じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2011年版・岡山大学構内の紅葉(11)農学部構内の銀杏並木のイエローロード

 岡山では12月2日から3日にかけて14ミリの雨が降った。農学部構内の東西方向の銀杏並木は、この雨と風による落葉で道路が黄色一色に染まっている。月曜日にはすべて掃き取られてしまうため、日曜日夕刻が一番の見頃となりそう。

12月3日(土)

【思ったこと】
_b1203(土)日本質的心理学会第8回大会(8)「個性」の質的研究(7)〜「平均化」と「純粋化」〜個性をとらえるための2つのアプローチ(3)「純粋化」とは何か(1)

 昨日の続き。

 矢守氏の話題提供前半の「津波てんでんこ」の話には、時間の制約もあり、質的研究や個性に注目した内容は殆ど出てこなかった。もっとも、東日本大震災における津波避難の実態は多種多様・個別的であり、「津波てんでんこ」は災害マネジメントサイクルのすべてに関与し複層的に機能しているが、その分析はネット調査や実験室実験といった「平均化」の産物として見出されたものであり、語り草となるエピソードなど個別的な分析も合わせて必要であるというようにまとめられた。(←あくまで長谷川の理解。)

 さて、話題提供の後半では、「平均化」と「純粋化」が取り上げられた。ネットで検索したところ、引用された大澤(2005)という文献に関連のありそうなコンテンツが、こちらにあった。定義の部分を引用すると以下のようになる。
社会を捉える方法として、平均化と純粋化がある。前者は全体を広い意味で平均化して捉える方法で、後者は特徴を誇張して捉える方法である。(ex.木に例えると、平均化は木全体を見る方法で、純粋化は枝先など変化率の最も大きな部分を見る方法である。いわば写真よりも似顔絵。)平均は意識調査など統計で捉えることができる。純粋化は知的に難しく、何が重要か直感で捉える必要がある。本質の分かりやすい定義は、社会が変化していても、最も大きく変化しているところが本質である。平均は角をとった見方、純粋化は角を誇張した見方といえる。
 純粋化というとらえ方は、似顔絵、異常現象、凶悪犯罪、カルト宗教などを分析する際の重要な視点になる。上掲の文献では犯罪に関して、
平均化してしまうと分からないが、普通の人が心の奥底で持っている感情が誇張して表れたものが犯罪である。殺しの数は少ないが、社会がどうなるかを示唆している。
 もっとも、純粋化というのは、「何が本質か、つまり、何を基準に、特定の特徴に焦点をあてるのか、が問題となる。プロの直感や霊感によって見抜かれるというのでは、純粋化の「論理」に疑問符を付ける人もでるだろう。」という問題を内包している。

 民放のワイドショーで取り上げられる事件というのは、純粋化の基準を満たしているとは必ずしも言えない。要するに視聴者にとって意外であったり、不安を煽るような謎が残っている時に話題になるだけのことである。それゆえ、本当はまだ解明しなければならない謎が残っていても、日々取り上げられているうちに陳腐化して注目されなくなれば、いずれボツにされてしまう。


次回に続く。