じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _80109(水)[旅行]冬のチベット(5)ホテルの社長はすべての客室に泊まるべし チベット旅行より2カ月ほど前の10月7日、NHKスペシャル・激流中国シリーズで「チベット 聖地に富を求めて」という話題を取り上げていた。当該サイトに、 ...番組では、チベット鉄道が大量の客を送り込む夏の観光シーズン、開業したばかりの豪華ホテルにカメラを据えた。四川省の巨大資本家、漢族のオーナーは、チベット文化を売り物に大量の観光客獲得に成功したやり手経営者。そこに地元チベットの若者たちが就職し、民族伝統芸能の演奏や踊りを披露したり、骨董品の買い付けを案内したりして働き始めている。敬虔な仏教信者の地域から出稼ぎにきた若者たちは、都会の文化や資本の論理に驚き、戸惑う毎日だ。夢の鉄道は、チベットにどんな変化をもたらすのか。巨大ホテルで繰り広げられる人間模様に密着し、変ぼうするチベットの今を描く。と紹介されている通り、この番組では、
さて、今回、ラサには3泊したが、なっなんと、宿泊したのは、まさにこの番組で取り上げられた「骨董品博物館ホテル」であった。旅行社から届いたスケジュール表に「ラサ市唯一の五つ星ホテルに泊まります」と案内されていたが、まさか、あの話題のホテルに泊まることになるとは思ってもみなかった。 NHKスペシャルでも伝えられていた通り、このホテルに入ると、まず、民族音楽の生演奏に迎えられ、民族衣装をまとった従業員たちからカター(白いスカーフ)を首にかけてもらうという歓迎を受けた。ロビーも番組で紹介された通りの豪華絢爛たる装飾がほどこされていた。 右上の写真は、上から客室の廊下、会議室?、法要の間?で、自由に出入りすることができた。私が泊まったのは一番安い部屋であったが、チベット風の紋様をあしらった木製の扉や家具が置かれており、五つ星ホテルにふさわしい客室となっていた。床が板張りになっていたせいだろうか、他所のホテルでドアの取っ手や水道蛇口などに触れる時にビリビリッとするような静電気の放電は、このホテルに限っては全く起こらなかった。但し、日本で同じような木製設備を施すと、おそらく消防法にふれることになるのではないかと思われる。 さて、このような豪華な部屋ではあったのだが、実際に泊まってみると、基本設備や仕様の点で、日本国内の格安ビジネスホテルにも劣るようないくつかの問題点のあることが分かった。
2.については、3泊目の夜には、映り具合がかなり改善されていた。3.については、ドアの修理ができないので、そもまま放置された。 私個人は、これまで何度も中国の辺境地域を旅行しているため、上記のような不備はありがちで別段驚くにはあたらなかったが、豪華絢爛なホテルにあっては、基本設備の欠陥は特に目についた。 12月31日の夕刻、ホテルに戻ったところ、NHKスペシャルでもおなじみになった社長がロビーでホテル幹部たちとトランプゲームをしていた。その前後に、中国語ペラペラの添乗員さんは、当の社長に、上記の問題点について、猛烈に抗議をした模様である。その際、「他のホテルではどこも年末年始のイベントをやっている。あなたのホテルは何もしないのですか?」と言ったことがきっかけて、もともとホテル従業員対象に計画されていた「2007年年終■結■表彰大会」というイベントに招待してもらい、最前列の席で踊りや、従業員たちの隠し芸などを観させてもらうことができた。これはなかなか見応えがあり、一生に一度の貴重な体験にもなった。 NHKスペシャルでは、査定で給与を半分にされてしまった若者に焦点があてられていたため、どうしても悪徳社長のようなイメージが植え付けられてしまっていたが、働きぶりのよい従業員に対してはちゃんとポジティブな結果を付与しているように見えた。 上記のイベントの最中、添乗員さんの席の横に社長がやってきて、かなりの時間、何やら話をしていた。あとでこっそり聞いたところでは、添乗員さんは社長に向かって「あなたは、金儲けのプロとしては成功しているかもしれないが、ホテル経営のプロではない。自分の目で客室内を見て回ったことはあるのか」というような言ったとか。どうやら社長さんは、客室内を自分の目で点検したことが一度も無かった模様である。 このことを反省して、今後、社長自らの手で客室内基本設備が改善されていくようであれば、このホテルはますます人気が出る。10年後にはきっと、「あの時、某旅行社の添乗員に言われたことで目からうろこが落ち...」というように回顧されることになるだろう。いっぽう、添乗員の進言を無視されるようであれば、このホテルの将来は危うい。チベットにはあと数回は旅行したいと思っているので、今後の変化を知るのが楽しみだ。 |