じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]

 3月17日朝の細い月。月齢は27.3。月のすぐ近くには火星や水星があるはずだが、雲が多くて確認できなかった。肉眼では見えないが、他に、天王星や海王星も同じ方向にある。なお3月19日の昼前に一部の地域で部分日食が見られる。そう言えばエジプト皆既日食見物に出かけてから早くも1年が経とうとしている。


3月16日(金)

【思ったこと】
_70316(金)[心理]第一回構造構成主義シンポジウム(6)池田清彦氏、竹田青嗣氏、西條剛央氏による鼎談(1)

 3月11日に早稲田大学で開催された

第一回構造構成主義シンポジウム:わかりあうための思想をわかちあうためのシンポジウム

の感想の5回目。午前中の養老孟司氏の特別講演に続いて、第二部として、池田清彦氏、竹田青嗣氏、西條剛央氏による鼎談が2時間余りにわたって行われた。

 鼎談ではまず3者の紹介が行われた。このうち竹田青嗣氏は、難解な哲学を分かり易く解説した御著書で知られている。今回の鼎談でも、哲学の流れを分かりやすくお話しいただき、3者の中でもいちばん、筋道が通っているとの印象を受けた。ちなみに、ウィキペディアの当該項目によれば、竹田青嗣氏の御本名は姜修次カン・スチャ、戸籍名は姜正秀カン・ジョンス)であり。「竹田青嗣」とは、太宰治の小説「竹青」から付けたペンネームであり、日本名ではないとのことだ。

 鼎談の中で西條氏から最初に与えられたテーマ「哲学とは何か」について竹田氏は

●デカルト→ニーチェ→フッサール→ハイデガー

という哲学の流れに分かりやすく言及された。

 いっぽう、西條氏から「科学とは何か」の話題を求められた池田氏は、虫取りで崖から落ちて本を書き始め、虫取りの合間にいやいや本を書いたというような雑談のほか(←あくまで長谷川の記憶とメモに基づくため不確か)、「科学は客観か」に関して、社会構築主義が指摘している「言葉を使うことの問題」などに言及された。

 池田氏は御著書が多数あるので、いまさらここで御紹介する必要はないと思う。ネットで検索したところこちら(続き)にお写真入りでインタビュー記事が掲載されていた(但し2003年4月28日。当時の御所属は山梨大学になっている)。リンク先に紹介されていた御著書のタイトルに関してツッコミを入れさせていただくが、『正しく生きるとはどういうことか』(新潮社)に関しては、うーむ、池田氏ご自身は、少なくとも「正しく」生きる模範人物とはちょっと違うように思う。『楽しく生きるのに努力はいらない』(サンマーク出版)という御著書のタイトルは、まさに池田氏ご自身の人生であるようにも思える。

 西條剛央氏は、言うまでもなく、今回のシンポの中心人物のお一人であり、構造構成主義の創始者として知られる。1974年のお生まれだそうだが、1974年と言えば私が大学3年だった年であり、私とはかなりの年齢差がある。これだけお若いのだからどこかに弱点があるはずだと、ご発言を注意深く拝聴したが、残念ながら? ツッコミを入れたくなるような箇所は見当たらなかった(←池田氏のご発言だったら、たぶん、Web日記一ヶ月分のツッコミ可能)。西條氏の基本的な論点は、こちらに記されているので、ぜひお読みいただきたい。ちなみに今回のシンポでは、ご自身のことを「メタ理論工学者」と称されていた。かつてスキナーも「行動工学」を標榜したことがあったが、後には「行動分析」のほうが一般的になった。ウィキペディアの当該項目では「工学」は
工学(こうがく、engineering)は、科学、特に自然科学の蓄積を利用して、実用的で社会の利益となるような手法・技術を発見し、製品などを発明することを主な研究目的とする学問の総称である。
と解説されている。あくまで「工学」として位置づけるのであれば、、実用性があり、社会の利益となるような手法・技術としての真価が問われることになるが、このあたりは今後どのように発展するだろうか。

 次回に続く。