じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【小さな話題】 高邁だが達成困難な学習目標 昨日の日記で、他の授業が7月下旬まで続くのに対して、今年度前期の金曜日に限っては、てきわめて早い7月16日が最終回に設定されていると書いた。 さて、授業の最終回では、原則としてすべての授業において授業評価アンケートを実施するが義務づけられている。今年はそのことに加えて、アンケート実施時に、担当教員が、シラバスに記載されている学習目標を声を出して読み上げ、当該授業においてその目標が達成できたかどうかを評価する手がかりにするという手順が義務づけられた。 たとえば、私の卒論生向け課題演習の学習目標は 卒論研究という一連の取組を通して、自ら研究課題を選び、適切な研究方法を用いて信頼度の高いデータを収集し、分析し、適確に結論を引き出す力を身につける。と記されており、卒論研究の進捗状況にもよるが、評価自体は可能な内容となっている。 同じく、専門科目の「行動分析学概論」講義の学習目標も 行動分析学の基本概念を理解し、それに基づいて日常生活の諸問題を主体的に改善できるようになること、またこの分野の最新の研究を理解し、卒論研究等に反映させられるようになることを目標とする。となっていて、まずます評価可能ではないか自負している。 そんななか、1科目だけ、きわめて評価困難な学習目標が記されている授業があった。 心理学に関する多面的な知識とスキルを養うとともに、公刊されている研究論文に対する適確な批判や建設的提言を行う力を養うことを目的とする。これは大学院の講義科目のシラバスに記してある「学習目標」であって、かなり抽象的な内容になっている。 言い訳になるが、このような学習目標を設定したのには事情があった。1つは、大学院の講義は例年受講生が3名前後であり、それぞれの年度で、研究領域がかなり異なっている。そこで、例年、受講生が確定した段階で、それらの受講生のニーズに合わせた形で講義内容を柔軟に変更しているのであった。 しかしそうはいっても、シラバスは外部にも公開されているため、「受講生のニーズに応じて講義内容を変更します」というようなことは学習目標には書けない。そこで、大学院の一般的な教育目標として公開されていた文書を丸ごとコピーペーストして、体裁を整えていたのであった。 まさかこの文章を読み上げることになろうとは思ってもみなかった。なお、シラバスの記載内容は、外部公表資料としては固定されているが、オンラインシラバスのほうは、執筆入力の締め切り後にも随時修正できるようになっているという。来年度からは、もう少し実情に合わせた学習目標に書き換えておこうと思っている。 |