じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2010年版・岡山大学構内でお花見(17)文法経駐車場から眺めるミモザ

 20日の朝は駐車場がガラ空きだったので、4本のミモザの樹や、ハナモモ、背景の半田山をパノラマ写真におさめることができた。


3月20日(土)

【思ったこと】
_a0320(土)[一般]千円床屋に洗髪台は要らない

 3月19日の各種ネット配信ニュースによれば、10分間&千円のカットで各地に進出している簡易型散髪専門店に対して、条例改正により洗髪台設置を義務づける自治体が増加しているという。3月19日にYahooヘッドラインからリンクされた、Yahoo・ネタりかから記事を要約引用してみると、
  • 業界団体が「不衛生だ」と物言いを付け、それを受けて店内の洗髪台設置を義務づける条例改正を行う自治体が続出している。
  • 全国で理容店の洗髪台設置義務を条例化しているのは21道県。ほかに千葉、群馬、大分の各県議会でも条例案を審議中。
  • “1000円専門店”では、切った髪の毛を掃除機のような強力吸引機で吸い取るのが一般的。これについて全理連(全国理容生活衛生同業組合連合会、約7万5000人の理容店主で組織)は「周辺の飲食店から『散髪後に訪れる客の毛が食べ物に落ちて不衛生』といった苦情が寄せられている」と訴える。
  • 全理連は「洗髪自体の義務化は現実的には難しく、最低限の措置として洗髪台設置の条例化を求めています。子供の毛ジラミなどの問題に対応する意味からも、洗髪台は必要です」(広報担当)と話している。
となっていた。ほぼ同じ内容の記事は神戸新聞(2010.03.16 16:13)、東京新聞(2010.3.16. 10:30、共同)、山梨日日新聞(2010.3.16. 10:30)、スポニチ(2010.3.16. 9:40)などに出ており、おそらく、3月16日に共同通信から配信された記事がおおもとのようである。

 このほか、3月17日の埼玉新聞(Web埼玉)こちらの記事にはローカルな情報があり、そこでは、
  • 埼玉県は2009年10月から、理美容店への洗顔・洗髪用流水設備の設置を条例で義務化している。
  • 髪を洗わないことが不衛生だという趣旨ではなく「切った髪の毛や染髪料が目に入った時など不測の事態に備えて、客用の洗顔・洗髪台を最低1台は設置してもらう」(県衛生課)というもの。
となっていた。

 これまで報道された内容を、洗髪台設置を義務づける理由としては、
  1. 「周辺の飲食店から『散髪後に訪れる客の毛が食べ物に落ちて不衛生』といった苦情が寄せられている」。
  2. 子供の毛ジラミなどの問題に対応するため。
  3. 切った髪の毛や染髪料が目に入った時など不測の事態に備えるため。
という3点が挙げられているようだが、うーむ、そのようなこじつけとしか思えない理由で洗髪台設置を義務づけ、そのコストが千円床屋の値上げに繋がるようなことにでもなればたまったものではない。元記事も示唆しているように、やはり既存の業界が不衛生を口実に新規出店を妨害しようとしているような印象を受けてしまう。

 そもそも、上掲の「理由」の1番目だが、千円床屋を利用した後に周辺の飲食店に行くお客がどれだけいるというのか。本当に被害があるというなら、「洗髪しない床屋さんからのご来店はお断り」という張り紙を出せばいいのだ。いや、それはそれとして、千円床屋ではちゃんと切った髪の毛を掃除機のような強力吸引機で吸い取っており、食べ物に髪がバサバサ落ちることはない。

 「理由」の2番目も、単に「毛ジラミの居る方はお断り」もしくは「毛ジラミの居る方は、洗髪をしてからおいで下さい」と張り紙をすれば済むだけのことだ。

 「理由」の3番目も、切った髪の毛や染髪料が目に入った時など不測の事態に備えるというならば、洗髪台ではなくて、洗眼台の設置を義務づけるべきである。それと、「染髪料」というのは、染髪をするお店でなければ目に入らないのでは?




 ちなみに、私自身が千円床屋を利用するようになったのは2001年10月27日からである(←Web日記にちゃんと記録してあるので、こういう時にはすぐに情報を取り出すことができてまことに便利)。

 リンク先の日記にも書いてあるが、私が千円床屋を利用するようになった一番の理由は、短時間で済ませられるということであった。それまでは、馴染みの床屋で、土日の午前中に待ち時間を含めて1時間以上を費やしていたものであるが、あれは本当に時間の無駄以外の何物でもなかった。しかも、理容というのは、その日1日の髪を整える目的ではなく、次に床屋に行くまでの数カ月間(←「数カ月間」はあくまで私の場合。普通は2週間から1カ月間隔で利用するのかもしれない)、髪が伸びて煩わしくない状態を保つために利用するのである。確かに、馴染みの床屋に行けば、最後は整髪料をつけて髪をちゃんととかしてくれるが、それは単にその日の午後だけのこと、その日の夜に髪を洗ってしまえばそれでオシマイだ。

 なお、私は、馴染みの床屋に行っていた時代から、洗髪はせず「調髪のみ」で髪を切ってもらった。であるからしてなおさら洗髪台設置の意味が分からない。




 以上、千円床屋の一利用者としての立場から考えを述べたところであるが、千円床屋が、昔からの「床屋さん」を圧迫していることは確かであろう。2009年7月27日配信のMSN産経ニュースによれば、昨年8月から9月にかけて行われる理容師国家試験の申込者は1232人で過去最少、9年前の第1回試験と比べ3分の1程度に落ち込んだという。業界関係者は「理容師の高齢化は進み、後継者不足は深刻」と危機感を募らせているそうだ。

 そういえば、以前、NHKの番組で、「集団就職列車 15歳の旅路」という番組をやっていた。その中には、15歳で上京し、郵便配達、工場、と職を転々としたあげくに理容店の仕事を天職と決め、同じく集団就職で働いていた女性と結婚した男性が登場していた。ちなみに、そこの家の息子さんも理容店の跡を継がないと語っていた。

 千円床屋の進出で苦境に立たされている理容店があることは確かだとは思うが、これも時代の流れではないかなあ。「三丁目の夕日」の映画に出てきた氷屋さんもそうだし、時計屋さんも昔ほどには多くない。床屋さんの場合も、美容室系と千円系に分化していくのはやむを得ないのではないだろうか。




 あと、あまり言いたくないが、各自治体で洗髪台義務づけの条例を制定するにあたって、何らかの不正な政治的力が働いたことは無かったのだろうか。上述のような「こじつけ的」理由で制定されたとすると、背後には何らかのカネが動いていた可能性もある。各自治体別に、どういう経緯で条例が制定されたのか、監視団体にぜひ調査をしていただきたいと思う。