学会が慶應大三田(9/10〜12)となっている。8日はとりあえず、羽田から東大本郷まで直行することになった。

 羽田から東大本郷への最短経路はおそらく、

(1)モノレールで浜松町。JRで東京駅、東京から丸ノ内線で本郷三丁目
(2)モノレールで浜松町。JRで御徒町。ここから歩いて東大。 であろうと思ったが、今回は趣向を変えて

(3)京急・都営地下鉄(品川、泉岳寺、三田線経由)で春日。ここから歩いて東大。

というコースを通ってみた。

 後で、3つのコースの運賃をYahoo路線情報で確認したところ、

(1)羽田空港〜モノレール(470円、23分)、浜松町〜東京〜本郷三丁目(310円、正味11分、乗り換え13分)
(2)羽田空港〜モノレール(470円、23分)、浜松町〜御徒町(160円、11分)
(3)京急羽田〜都営浅草線・三田線・春日(590円、正味37分、乗り換え17分)

であることが分かった。なお(2)のコースは、土日祝日等の場合、500円となる。それ以外の日は、(3)が最安値で、しかも乗り換えも1回で済むというメリットがある。

 都営地下鉄・春日駅からは菊坂下、太栄館を通って本郷局のほうに出た。

 その後ネットで調べたところ、三田線春日乗り換え、もしくは浅草線蔵前乗り換えで大江戸線・本郷三丁目まで行くという方法もあることが分かった。

 東京の地下鉄は、乗り換えに時間がかかることがあるので、多少遠回りでも乗り換え数を減らしたほうがよい場合もある。毎日通勤する人は色々工夫しているものと思う。

【思ったこと】
_50908(木)[心理]日本質的心理学会第2回大会(1)ストーリーとは何か

 東大本郷で行われた日本質的心理学会第2回大会に参加した。この日の夕刻にはArthur W. Frank博士(University of Calgary)による、

●Narrative Selves in a World of Stories.

という特別講演が行われた。なお講演要旨はこちらに公開されている。

 講演者のFrank博士はカナダ・カルガリー大学社会学科教授であり、医療社会学、特に慢性疾患患者の語りや医療倫理についての研究を精力的に続けておられる。ご自身にも心臓発作とガンの体験があるそうで、そのことも研究の1つのモチーフとして重視されているという。

 さて今回のテーマは「ストーリー」がキーワードの1つになっていたと思うが、率直に言って、私にはまだ講演の主旨を十分に理解できていないところがある。

 まず、ストーリー、ナラティブ、語り、,,,といった概念であるが、確かに日常生活において、我々は自分自身について常にストーリーを作り、それを自分に言い聞かせたり、こういうWeb日記などで第三者に伝えたりしている。Web日記をほぼ毎日、8年以上も執筆している私としてもその意義は十分に体得しているつもりではあるが、しょせん、文字で表されることには限界がある。毎日の行動やそこで生じるさまざまな感情のうち、文字で表現できる部分というのはごく限られたものに過ぎない。質的心理学ではしばしば「語り」が重視されているけれども、対象者の語りをいくら詳細に分析したところで、大部分は表層的なもの、また「深層」に迫ろうとすればするほどそこには推測が入り込まざるを得ないように思う。いや、面接調査がダメだと言っているわけではない。対象者の表情や行動観察、対象者を取り巻く環境や文脈とセットにして分析していかなければ、単なる発言録の羅列に終わってしまう。対象者の語りを一言一句正確に記述できたとしても、発せられた言葉が対象者にとってどういう意味をなし、どういう文脈で出てきたのかは確証できない。

 そのことを踏まえた上で、「ストーリー」のポジティブな面についても考えておく必要がある。

 まず、我々は必ずしも「思想」を持って行動しているわけではないが、我々の行動には常に「ストーリー」がまとわりつくと言うことはできると思う。というか、厳格な思想家であっても、思想そのものをダイレクトに実践しているわけではなく、実際には、自分の思想を現実の世界に適用したストーリーを構成しその中で生活しているのである。例えば、テロリストがその一例である。テロリストはそれぞれ強固な思想を持っているだろうが、自爆テロなどは思想ではなく思想に基づいたストーリーによって行動に移されると言ってよいだろう。

 「ストーリー」はまた、行動分析学でいうところの「ルール支配行動」を含んだ、より広い概念であると思う。行動分析でいう「ルール支配」はあくまで、「個々の行動に関する随伴性の記述」もしくはその総称にすぎないが、ストーリーは、ルールを体系化したり、新たな習得性好子や習得性嫌子を作り出したり、確立操作として機能する可能性がある。

 このほか「ストーリー」には、シナリオの選択に関連した機能がありそうだ。

 ということで、あまり理解できていないが、「ストーリー」という概念が、臨床場面だけでなく、我々の日常行動理解にも役立つ可能性のあることが分かってきた。次回に続く。