じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 2008年版・岡山大学構内の紅葉(11)黒正巌先生も紅葉鑑賞

 時計台方向から眺めるアメリカフウ(モミジバフウ)の並木。手前の黒正巌(こくしょう いわお)先生も満足されていることと思う。こちらには、黒正先生の「御着雪」風景あり。雨の日も風の日も雪の日も、岡大キャンパスを見守ってくださっている。


11月08日(土)

【ちょっと思ったこと】

月の桂の庭

 中国地方のローカルニュースで、「月の桂の庭」が7年ぶりに一般公開されたという話題を取り上げていた。さっそくネットで調べたところ、防府市にある一庭二景の枯山水庭園であり、11月8日・9日の2日間のみ7年ぶりに公開されたということであった。しかしそうは言われても、岡山から日帰りで訪れるのはちょっと遠すぎる。しかも人数制限があるということで、ゆっくり鑑賞できるかどうかも分からない。

 ネットで検索したところ、もともとは土・日曜日および祝日のみ開園していたが、維持管理に手間がかかるため、2001年に公開が中止されていた。県内外の庭園ファンから再公開を求める声が強く、所有者が応えたという。次の公開がいつになるのか分からないが、帰省のタイミングに合わせてぜひ一度鑑賞させていただきたいと思う。

【思ったこと】
_81108(土)[心理]日本心理学会第72回大会(36)well-beingを目指す社会心理学の役割と課題(8)コヒアラント・アプローチによる主観的Well-Beingの個人差の探求(7)

 昨日の日記でも述べたが、堀毛氏ご自身のご研究紹介部分については、別の学会(2008年11月15〜16日)で発表後予定のものであり、今回はまだ予告というような内容であったので、ここでは詳細についての言及は避けておく。大枠としては、大学生とその両親・親族に対して、感情的充実感、心理的充実感、社会的充実感に関する質問項目を先行研究に基づいて選び出し、その結果について因子分析、さらに二次因子分析を行うというものであったと理解した。興味深いのは、感情的充実感については陽性と陰性の2因子(但し二次因子分析では一体化)でうまく収まったのに対し、心理的充実感と社会的充実感については尺度の見直しが必要であると示唆された点である。その原因としては、文化的相違(←外国の研究で用いられた項目を訳出していたため)のほか、社会的充実感については成人用と学生用の区別も必要であると示唆された点で、それだけSWBの個人差が大きいことを反映しているとも言える。昨日も述べたが、質問紙調査に基づく研究からはもちろんそれなりの成果も得られる反面、やはり、個々人ごとに具体的な行動の中味と相互の連関、中長期的なスパンにおける「入れ子」構造的な相互強化作用について調べていく必要があるように思う。




 堀毛氏の話題提供では次に、主観的充実感(Subjective Well-Being、SWB)の個人的予測因についてのお話があった。Compton(2005)を基に列挙された要因は以下のようなものであった(当日配付資料からの抜粋引用)。
  1. 自尊感情
  2. コントロール感
  3. 外向性(ポジティブな報酬への感受性は反応の強さ)
  4. 楽観性
  5. ポジティブな人間関係
  6. 人生の有意味感:信仰、目的意識、理解可能、対処可能、調和感覚
 原典にあたっていないので何とも言えないが、上に挙げた予測因?は一部重複しているようにも見える。また、上記で3.外向性と言っているのは、オペラント行動が十分に強化されている状態というようにも読み取れる。これは2.のコントロール感や6.の一部の対処可能にも影響してくるはずだ。

 さらにSWBの基盤にあるプロセスとして、報酬探求システムと罰回避システムがあるというお話があった(配付資料からの抜粋引用)
  • 報酬探求システム:外向性、BAS、促進焦点、学習目標、楽観性、ポジティブ・バイアス
  • 罰回避システム:神経症傾向、BIS、予防焦点、遂行目標、自尊心、ネガティブ・バイアス
 コヒアラント・アプローチでは上記のうちの特性レベルに相当する外向性、神経症傾向を除いた認知的・動機的変数のパスを検討することになる。

 ここでまた少々脱線するが、上掲の「報酬探求システム」と「罰回避システム」には、比喩的な意味での「ドーパミン型」の「ワクワク、ドキドキ」と「セロトニン型」の「落ち着き、ゆったり、癒し」が対応しているようにも思われる。但しこれらは個体差やパターンではなく、むしろ一人の人間の中でのバランスとして考えたほうが良さそうだ。ポジティブ、ネガティブという一次元上の違いではなく、直交軸として考えたほうがよい。この場合、「罰回避システム」というのはむしろ、「安全・安心・平穏」を志向するシステムということになる。


 次回に続く。