じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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2008年版・岡山大学構内の紅葉(18)図書館前の楷の木、今年は西側が最高
図書館前の楷の木が今年も真っ赤に紅葉している。但し、昨年11月20日(写真右)と比較すると、時計台に向かって右側(東側)の樹は今年は鮮やかさがイマイチとなっている。原因は、実がたくさんなっているため。 時計台の両側にある楷の木は、2本ともメス樹(雌株、めかぶ)であり、樹の成長に伴ってたくさん実をつけるようになってきた。本部棟前と農学部前のオス樹(雄株、おかぶ)から花粉が飛散してくるためであろう。 ちなみに、楷の木の紅葉・黄葉で有名な閑谷学校では、紅葉の見栄えが悪くなることを防ぐため、メス樹がたくさん実をつけないように調整作業を施しているという。図書館前の樹も同じように処置すれば毎年鮮やかな紅葉が見られるはずである。 |
【思ったこと】 _81120(木)[心理]日本心理学会第72回大会(47)well-beingを目指す社会心理学の役割と課題(16) 昨日の続き。 大竹氏の指定討論の後半では、ポジティブ心理学についての言及があった。ポジティブ心理学に関しては、第70大会の認定心理士企画プログラム(但し、この時はその直後に別のイベントがあったため、Web日記に感想を記す余裕が無かった)や、71回大会のワークショップで、最新の話題を拝聴したことがあった。昨日の日記で 学会のシンポではしばしば、指定討論者に任じられても、話題提供と全く無関係の持論のみを展開する人がおられるが(←私などもその部類かも)、大竹氏の指定討論は少なくとも前半部分において、それぞれの話題に即してなるほどと思わせるような御指摘をされた。指定討論の模範であると言ってよいだろう。と書いたところであったが、そう言えば、71回大会の時にも、 指定討論者は、「話題提供者の講演内容について、やや違った角度から意義や問題点を指摘したり、聴衆が共通していだくような質問を出して、シンポジウム全体を盛り上げる」という役目を果たすことにあると思っているところであるが、大竹氏はまさにその模範であり、聴衆にわかりやすいように各話題提供の要点をコンパクトにまとめ、いくつかの質問を提示しておられた。と同じことを書いていたことに今日になって気づいた。 さて、今回の指定討論では、まず、ポジティブ心理学について ...心理学は、本来、弱さや障害だけではなく、人間のポジティブな感情や優れた機能、状態、強さを研究する学問である。心理学の応用は、人間のもつ良いものに焦点をあて、育むことにも向けられるべきという趣旨が紹介された。さらに、PsychoINFOの学術雑誌文献数を検索したところ、1998年のAPA講演でポジティブ心理学が提唱された頃から、ネガティブばかりでなく、ポジティブなemotion/affectを扱った学術文献も急激に増えているというグラフが紹介された。この増加は、文献総数の増加を上回るものであるように見えたが、ポジティブだけが特段に増えているというわけでもない。全般的にemotionやaffect、あるいはwell-beingを対象とした研究が増加したということを意味しているように思われる。 次に、well-beingと同時に用いられるキーワードの頻度を検索したところ(2007年)、838文献のうち、いちばん多いのは「health」で790件、次いで「social」が730件となっていること、また、「psychological health」と「well-being」の文献数の増加はほぼ同じカーブを描いているが、「psychological health」に対する「well-being」の比率は、グラフから読み取った限りで4割程度であるというようなグラフも紹介された。 大竹氏によれば、「well-being」には個人ごとの「Individual well-being」とは別に「Group well-being」がある。このことは2008年のPetersonのリビュー(Applied Psychology誌)の中で取り上げられた。そこでは、ポジティブ心理学の立場から「Morale」という要因が強調されており、これには社会心理学の研究が大きく寄与する。であればこそ、well-beingの概念、定義、測定方法の問題について再度問い直し、社会心理学だからこそという視点で研究を発展させてほしいというような御主張が展開された。 すでにこの日記で何度か述べているように、私個人などは、定年退職後は、社会から少しずつ離脱し、自然を相手にしつつ、いかなる集団ともできるだけ関わりを持たないような世界の中で「個のwell-being」を高めたいと志向しているところである。しかし、世の中全般の中では、「Group well-being」はやはり大切であり、かくいう私なども、相当の資産家にでもならない限りは、他者との連携なくしては、個だけのwell-beingを支えることは不可能であろうとは思っている。 なお、大竹氏は、well-beingの階段は1本ではなく、ネガティブからゼロの状態にはい上がる階段とは別に、ポジティブな階段というようなものがあるということを強調されていたが、正確な文言は忘れてしまった。 次回に続く。 |