じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山大学構内の紅葉情報の第17回目(2007年11月28日)は、座主川沿いのモミジ(イロハカエデ、イロハモミジ)。日当たりの悪いところにあるが、周囲の黄葉との対比が美しい。写真は左から順に、同じモミジを西側、南側、東側から眺めたところ。

 なお、真ん中の写真に写っている「朽ち木」は、昨年12月27日(楽天版)にも御紹介したことがある。1年経っても朽ち果てることは無いようだ。


11月28日(水)

【思ったこと】
_71128(水)[心理]日本心理学会第71回大会(60) 日本人は集団主義的か?(24)集団重視であると誤解させたもの

 小池氏の話題提供:

●集団重視か個人重視か〜労働慣行からみると

では最後に、

●「日本的経営」を集団重視であると誤解させたものは何か

についてご自身のお考えが表明された。

 私自身が理解した範囲では、職場における集団作業の中味についての誤解が大きな原因になっているようだ。すなわち、通念では、日本人は集団で職場の作業をこなしており、気遣いが感じられるとされているが、実際に細かく調べてみると、職場で行われる作業には
  • Usual operations(繰り返し作業)
  • Unusual operations(前もって規定できない面倒な作業)
という2つのタイプがあり、前者は日本でも明確に個人ごとに行われていて集団作業にはなっていない。いっぽう後者では、技能のある個人が新人の不足分を補うようにこなしており、このことが集団重視であると誤解された原因になっているようである。ちなみに後者は日本の競争力の源泉になっている。このあたりは、聞き取りという方法で地道にデータをとられた小池氏ならではの御指摘である。




 以上で、11月16日から連載してきた、経済学からの反証についての話題提供のメモ・感想を終わりとさせていただくが、そもそも「日本株式会社」論や「日本的経営」論と言ったところで、戦後の高度成長期以降、バブル崩壊期までの30年程度の特徴を述べた通説に過ぎず、仮にそれが(今回の2人の論者の反論にもかかわらず)正しかったとしても、そのことの真偽が「日本人は集団主義か」という議論の論拠や反証に利用できるとは思えない。仮に日本人が集団主義的であるとするなら、その特徴は何世代、何百年にもわたって継続して観察できるはずである。

 「日本人は集団主義的」という通説に対して反論を行う、という問題の立て方自体に無理があることは10月29日の日記でも指摘した通りであるが、少なくともある部分、例えばソーシャルスキルの面などで文化的差違を分析し、よりよい異文化間交流の構築をめざすという研究を進めることには意義があると思う。いっぽう、元の話題の経済面については、私はむしろ、なぜ日本がここまで長期にわたって対米依存を続けてきたのか、単にそうしたほうが儲かるからなのか、それとも、敗戦時のトラウマを未だに克服できないでいるのか、といった面から分析したほうが、生産的な特徴づけができるのではないかという気がする。

 次回に続く。