じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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2009年版・岡山大学構内の紅葉(19)時計台前のモミジとアメリカフウの紅葉 毎年この時期に定点撮影しているモミジとアメリカフウのコラボレーション。撮影日が遅かったせいか、昨年11月18日の写真に比べるとモミジの色合いが悪い。 |
【ちょっと思ったこと】
「草食系」とは何か? 11月27日朝のモーサテで、最近の投資傾向として、ハイリスクハイリターン志向と、「草食系」の二極化が進んでいるというような話題が取り上げられた。前者は高齢者、後者は若者が多いという。もっともゲスト解説者の方は、二極化という見方は誤りで、投資家の幅が広がっていると捉えるべきだというようなことを指摘しておられた。また、ハイリスクハイリターンを狙う高齢者というのは、単に資金に余裕がある人たちという意味であって、万が一失敗しても生活に困らないからリスクを許容できるのだという見方もある。若者一般はそこまで資金の余裕が無いのでどうしても安全確実志向になる。もちろん若者の中にも、信用取引で大成功した人もいれば、大失敗してどん底生活を強いられている人もいるだろう(←モーサテという番組の性格上、大失敗した若者は取材対象にはなるまい)。 ところでこの「草食系」という形容詞であるが、10日ほど前、今年の「変わり雛」の1つ、草食男子、肉食女子雛としても紹介されたことがある。当該サイトによれば、「草食男子は草食系男子とも称され、一般的には「協調性が高く、家庭的で優しいが、恋愛には積極的ではないタイプ」とされています。肉食女子はその対極。最近、社会面を賑わせている結婚詐欺の女性などこのタイプかも。」というコメントがつけられていた。 ウィキペディアの当該項目にもほぼ同じ内容の記述があり、「草食系男子」は 2008年ごろよりメディアで取り上げられるようになった用語。一般的には「協調性が高く、家庭的で優しいが、恋愛に積極的でないタイプ」の主に20、30代の若い男性を指す。というような意味として紹介されている。いっぽう「草食系女子」という呼び方が私の知る限りでは見あたらない。仮にあったとしても、何となくダイエットに凝っている女性というイメージになってしまいそうだ。 同じくウィキペディアの当該項目によれば、語源は 2006年10月に深澤真紀が『日経ビジネス オンライン』で連載している「U35男子マーケティング図鑑」(2007年に『平成男子図鑑』として単行本化)で、「草食男子」として命名され、2008年4月5日、『nonno』が深澤の監修で「草食男子」特集を掲載して話題になった。とされている。 さて、このことでふと思ったが、私自身はいまから29年前に、 『食物選択における学習の役割』.哺乳類科学、1981年、45巻、29〜51頁。 という総説論文を書いたことがあった。その中で強調したのは、草食系動物や肉食系動物は、食物の好き嫌い形成において、学習経験の影響をあまり受けないということである。いっぽう、雑食系動物は、自らの経験(人間やサルの場合は、集団内での伝播や伝承を含む)によって、好き嫌いが変わってくる。食文化の多様性の起源もそこにあるし、それだけ融通がきく。であるからして、冒頭の投資志向のタイプにこれを当てはめるのであれば、
なお、ウィキペディアの記述から察するに、「草食系」の語源は、食物選択のパターンではなくて、むしろ、「草食系動物はおとなしい」という行動上の性質に基づいているように思われる。では、草食系動物はすべておとなしいと言えるかどうかということになるが、確かに、獲物を襲う必要がなく、その一方、長時間、反芻のためにじっとしている必要があるという意味では、おとなしく見えるのは当然であるとは言える。とはいえ、群れを守ろうとしたり、ライバルと争う必要がある時にはかなり暴力的になる。ゾウやカバは草食性だが、暴れた時は手に負えない。 |