じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _80108(火)[心理]ゲーム市場、過去最大規模に 1月8日の各種報道によれば、昨年の家庭用のゲーム機やゲームソフトの国内の市場規模は、新型ゲーム機や学習型のソフトの販売が好調だったことなどから、過去最大規模になっていたことが分かっという。市場調査会社の資料によれば、去年1年間の家庭用ゲーム機とゲームソフトをあわせた国内での販売総額は6876億円余りで過去最高。体を動かして楽しむファミリー向けのゲームや、学習型のゲームなどが女性やお年寄りにも幅広く受け入れられたことが、市場の伸びを支えている模様である。 そう言えば、先日帰省した時にも、某親戚が液晶テレビの前でからだを動かしながらフィットネス・ゲームをしていた。1日前のネットニュースによれば、エリザベス女王も任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」に夢中になっておられるとか。 私自身は、「ファイナルファンタジーVI」をスーパーファミコンで楽しんだのを最後に、ゲーム界からは完全に離脱しているため、最近のゲームがどのようなものかは全く分からないが、「体を動かす」という行動に対して、「スコア加算」、「ステージクリア」、「レベルアップ」といった結果が随伴するというのは、まさにオペラント条件づけの原理そのもの。ゲームに夢中になるということは、「ゲームで遊ぶ」というオペラント行動がドミナントに強化されやすい状況に置かれているということと同義であるということだ。 オペラント強化の原理から言えば、夢中になりやすいゲームとは、いっぱんに
日常生活に支障が出るほどまでにゲームに夢中になる人が出てくる根本的な原因は、結果の随伴のしかたに違いがあるためである。すなわち、日常社会の諸行動では、努力しても直ちに結果が伴うとは限らない。いっぽう、ゲームの世界では、規定の要件を満たせば、その直後に確実に結果が随伴する。但し、ここでいう結果の随伴は、ある程度ランダムであったほうがよい【変比率強化の原理】。10回の反応ごとに確実に1回の結果が伴うよりは、10回につき平均1回の割合でランダムに結果が伴うほうが、より強化されやすい。釣りが悪魔の趣味と言われたり、パチンコ・競馬などのギャンブルに夢中になる人が居るのはそのためである。 少子・高齢化社会がさらに進めば、ゲーム業界もそのニーズに応えるべく、高齢者向けのゲームの開発に力を注ぐようになるだろう。私自身も、仮に寝たきりの生活を余儀なくされた時は、残されたオペラントを活用して、ベッドの上でゲームを楽しみたいとは思う。 もっとも現時点では、私自身がゲームにハマルということはまずありえない。身体が動くうちは、植物を育てるとか、森林を歩き回るといった、ゆったりとした行動に対して、花が咲く、実がなるといったゆったりとした結果が伴うことを楽しんでいきたいと思っている。55歳にもなるとだんだんと残り少ない人生のことが気になるものである。そのさい、自分の精神や肉体が朽ち果てて溶け込んでいく先はあくまで大自然の中なのであってゲームといった人工的環境はそれとは相容れないと考えると、ゲームなどで遊んでいるヒマはないという気持ちになってくる。 |