じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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2008年版・岡山大学構内の紅葉(8)ダンチクの朝と夕
文学部西側に生えているダンチク。ウィキペディアの当該項目によれば、ダンチク(暖竹、Arundo donax)は暖地の海岸近くに生育するイネ科の多年草。「ヨシタケ」とも呼ばれる。近年では、バイオ燃料の原料として注目され、研究の対象になっているという。 |
【思ったこと】 _81101(土)[心理]日本心理学会第72回大会(31)well-beingを目指す社会心理学の役割と課題(3)コヒアラント・アプローチによる主観的Well-Beingの個人差の探求(2)認知-感情パーソナリティ・システムモデル 昨日の続き。昨日も述べたように、特性論的理解は、Mischel(1968)を代表とする人間−状況論争(1968〜1990年代)により批判を受けることになる。その後、Mischel & Morf(2003)らによってなされた論点をまとめると以下のようになる(当日配付資料から要約引用)。
さて、上にも述べた経緯から、人間の行動傾向を「特性」あるいは「性格」として固定的に捉えることには大きな問題があることは疑いの余地が無いように思う。しかし、仮に、ある人の行動が状況により変わるといっても、「変わり方」自体にはそれなりの一貫性がありそうなことは経験的に推測できる。配付資料にもあったが、例えば、Aさんは親や先生から助言を受ける場合にはすんなり受け入れるが、友人やきょうだいから助言を受けるとイライラするという傾向を持つとする。いっぽうBさんは、友人やきょうだいからの助言ならOKだが、親や先生からの助言を受けるとイライラする。この場合、AさんとBさんで、イライラの頻度は同程度であるので、従来の特性論では区別がつかないが、状況を設定して「if-then」という記述をすると、それぞれ一貫した行動傾向を示す可能性が出てくる。すなわち、パーソナリティというのは、その人のもつ関係性(プロダクション)とセットで考える必要があるというわけだ。 この考え方はさらに、認知-感情システム理論(Mischel & Shoda, 1995:認知-感情パーソナリティ・システムモデルを略してCAPSモデルと呼ばれる)として発展した。そこでは、ある状況に遭遇した時、そこで特有な認知・感情が活性化される。そのパターンには、符号化、期待、感情、目標、行動スクリプトが含まれ、具体的な行動に結びついてゆくという(配付資料からの引用)。今回の話題提供の副題「コヒアラント(首尾一貫的、統合的)」というのは、こうしたシステムについての一貫性のことを意味しているのだという。 以上の部分は概説的な導入であったが、私自身は、状況に応じた「変わり方」の一貫性というのは、単純な、「弁別刺激→行動→強化」の履歴と、複数の行動間が入れ子構造をなして相互に強化しあうという目的論的行動主義の発想で十分に説明できると考えている。もっともこれは、何が正しいかという問題ではなく、どういう見方をしたら、どれだけ予測や制御力が高まるかで判断していけばよいと思っている。 次回に続く |