じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]


 ウランバートル・国道沿いで目撃した唯一の落書き。落書きと言えば、シャモニーとベルンで目撃した見苦しい落書きにはウンザリしたものだが、モンゴルよ、お前もか、という気がした。シャモニーやベルンの落書きと異なり、それなりの「芸術性」を保っているのが幸い。


 ところで、写真右端のほうには、逆卍(まんじ)の落書きがある。逆卍(右まんじ)はナチスのハーケンクロイツ(鉤十字)を連想させてしまうが、ウィキペディアの当該項目によれば、左旋回の卍は「和」の元、右旋回の卍は「力」の元といわれているとか。ハーケンクロイツ(鉤十字)通常45°回転して描かれるが、当該の落書きは水平垂直方向になっているのでこれとは異なる、もしかすると仏教的な、「力」の元の意味で描かれたものかもしれない。

※ネットで検索したところ、「「スワスチカ」は確かモンゴル地方の紋章で、大戦末期にモンゴル軍の精鋭をドイツまで送り込んで護衛に当たらせた繋がりがあったとか・」という記述が見つかったが、事実かどうかは未確認。



8月22日(水)

【ちょっと思ったこと】

機長英雄視と事故責任

 各種報道によれば、台湾の呂秀蓮副総統は22日、那覇空港で炎上事故を起こした中華航空機の猶建国機長らを総統府に招いて慰労。犠牲者を出さなかった猶機長の事故対応を評価し、英雄視する動きが出ているという。

 確かに、トラブル発生直後に迅速に対処し、危機一髪で乗客乗員の命を救ったことは大いに評価されるべきであるが、22日時点ではまだ事故の原因究明は終わっていない。機長といえば、今回の事故の重要参考人である。日本での事情聴取を受けないうちから、そんなに早く帰国してしまって英雄扱いされてしまってよいものだろうか、ちょっと気になる。

 ちなみに、別の報道によれば、旅客機が炎上する直前、右エンジンの付け根の「パイロン」付近から大量の燃料がシャワーのように噴き出していたことが駐機場にいた整備士の証言でわかっているという。大量の燃料漏れがあればコクピットの計器にも異常が表示されるはずで、パイロットがそのことに気づいたのかどうかは過失の有無にも関わるはずだ。

 8月21日8時1分配信の産経新聞記事によれば、今回の事故で、最初に異変に気づいたのは、2人の地上整備員だったという。
...【略】...国交省によると、国際線用の41番スポットに中華航空120便が到着したのは午前10時32分。同スポットで待機していた中華航空の整備士が、機体から燃料が垂れているのを見つけ、同社が整備を委託していた日本トランスオーシャン航空(JTA)の補助整備士に伝えた。直後にJTAの整備士が右翼第2エンジンから煙が出ているのに気づき、インカムマイクと呼ばれる有線通信機材を機体に接続して猷建国機長に連絡。併せてエンジンの停止と消火装置の作動、緊急脱出を要請した。ただちに4カ所の脱出用シューターが出され、全員が90秒以内に機外へ出たという。

【一部略】

 空港の管制官が煙に気づいたのは、整備士の連絡から約2分後の同34分。最初の爆発の約1分前だった。管制官は機長に連絡を試みたが応答はなく、逆に機長から管制官への連絡もあったが、内容は聞き取れなかったという。管制官の連絡後に避難を始めていたら、爆発前の脱出完了は無理だったとみられる。

 2人の整備士は爆発のとき、第2エンジンに近づいて消火を試みており、爆風で吹き飛ばされ1人が右腕に軽傷を負った。【以下略】
という記事内容が正確であるとするなら、乗客乗員の命を救った第一の英雄は2人の地上整備士ということになる。台湾の人たちは、このことにもっと注目してほしいと思う。

 ま、そうは言っても、事故が発生したという状況のもとでの、機長や乗員の迅速な行動は大いに賞賛されるべきである。日本ではとかく、過失の有無という部分ばかりに関心が向けられ、当事者の「最善の努力」というポジティブな面を過小評価しがちである。そもそも刑法上の「過失」を認めていない国もあるという。そのあたりの是非は議論があるところだと思うが、とにかく、危機的状況のもとでの英雄的行為は、過失責任の有無に関わらず、手放しで賞賛されるべきものであろう。