じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 大学構内各所にオオイヌフグリのお花畑が出現している。写真はそのうちの1つ。しかし、1カ月半前、同じ場所に雪だるまがあったということを知っている人は少ない。


3月13日(木)

【ちょっと思ったこと】

1ドル99円

 各種報道によれば、13日の外国為替市場で円高が進み、一時、1ドル99円台まで値上がりした。1ドルが100円を突破したのは1995年11月以来12年4か月ぶりであるという。

 一口に円高といってもメリット、デメリット両方があり、一般的には輸入製品が安くなるなどのメリットが考えられるが、今回は必ずしもそうなっていないようだ。円高が進んでも、原油価格が上がっていてガソリン代はちっとも安くならない。また、ユーロなど欧州通貨に対しては必ずしも円高になっておらず、欧州方面の海外旅行代金はちっとも安くならない。というか、最近では「燃油特別付加運賃(以下、燃油サーチャージ)」が高騰し、旅行先によっては何万円もの負担増を強いられることがある。

 それにしても最近の外国為替市場や株価の変動は激しすぎる。それも実体経済を反映しているというより、投資ファンドなどの目先の利益追求に振り回され、マネーゲーム化しているという気がしないでもない。規制緩和、市場原理の行き着くところが世界規模の無節操なマネーゲーム大会に化してしまったのでは人類の将来は危うい。

 最近よく耳にする、、
  • 円キャリートレード
  • ノックイン債
  • SQ
なんて、結局のところ、マネーゲーム界用語みたいなものやろな。投資行動自体は決して悪いとは言わないが、それぞれの企業を成長させるための健全な投資活動が報われるようなシステムが欲しい。目先の利益を追求するだけの投資ファンドなどは、このさい、実体経済になんの悪影響も与えないような対象、例えば、火星の土地の取引でもやって、儲けるなり破産するなりしてもらえばそれでいいと思う。

【思ったこと】
_80313(木)[心理]「しなければならないことをする」と「したいことをする」(9)阻止の随伴性による強化は本当にあるのか?

 昨日の日記で
将来について、ネガティブな事態が起こりうるというリスクを大きめに見積もり、そのリスクを回避するための危機管理、あるいは実際にネガティブな事態が起こってしまった時の対応策を十分に整備しておくこと
というのは、「好子消失を阻止する随伴性」や「嫌子出現を阻止する随伴性」というよりはむしろ、弁別行動に属する議論であるように思う、と述べた。

 またそれに類する事例として
例えば、車を運転中、前方に大きな岩がころがっていてハンドルを右に切るという行動をとったとする。これは単に、障害物を避けて適切に走行するため、前方の景色を手がかりとして利用していたというだけであって、大きな岩自体は嫌子でもなんでもない。確かに岩にぶつかれば大きな事故になるが、運転者は別段、岩にぶつかったらどうしようという悲観的な見通しを持って、そのことに不安をいだいたうえでハンドルを切るわけではあるまい。
と述べた。

 もちろん、
  • いま現在の平和な生活の良さ、価値を創造することの喜びを確認し、それらの好子としての機能を高める確立操作→「好子消失阻止の随伴性」に有効
  • 交通事故の悲惨な場面、生活習慣病に罹った時の苦しみ体験、戦争の残虐さ、...というように、将来起こりうるリスクの嫌子としての機能を高める確立操作→「嫌子出現阻止の随伴性」に有効
というような確立操作が動機づけとして有効であることを考えれば、少なくとも部分的にこれら「阻止の随伴性」が働いている可能性は皆無とは言えない。しかし、阻止の随伴性が働かなくても、弁別行動として説明できる行動現象は相当程度あるように思える。




 ここでもう一度、阻止の随伴性による強化とは何か、杉山・島宗・佐藤・マロット・マロット(1998)の定義を再掲し、確認しておくことにしよう。
  • 嫌子出現の阻止による強化:行動の直後に嫌子の出現が阻止されるとその行動は将来起こりやすくなる
  • 好子消失の阻止による強化:行動の直後に好子の消失が阻止されるとその行動は将来起こりやすくなる
これらの随伴性は、
  • 行動の有無:行動した場合と、行動しなかった場合の2通り
  • 結果の質:好子か、嫌子か、という2通り
  • 変化の質:出現するか、消失するかという2通り
という2×2×2=8通りの組み合わせの中に含まれるものであって、そのような随伴性が論理的に成り立つものであることは議論の余地が無い。すなわち、
  • 嫌子出現の阻止による強化
    行動の有無=行動しなかった場合、結果の質=嫌子、変化の質=出現
    行動した場合→変化無し
  • 好子消失の阻止による強化
    行動の有無=行動しなかった場合、結果の質=好子、変化の質=消失
    行動した場合→変化無し
という組み合わせが阻止の随伴性による強化をもたらす条件となっているのである。

 しかし、そのような組み合わせが論理的に可能であるからといって、人間や動物が、その随伴性に依存して強化されるとは必ずしも言えないのである。

 次回に続く。