じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



01月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
§§ 2011年版・岡山大学構内でお花見(3)春を待つアネモネ

気象庁統計が示すように、岡山県岡山では相変わらず最低気温が氷点下になる日が続いている。1月27日までの27日間で、最低気温が氷点下となった回数は16回であり、これで、1月の31日間のうち氷点下となった回数が過半数を占めたことが確定した。

 写真は岡大西門左側の花壇で春を待つアネモネの蕾。

1月26日(水)

【思ったこと】
_b0126(水)行動主義の再構成(4)スパイラル的な相互依存

 昨日の日記で、
3.「行動→直後の変化」という随伴関係は、依存関係の一部をなすものであるが、同一ではない。 と述べた。要するに、行動随伴性に基づく分析は、より長期的、複合的(=入れ子構造)、全人的な視点から、依存性に基づいて分析する必要があると言いたいのである。

 このことを受け入れたとして次に問題となるのは、
  1. 依存性と強化・弱化との関係は?
  2. 依存性はどうやって検証できるのか?
  3. 依存性の量的分析は可能か?
といった点である。

 ここで再び、「風景を楽しみながら散歩する」という行動を例に挙げる。この場合、一歩一歩の歩行行動の直後に特定の風景という結果が随伴しているわけではない。「散歩する」という一定時間継続する行動と、一連の風景が依存関係にあると捉えるべきである。

 しつこいようだがここで3点ほど念を押しておく。

 第一は、視点を明確にする必要があるという点だ。周囲の風景は、散歩という行動なしには出現しないので、散歩のほうが独立事象、風景はそれに依存した事象であると言える。但し、それはあくまで個体側、つまり散歩をする人の視点に立った依存関係である。その人が散歩しようがするまいが、風景自体が影響を受けることはない。

 第二は「行動の入れ子構造」に関する点である。ここでは「散歩する」を1つの行動として捉えているが、よりミクロに見れば、「そこの街角を曲がると好きなお店があった」、「野原を歩いていると珍しい草花があった」というように、「散歩」の構成要素の一部に具体的な事象が随伴している可能性がある。そのレベルでは、「行動→結果」という随伴性の寄せ集めが散歩行動全体を強化していると言うことはできる。また、そのいっぽう、もっとマクロに見れば、例えば、「蒜山高原(ひるぜんこうげん)に出かけていって散歩を楽しむ」という場合は、「蒜山高原に出かける」というマクロな行動に、「散歩時に出現する自然の風景」という結果が随伴しているとも言える。入れ子構造としては、

(日常生活全般の諸行動(蒜山に出かける(散歩をする(自然風景)))

というような関係で随伴関係を記述することはできる。

 第三は、オペラント強化における、依存関係と強化関係の逆転である。すでに述べたように、オペラント行動は、行動のほうが独立していて、その生起に依存して環境側が変化する。しかし、その行動が強化されるか消去されるか弱化されるのかということは、環境側でどういう変化が生じるのかに依存している。いくら行動しても環境が全く変化しない場合は、通常、その行動は無強化もしくは消去される(←但し、現状維持のための阻止型随伴性のケースを除く)。この意味では、オペラント行動は、環境変化に「依存」して変容・維持されると表現することもできる。要するに、1回ごとの断片的な随伴性ではなくて、オペラント行動がある程度の期間にわたって持続的に強化されている状態では、行動と環境変化との関係はスパイラル的な相互依存状態に置かれる。行動している人が突然死すればそのスパイラルは断ち切られるし、そのいっぽう、行動主体が活発に行動していても外部の力で環境変化が停止すればやがて行動は生起しなくなる(消去される)。要するに、スパイラル的な相互依存がどういう形で終結するのかという因果関係は、システム内部の要因だけでは説明できない。



不定期で次回に続く。