じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]


 
 モンゴル国というと日本では真っ先に大相撲、最近では特に朝青龍問題に関心が向けられているが、今回の旅行中に知り得た限りの印象で言えば、日本の大相撲はモンゴルではそれほど大きくは取り上げられていないようだった。たまたま現地の8月18日付けの新聞を目にする機会があったが、それとおぼしき関連記事を見つけることはできなかった。モンゴル人の大相撲への注目度は、大リーグで活躍している日本人選手に対する日本人の注目度(←NHKの偏重報道に多分に操られている部分もある)とさほど変わらないようにも思えた。

 写真は、ウランバートル市内で見つけた唯一の大相撲関連看板。白鵬が賜杯を受け取っているところ。

 余談だが、モンゴルはロシア語と同じキリル文字を採用しているため、(モンゴルにとっての)外来語は、ロシア語の発音ができればある程度読み取ることができる。例えば、写真の看板には「АНОД БАНК」と書かれてあるので「アノッド・バンク」という名前の銀行の広告であると推測できる。なお昨日も述べたが、モンゴル語では、伸ばす発音(長音)は「AA(アー)」というように文字を重ねて表記する。このほかロシア語に無い文字として、「Θ」に似た文字や、「У」と異なる「Y」が使われているのが目に付いた。詳しくはウィキペディアの当該項目参照。



8月20日(月)

【思ったこと】
_70820(月)[心理]モンゴルで思ったこと(1)「大草原療法」の可能性

 楽天版じぶん更新日記(8月19日付)に掲載した写真にもあるように今回訪れた地域では、果てしなく続く大草原を堪能することができた。今回は1731kmをランドクルーザーで駆け抜けるというツアーであったが、仮に同じ場所に長期間とどまった場合、どのような療法効果が期待できるか、ちょっと考えてみた。

 まずとにかく四方八方、広大な大草原が広がっているため、それを眺めるだけで心が広くなり、世間の些細な争いごとなどどうでもよくなり、総じてストレス発散効果があると期待できる。これは孤島から大海を見渡すのと似ているが、海の場合は泳ぐかボートを使わない限りは移動できないので、隔絶された世界に取り残されているという気分になる。いっぽう、大草原の場合は、気の向くまま、自分の足でどの方向にも移動できる。近くの小山もさほど苦労せずに登ることができる。足元にはエーデルワイス、マツムシソウ、リンドウ、ワレモコウなどの花がある。つまり、まわりすべてが移動可能でフレンドリーな世界である、という点が、孤島から海を眺める場合とは大きく異なっている。

 もっとも、大草原を散歩する時にはいくつか注意が必要だ。まず、放牧の群れやゲルに近づくと、必ずと言っていいくらい、番犬に吠え立てられる。私も散歩中2回ほど、番犬に追っかけられて逃げ戻ったことがあった(番犬はテリトリーの外までは追いかけて来ないようだ)。また、各所の地形が酷似しているため、曇りの日などに遠出すると方向を見失い、出発点に戻れなくなる恐れがある。




 ところで、6月の人間・植物関係学会(東京農大・厚木キャンパス)でも取り上げられていたように、植物との関わりをめぐる療法としては、園芸療法のほか、森林療法(森林セラピー)、里山療法などが提唱され、それぞれの効果の検証が進みつつある。念のため「草原療法」という言葉があるかどうかネットで検索したところ、阿蘇草原再生協議会というサイトの中の調査結果(pdf形式)のところに、
草原インストラクターの養成と、草原を歩くウォーキングの企画、バリアフリーマ ップの作成(スキーのリフトの活用など)、草原療法の試み(ストレス解消)カウ ンセラーの活用など。
という記述があることが分かった。但し、「草原療法」の効用についてどのような研究が行われているのかは不明。

 なお、モンゴル各種ツアーの中には乗馬体験を含めているものもある。私自身は馬に乗れないので何とも言えないが、馬で草原を駆けめぐることができれば、徒歩とは違った効用が期待できるかもしれない。ホースセラピーとセットにすることも可能。




 いっぽう、「大草原療法」で多少物足りないと感じるのは、園芸療法のような「育てる」喜びが無いこと。また「森林療法」では、四季の変化とともに様々な植物(新緑、花、紅葉、キノコ、...)や動物(野鳥、小動物、昆虫)、森林独特の香りや湿気に接することができるのに対して、大草原は全体として乾いており、動植物の種類も少ない。その分、長期間同じ場所に滞在すると飽きてしまうという可能性もある。

 森林というのは、それに関われば関わるほど魅力が出てきて、何度も訪れたいという気分になる。いっぽう、大草原は、そこに居れば居るほど、「空(くう)」を実感できそうなところがある。あくまで私見だが、
  • 森林療法:森林世界に積極的に関わり、のめり込むことの競合効果(=何かに熱中ことはイヤなことを思い出すことと競合するので、熱中すればするほど気が紛れるという意味)により、日常世界のストレスや悩み事を解消。
  • 大草原療法:大草原を眼前に心を空っぽにするという消去効果により、日常世界のストレスや悩み事を解消。
という違いがあるように感じた。