じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真] [今日の写真] 岡大七不思議の1つ?、「門を塞ぐ老木」が土曜日の朝、とうとう撤去された。この老木、なぜか、道路の真ん中に生えており、鉄扉を開けても車を通すことができなかった。しかし、だいぶ前から枯死していて芯の部分が一部空洞化していた。写真右は撤去後の切り株。


2月18日(土)

【ちょっと思ったこと】

3ねんめと3にんめの言い訳

 土曜日の朝、来年度の町内会の役回りを決める集まりがあった。原則ローテーションで、町内会幹事、婦人部長、班長、アパート内の組長や会計などが回ってくる。地域コミュニティ活性化は必要だとは思うが、役によっては、夜10時すぎまでの集まりや各種行事の手伝いなどがあり、しかもちゃんと仕事しないとすぐクレームが出る。我が家でも、できれば引き受けるのを先延ばししたい、というのが本音である。

 前日の夫婦の会話。

  • 私:今年は「3ねんめだから、まだ早い」という言い訳はどうだろう。
  • 妻:今度から、過去の負担は考慮してくれないことになったのよ。
  • 私:じゃあ、「3にんめができたので無理」というのはどうだろうか。
  • 妻:何よ、「3にんめ」って。
  • 私:どっかの高貴なお方にならい、3人目ご懐妊という意味だ。ま、この歳では無理だがなあ。
  • 妻:そんなウソついたってだめよ。だいいち、あなたが妊娠するわけじゃないでしょっ。あなたが引き受けなさいよ。

 集まりには妻が出た。夜に結果を訊いたところ「せいねんぶ」の役員になったとか言っていたが、「青年部」だったら「もはや青年でない」という言い訳が成り立つ。しかし「成年部」だったらどうしようか...

【思ったこと】
_60218(土)[心理]冬ソナを振り返る(2)【第1話】チュンサンのサークル選び/ユジンの才能

 ということで、昨日述べた方針にしたがって、第1話から順番に振り返っていきたいと思う。

 ところでこの「冬ソナ」というドラマだが、少なくともシナリオ作家は「初恋を成就させる物語」であると意図していたようだ(もうひとつの冬のソナタ チュンサンとユジンのそれから(ISBN:484701569X)、162頁参照。)。初恋にこだわることが正しいか間違っているかは誰も断定できないが、とにかく殆どの人には初恋の体験がある。そして、別の相手と結婚して幸せな日々を送っている時にも、ふと、初恋を懐かしく思い出すことがある。そういう心情があればこそ、あれだけのブームにもなったし、「初恋を成就させたい」という願いが強く働けばこそ、サンヒョクへのことをあまり不憫に思わないのである。

 さて、初恋の成就がテーマであるとすれば、第1話と第2話で、ユジンとチュンサンがどのようにして相手を恋するようになったのか、そのプロセスを検証することが大切となる。この場合、もし実話であるならば、まず事実があってあとから理由づけがなされることになるが、フィクションの場合は、視聴者に不自然さを感じさせないような展開がどうしても求められる。そのためには、「私でも同じように振る舞うだろう」という客観条件を揃えること、もしくは、「ああそういうことだったのか」と納得させるような伏線を各所に敷いておく必要がある。また、時には制作者が意図しなかったのに結果的に伏線になってしまったということもある。このほか、単に受身的にドラマを解釈するばかりでなく、「あの場面はこうしたほうがよかったのでは?」と能動的にシナリオを書き換えてみることも楽しい(←もしかするとナラティブセラピーの練習になるかもしれない)。




 前置きが長くなったが、今回はまず、第一話で、チュンサンがなぜ放送部に入ったのかということから考えてみることにしたい。これは、チュンサンが転校生として紹介されたあと、サンヒョクの握手を無視し廊下に出たところで、ユジンとの会話の中で決まる。もっとも、ユジンのセリフは、「吹き替え版」、「完全版日本語字幕」、「韓国盤英語字幕」、それぞれで微妙に異なっている。
  • 【吹き替え版】どうして転校初日からふてくされているの。委員長困るでしょ。
  • 【完全版日本語字幕】何をむくれているの 委員長が困るでしょ
  • 【韓国盤英語字幕】You shoudn't make waves. What do you want to do?
 とにかく、日本語バージョンでは「委員長困るでしょ」という言葉が入っている。これはユジンが、サンヒョクの立場を念頭に置き、その代理として、チュンサンがどのサークルに入るのかを尋ねたというように解釈できる。いっぽう英語字幕では「委員長」という言葉は無い。この場面でユジンがサンヒョクのことを意識したのか、していないのかでは、チュンサンに与える印象がずいぶん違うと思うのだが考えすぎだろうか。なおドラマでは、ユジンの後ろに現れたサンヒョクの姿を見て、「あいつと同じサークルにする」というように話が進んでいく。




 第一話吹き替え版ではカットされてしまったが、お母さんが働く市場へ荷物を届ける直前、ユジンが自宅で妹のヒジンをモデルにしてデッサンをしているシーンがあった。

 もう1つ、放送室でユジンが「ダンシングクイーン」(日本語版は別の曲)に合わせて踊っている時にチュンサンが入ってくるシーンがある。チュンサンは、ユジンが持ち歩いていたスケッチブックを開き、ニタニタ眺める。ユジンが「こらっ」(吹き替え版。完全版では「やめて」)と言った声が校内に流れてしまうという展開になるわけだが、完全版ではほんの1コマだけ、ユジンが描いた克明なデッサンが映し出されていることに気づく。DVDを一時停止してチェックした限りでは、そこに描かれているのは、壺、リンゴ、空き缶、ジャガイモ、縄跳びの縄、それと何だかよく分からないガラクタのようなものであった。これらが何かを象徴しているのかどうかは分からない。

 いずれにせよ、これら2つのシーンは、ユジンが高校時代、美術、特にデッサンですぐれた能力のあることを示唆するものであり、10年後、建築デザイナーとして活躍するための重要な伏線になっているのではないかと思う。また、あのシーンがカットされてしまったのでは、高校時代のユジンはただのおてんばで、バスの中ではすぐ居眠りするし、北極星の位置も知らない無教養な娘みたいになってしまう。ここはやはり安易にカットせず、ユジンの飛び抜けた美術の才能を示唆し、将来に向けた自立可能性の伏線として残しておくべきであった。