じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 岡大構内に出現した雪だるまのその後。芝地を転がして作られたため、融けるにしたがってくっついていた枯れ草が目立つようになった。写真上は理学部前、写真下は文学部中庭。雪だるま出現から3日後の2月17日の17時頃に撮影。

2月17日(木)

【思ったこと】
_b0217(木)サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)公開シンポジウム(4)予測が外れても対処できるような「頑健な対策」

 2月15日の日記の続き。なお、すでに、当該サイトには、今回のシンポの4名の講演者の方々のパワーポイント資料が公開されている。合わせてご参照いただきたい。

 シンポの2番目は、江守正多氏(国立環境研究所地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室室長)による、

●「地球温暖化リスクの評価と管理戦略」

という講演であった。

 江守氏は中長期的な環境リスク予測の第一人者であるが、その方面に精通しておられるだけに、かえって、危機感を煽るような大げさな予測や、こうするべきだといった政策提言には慎重な立場をとっておられた。

 じっさいのところ、何十年も後の環境リスクについては、種々の前提に自然の変動要因を考慮して多種多様の予測がなされているが、そのどれもが不確かである。よって、そのうちの1つだけを採用して長期的な対策をとろうとすると、外れたときのダメージが大きい。

 1番目の講演者の武内氏も言っておられたが、長期的な施策は、予測がはずれても別の形で活かされるような設計にすることが望ましい。例えば、河川沿いの住宅地を緑地や森林に変えることは、将来起こりうる大規模水害の対策として有効である。しかし仮にそのような氾濫が起こらなかったとしても、緑地化された土地は市民の憩いの場所として活用できるというような意味であると理解した。

 何十年も先の長期的な予測は、特定の地域に焦点を当てるとさらに外れやすくなるらしい。それゆえ、提示資料にも記されているように、求められるのは正確な予測ではなく、予測が外れても対処できるような「頑健な対策」である。特定の予測シミュレーションの詳細を信じすぎるべきではなく、現状でも存在する脆弱性の低減を優先し、将来に科学的知見が変化した際に対応できるような柔軟性を持たせることが必要であるということであった。

 少々脱線するが、こうした対処方針は、人間個人の人生計画にもある程度応用できそうだ。つまり、「自分はこうありたい」というような夢を描くことには意義があるが、あまりにも固定してしまって一本道をまっしぐらに進もうとすると、それが実現しなかった時にはそれまでの努力がすべてムダになってしまう恐れがある。ま、あまり打算的であってもいけないが、夢が実現しなくても対処可能であるような頑強な人生計画が必要であろうとは思う。

 次回に続く。