じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



10月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
§§
 農学部農場の田んぼが収穫の時期を迎えている。また、その南側にある芋畑は連日、幼稚園・保育園の芋掘り遠足で大賑わい。

10月18日(月)

【思ったこと】
_a1018(月)日本心理学会第74回大会(25)自然環境と心理学(4)森林浴とその心理・生理的効果(1)

 10月17日の日記の続き。ワークショップでは、企画趣旨説明に引き続いて、
  • 森林浴とその心理・生理的効果
  • 校庭の芝生化と児童への影響
  • 公園散策とWell-Being
という3つの話題提供が行われた。私個人は、また毎日、早朝と夕食後に大学構内を散策しており、時たま、岡山県立森林公園などに出かけており、さらに大学構内の花壇整備のボランティアにも取り組んでおり、上掲の3つのテーマの目ざすところについては100%賛成であり、積極的に支援したいと思っているところである。但し、心理学会の研究発表として拝聴する限りにおいては、実証性、有効性、一般化といった点で、相当の疑問を持たざるを得なかった。




 このうち、1番目の

●森林浴とその心理・生理的効果

は、森林総合研究所の研究員(日本心理学会には非会員)の方による森林浴、森林セラピーの紹介であった。

 まず森林浴の定義(林野庁、1982)が紹介され、さらに医療費の上昇により予防療法のニーズが高まっていると指摘された。その1つの場として、森林に保健休養としての機能を期待する人の割合は平成8年の12.2%から平成15年の26.2%に増加(内閣府調査)しているという。

 森林浴は、「森林セラピー」と「森林療法」に分けられ、
  • 森林セラピー:科学的アプローチ、主に健常者が対象、リラックスやリフレッシュが目的
  • 森林療法:臨床的アプローチ、疾患・障がい者が対象、福祉・医療・カウンセリングが目的
というように説明された。

 「セラピー」と「療法」をこのような形で区別することが妥当かとうかについては、以前、「園芸セラピー/園芸療法」、あるいはアニマルセラピーなどに関して以前にも論じたことがあった。もともと、therapyには「療法」という意味があり、カタカナ表記にしただけで違う意味に用いることができるかどうかは若干疑問である。

 もう1つ、これも以前にこのWeb日記で取り上げたことがあるが、「森林セラピー」や「森林セラピスト」という呼称はしっかりと商標登録されていて、部外者が勝手に名乗れないことになっている。このあたりについてもいろいろと議論のあるところであり、「○○セラピー」という呼称が早い者勝ちで商標登録されてしまうと、学術的な議論や、自由な競争のもとでの質の向上が妨げられてしまう恐れはあるように思う。反面、悪徳商法、資格商法、その他、諸々の営利目的利用を制限し、質の保証を維持していくという利点もあるようには思う。


次回に続く。