じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
岡山大学構内のお花見(1)
ソメイヨシノ、八重咲きのハナモモ、コブシの開花状況を一週間前(写真右。3/25撮影)と比較してみた。この時期は、日一日と変化していく。 |
【思ったこと】 _80403(木)[心理]「しなければならないことをする」と「したいことをする」(10)負の強化にもとづくポジティブな人生の実現(1) またまた間が空いてしまったが、3月13日の日記の続き。今回より、マロットの ●Malott., R. (2005). Notes from an introspective behaviorist: Achieving the positive life through negative reinforcement. Journal of Organizational Behavior Management, 24, 75-112. という論文について考えを述べることにしたい。ちなみに、この論文の別刷は、2005年11月に開催された、国際行動分析学会北京大会で、マロット氏から直接頂戴したものである。 さて、このWeb日記で連載している内容はもともと、スキナーの「罰なき社会」という講演録(※)から出発している。 [※]Skinner, B. F. (1979). The non-punitive society. Commemorative lecture, Keio University, September 25. [「罰なき社会」という佐藤方哉氏の邦訳付きで『三田評論』8・9月合併号に掲載され、『行動分析学研究』1990年第5巻、87-106.に転載] その講演録にも記されているように、スキナーは、「しなければならないことをする」という罰的な統制を排し、「したいことをする」という好子出現による強化を主体とした随伴性環境を理想としていた。これに対して、『行動分析学入門』の原書版(※) [※]日本版は の著者として知られるマロットは、タイトルの一部: 「負の強化にもとづくポジティブな人生の実現(Achieving the positive life through negative reinforcement)」 から読み取れるように、負の強化を適切に活用することがポジティブな人生の実現に不可欠であると説いている。要するに、「しなければならない」行動は排除されるべきではなく、人生にとって不可欠であり、肯定的に評価されなければならないと主張しているのである。 なお、この論文は一部、同じ学術誌に掲載された、Wiegand and Geller (2005)の Connecting positive psychology and organizational behavior management. Achieving motivation and the power of positive reinforcement. への反論という形をとっている。また、マロットの論文のタイトルで「Notes from an introspective behaviorist...」とあることからも示唆されるように、この論文は、実験的根拠というよりは、マロット自身の個人経験に基づく論考が数多く含まれている。 次回に続く。 |