じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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2008年版・岡山大学構内の紅葉(24)氷点下の寒さで「元祖・落ちないイチョウ」も落葉
農学部構内の一角に、一本だけ落葉の遅いイチョウがあり「岡大七不思議の1つ、落ちないイチョウ」などと勝手に名付けて、毎年その写真を掲載してきた(以下はその抜粋)。
なお、昨年12月17日に書いたように、農学部構内には最近、「二代目・落ちないイチョウ」が新たに出現した。こちらのほうは12月7日時点で、まだわずかながら葉を残していた(写真下段)。 |
【思ったこと】 _81207(日)[心理]日本心理学会第72回大会(59)因果帰納推論と随伴性学習(3) シンポでは次に漆原氏による、「Cue competition」をめぐる話題提供があった。「Cue competition」の代表的な事例は、動物の学習でひろく知られているブロッキング(blocking)である。例えば、パブロフ型の条件づけにおいて、中性刺激Aと一定の大きさの無条件刺激(US)が対呈示されたとする。 A→US この対呈示が十分な回数繰り返されると、Aは条件刺激となり、一定の大きさの条件反応を誘発するようになる。 そのことを確認した上で、新たにXという中性刺激を付加し、 AX→US という対呈示操作を行ったとする。USの大きさは「A→US」の時と何ら変わらない。この条件のもとで、Xのみを単独提示しても、条件反応はあまり起こらない。つまり、「A→US」という先行する条件づけによって、Xが条件刺激(CS)となる条件づけはブロックされたのである。この証拠は、統制群として、Bという別の中性刺激に対して、「B→US」という対呈示操作を行い、そのあとで「AX→US」という複合提示を行った条件との比較によって得られる。すなわち、単なるUSへの「馴れ」がブロッキングの原因ではないことなどが確認できる。この現象をうまく説明できる理論としては、レスコーラ・ワグナーモデルがよく知られている。 さて、上記の条件づけの手順は、人間の因果推論実験でも同じように適用できる。Aを太郎君、Xを次郎君であるとし、1人または2人でジャガイモの皮むき作業をしたと仮定する(もとの話題提供内容を長谷川が改変)。USは1時間あたりに皮を剥いた個数である。太郎くんが1人で作業した時に100個の皮を剥き、そのあとで太郎くんと次郎くんが一緒に皮剥きをしたが、2人合わせて剥いたジャガイモの個数は100個であってちっとも変わらないとする。そうすると、次郎君は何も働いていないと推論されてしまう。いっぽう、今述べた条件とは別の場面で、まず花子さん(上記のBに相当)が100個のジャガイモの皮を剥き、そのあとで太郎君と次郎君が共同で100個の皮を剥いたとしても、次郎君はサボっていたという証拠にはならない。では、人間の因果推論行動は、動物の学習モデルと全く同じような形で説明できるのだろうか? 次回に続く。 |