じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _50911(日)[心理]日本心理学会第69回大会(2)血液型性格判断三昧の一日(2)“FBI効果”や“変節”の真相 日本心理学会第69回大会の講演とワークショップ; 【9月10日 午後】講演 血液型と性格 (講師 大村政男教授) 【9月10日 夕刻】ワークショップ 血液型と性格の科学性(話題提供:安藤寿康氏、渡邊芳之氏ほか) について引き続き感想を述べさせていただく。 大村氏(ほんらい「大村先生」と呼ぶべきところだが、他の話題提供者の呼称に合わせて以下、「大村氏」と呼ばせていただく)のご講演の終わりのほうでは、血液型性格判断がなぜ当たっていると思われるのかに関して「FBI効果」への言及があった。FBI効果とは
また「B」とは、他者を血液型でラベル付けしてステレオタイプに扱う傾向を言い、「I」は、「血液型別の特徴」として喧伝されていることのバイアスを受けて、それに一致する部分だけを過大に捉えてしまうという思い込みのことを言う。言われている特徴に自分を合わせたり、幼児の多様な発達の可能性を妨げ、最初からこういう特徴があると決めつけて教育するような弊害もこれに含まれる。 さて、このうちの「B」はかつては「LaBelingのB」と呼ばれていたものであった。そこで、ご講演のあとの質疑の時間に、なぜこれが「Brand」に変わったのか? また、「Brand効果」と「Imprinting効果」は必ずしも独立させる必要はないのでは?といったことについて、質問をさせていただいた。これに対する大村氏のお答えは、 ●とにかく、「FBI」という言葉を使いたかったのですよ。 といったものだった(←長谷川の記憶のため文言は不確か。念のため)。 要するに「FBI効果」というのは学術レベルの厳密な概念ではなく、むしろ、覚えやすく伝えやすい啓蒙的なキャッチフレーズとして考案されたと考えたほうがよさそうだ。 ところで、「血液型」論争界の一部では、最近の大村氏は変節したのではないかという噂が流れている。不躾ながら、ご講演とワークショップの間の時間にこのことについて直接お尋ねしてみたりしたが、「変節」というのはやはり誤解、曲解であったようだ。昨日の日記にも書いたように、大村氏は、当初より、ご自身の専門分野であるパーソナリティ論や気質論と関連づけながら、「血液型と性格」に取り組んでこられた。方法や解釈がデタラメな非科学的俗説、例えば能見父子の俗説は厳しく批判しておられる一方、「血液型と性格」の相関を探究すること自体は研究テーマとして意義があるものと考えておられる。そういう意味では、戦前の古川竹二氏の数々の研究は、再現可能性、反証可能性という点で評価に値する。「血液型と性格」については何十年、何百年たっても何1つ、確かで体系性のある証拠は見出されないかもしれないが、古川竹二氏がなぜあのように着想し、あのような考えを持つに至ったのかということは、大村氏の今後のご研究を通して明らかにされていくものと期待される。今後ますますのご活躍とご健康をお祈りしたい。 |