じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真] 大学構内各所で、トベラが白い花を咲かせている。毎年、この時期になると、多数のアオスジアゲハがこの花を目当てに集まってくる。普通のアゲハ、カラスアゲハ(←羽根が黒いということしか確認できていないので、クロアゲハなど他の種かもしれない)も数匹は見かけるが、アオスジアゲハは10〜20匹にものぼり圧倒的多数を占めている。

Googleで「トベラ アオスジアゲハ」というキーワードで検索したところ742件がヒット。ツツジの花よりはトベラなどの白い花を好むという記述もあった。また、幼虫はクス科植物の葉を食べるということだが、大学構内には多数のクスノキが植えられている。要するに、遠くから集まってくるわけではなく、トベラのすぐ近くのクスノキが成長の場所であったということになる。


5月24日(水)

【ちょっと思ったこと】

人口ボーナスと経済発展

 5月22日の夕刻、岡山県立森林公園からの帰りに聴いていたラジオ(NHK第一)で「人口ボーナス論からみた中国の経済発展」というような話題を取り上げていた。その後ネットで検索したところ、とうやら、こちらのリポートを書かれた方、もしくはその関係者の方が出演されていたようだ。リンク先、あるいは毎日インタラクティブ・ニュースな言葉によれば、 人口ボーナスというのは

●出生率の低下が、労働投入量の増加と貯蓄率の上昇を通じて、経済発展を促進するという考え方
●多産多死から少産少死に転換する過程で、子供も老人も少ない時期が現れる。生産年齢人口(15〜64歳)が増え、豊富な労働力が供給される。この状態を人口ボーナスと呼ぶ。

 この概念についてはまだ十分には理解できていないのだが、単純に、生産年齢人口が増えていくというピラミッド型の人口構造とは異なるようである。ピラミッド型に子どもが増えていく場合は、親は収入のかなりの部分を子どもの養育費に充てなければならない。いっぽう、ピラミッド型に代わって出生率低下が顕著となると、養育費を貯蓄に回すことができる。これが経済発展を促進するという考え方らしい。

 ラジオで聴いたところでは(←運転中のため不確か)、中国の場合もいずれ少子高齢化に向かうが、一人あたりのGDPはせいぜい3000ドル程度にとどまる(←日本は27000ドル)見込みであり、また、農業部門→工業部門→サービス部門というような労働力の移動は、日本に比べると不十分であるというのが、解説者の見解であった。

 ちなみに、東南アジアでも似たような現象が起こっているという。要するに、開発途上国においても少子高齢化は進むが、そのすべてが先進国と同じようなパターンを後追いするわけではない。人口ボーナスを獲得できず、貯蓄が不十分であった国においては、先進国には見られないような深刻な高齢者問題が起こってくるかもしれない、というような話もでていた。

 専門的知識が無いのであまり確かなことは言えないが、こうしてみると、少子高齢化問題は、普遍的・一般的な問題ではなく、それぞれの国の経済構造、人口ボーナスを加味した中で、時代の流れやそのときどきの実情に合わせて検討していかなければならない面がありそうだ。例えば、「生涯現役」を口にするのはたやすいが、長年の経験を活かせる知識人や熟練技術者はともかく、退職後に別の仕事に就くという場合には当然、その国の経済構造や人口構成の影響を受ける。さらには、貯蓄や年金の額によっても、どれだけ「ゆとり」のある「生涯現役」が貫けるのかも変わってくるだろう。

 番組を聴いていて若干気になったのは、人口ボーナスという概念には、工業部門やサービス部門が経済発展を支えるという、農業軽視の発想があるのではないかということ。これが、持続可能な循環型消費社会とどう連動してくるのかよく分からない。GDPには反映されなくても、農業主体で豊かさを実現できるような発展の形態があるのではないかと思ってみたりするが、こういう可能性を秘めているのは、いまのところこの国くらいのものだろうか。